方針・基本的な考え方
2022年9月に住友ベークライトグループとしてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進に取り組むことを宣言し、DE&I方針に基づき、多様な人材が個性や能力を発揮し、一人ひとりの状況に応じた公正な機会が提供され、相互の理解と尊重のもとで生き生きと活躍できる会社の実現に向けて取り組んでいます。
女性の活躍推進を第一歩として、介護や障がいなどで就業に制約がある社員や、文化的背景が異なる外国人、LGBTQの方など、多様な人材が活躍できる会社にしていきます。
DE&I推進により、多様な視点を持つ人材が、異なる意見を持ち寄り、柔軟な発想を生かすことで、イノベーションを創出します。

DE&I方針
- 1.「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進」を住友ベークライトグループの経営における課題の一つとして取り組む。
- 2. 女性の活躍推進を第一歩として、多様な人材の活躍に視点を置いた取り組みを推進していく。
- 3. 多様な人材の活躍を図るために、ワーク・ライフ・バランスや、ライフイベントとの両立支援を中心とした多様な働き方の実現を目指す。
体制・ガバナンス
人事本部内にDE&I推進室を専門部署として設置しています。国内の各事業所およびグループ会社からも担当者が所属し、住友ベークライトグルーブ全体でDE&Iを推進します。
なお、重要な内容については、取締役会の監督のもとサステナビリティ推進委員会で報告しています。

リスク管理
当社グループに関わる 人的資本(DE&I推進を含む)に関するリスクおよび機会の識別、評価、ならびに管理は、下記のページに記載のリスクマネジメント体制・リスクマネジメントプロセスに沿って実施しております。
指標と目標
女性の活躍推進
女性の活躍推進を多様な活躍の第一歩と位置付け、女性管理職比率、男性の育児休業取得率をKPI(重要業績評価指標)として定めています。
女性管理職比率の向上は性別によらず、その能力を最大限に発揮し、有効に活用されていることを意味します。また、女性が育児をしながら仕事でも活躍できる環境の実現には男性の家事・育児への参画が欠かせません。そのため男性の育児休業取得率を指標として、柔軟に休暇を取得できる職場環境づくりに取り組んでいます。
〈女性管理職比率〉
制度の拡充とともに、従業員が制度を利用しやすい職場風土の醸成に取り組み、働き続けられる職場環境の整備を進めています。また、育児がキャリアロスにつながりやすい傾向を踏まえ、上司を対象とした女性社員の育成に関する教育を実施しています。これにより、女性社員がキャリアについて主体的に考え、自らの力で道を切り開く機会を拡充していきたいと考えています。
女性管理社員比率は2024年度末4.25%となりました。目標とする2026年度5%、2030年度10%にむけ、さらなる向上に取り組みます。
●管理社員における女性比率の推移

- ※ 執行役員を除く管理社員を対象としています。
- ※ 住友ベークライト単体の数字です。
- ※ 管理社員の資格を有した出向者を含みます。
- ※ 各年度3月末時点のデータになります。
〈男性の育児休業取得率〉
男女問わず「働くこと」と「育てること」が両立できる職場環境の実現を目指し、さまざまな取り組みを進めています。その一環として、出生時育児休業の初めの5日間を有給(100%支給)としています。
さらに、仕事と育児の両立を支援するための教育プログラムの実施や、男性育児休業取得者の体験談を社内で共有するなど、意識改革を促す啓発活動にも力を入れています。
2024年度の男性の育児休業取得率は84.0%と大きく向上しました。目標とする2030年度90%にむけて引き続き取り組んでまいります。
●男性の育児休業取得率の推移

- ※ 住友ベークライト単体の数字です。
- ※ 2023年度以前は他社への出向者を含みます(過去の外部公表値)。
- ※ 2024年度は他社への出向者を含みません(東京労働局の助言により変更)。
- なお2023年度以前ベースの場合、数値は86.2%となります。
キャリア採用の推進
多様性の尊重を重要な経営課題の一つを位置付け、その具体的な取り組みの一つとしてキャリア採用を推進しています。キャリア採用比率はKPIとして設定し、積極的に取り組んでいます。
他社での経験や専門性を有する人材が新たな視点やアイディアを持ち込み、職場に刺激を与えることを通じて、組織全体の活性化やイノベーションの創出につながると考え、多様な経歴を持つ人材が活躍できる組織づくりを進めています。
キャリア採用比率は2024年度は43%となりました。2030年50%という目標を掲げ、引き続き多様な人材の採用および活躍推進に向けた取り組みを強化してまいります。
●キャリア採用者(総合職)比率の推移

- ※住友ベークライト単体の数字です。
- ※キャリア採用比率は母数を当該年度の総合職の採用総数としています。
- ※他社からの出向者、国内関係会社からの移籍社員は除きます。
定年者の継続雇用
当社では、従業員がそのキャリアを通じて得た知識や経験を最大限に活かし、長く活躍できる環境づくりを目指しています。
その一環として、60歳の定年後も引き続き嘱託社員として勤務できる制度を導入しています。この制度により、長年にわたり当社で培われた専門知識や技術、ノウハウを次世代に継承するとともに、組織全体の力を高めてまいります。
●定年者の継続雇用率の推移

- ※ 再雇用率は、小数第一位を四捨五入しています。
- ※ 住友ベークライト単体の数字です。
障がい者雇用
当社は、法令に定めるとおり障がい者を雇用していくことを、企業の社会的な使命の一つと捉えています。障がいがありながら仕事をしていくために必要な配慮を行いつつ、ほかの従業員と同様に安全・安心な職場で、その能力を継続的に発揮・育成できる環境づくりに努めています。
また、障がいのある学生をインターンシップとして受け入れるなど、個人に合った仕事や働き方を見つける機会を提供するとともに、継続的な採用活動に取り組んでいます。
●障害者雇用率の推移

- ※各年度の障がい者雇用率は、各月1日時点の障がい者数の合計値を、同時点の常用雇用者数の合計値で除して算定しています。
- ※2024年4月から法定雇用率は2.5%に上がりました。
- ※住友ベークライト単体の数字です。
- ※他社への出向者を含みます。
その他のDE&I推進に関する定量情報
DE&Iに関する定量情報の詳細に関しては、下記のページもご覧ください。
主な取り組み
1. 女性活躍ワーキンググループ
女性の活躍を推進するための課題を共有し、相互理解を深めるため、2024年度は女性社員と男性社員が一緒に参加する女性活躍推進座談会を開催しました。国内事業所に加えて国内グループ会社も対象とし、合計293名(女性144名+男性149名)が参加しました。
参加者の声をもとに下記施策を実施しました。今後も、仕事と生活の双方を充実させて活躍できる風土を醸成していきます。
- 新たな福利厚生サービスの導入
- 時間外のメール発信の指針の策定
- 社内制度の活用事例の紹介
- 社内外で活躍する女性の経験・視点に触れる機会の設定
- 各所の「業務改革」事例の見える化

2.社内外で活躍する女性の経験・視点に触れる機会
働く上での不安を低減し、キャリア形成への意識醸成を目的に、社外で活躍する女性の経験にふれる場を設定しました。「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 理系の新ロールモデル賞」受賞者をお招きし、総合職の女性社員を対象としてご講演いただきました。その時々でどのように考え、どうキャリアを形成されたか、参加者にとって大きな刺激となり、自身のキャリアについて改めて考える契機となる貴重な機会となりました。


また、当社女性役員も参加のもと、意見交換会を実施しました。参加者が率直な意見や質問を交わし合い、活発な議論が行われました。仕事と家庭の両立、キャリアにおける悩み、長期的な視野でのキャリアプランなどが共有され、非常に有意義な時間となりました。
当社は、こうした取り組みを通じて、女性社員が自身のキャリアに自信を持ち、前向きに挑戦できる環境づくりを進めています。


3.LGBTQへの理解促進と制度の制定
当社では、LGBTQへの理解を深め、多様性を尊重する職場環境を実現するため、さまざまな取り組みを推進しています。
その一環として全社員を対象に年に1度、e-ラーニングを実施しています。基本的な知識の習得をはじめ、行動や職場での配慮について学ぶ機会とし、社員一人ひとりがLGBTQへの理解を深め、互いに尊重し合える企業文化の醸成を目指しています。
また、2024年度に「同性パートナーに関する規程」を制定し、同性パートナーを家族として認めることで、法定外の福利厚生制度を可能な限り同等に利用できるようにしました。
当社は、誰もが持てる力を最大限に発揮し、生き生きと働ける職場の実現を目指してまいります。
4.障がい者の活躍支援
<ろう学校・特別支援学校インターンシップの実施>
障がいのある学生を対象にインターンシップを実施しています。2024年度、本社では、プログラミングを学んでいる学生を対象に、管理業務用システムの開発を体験してもらいました。聴覚障がいのある学生には社内の有志で活動している手話班に参加してもらい、部署を超えた社員同士の交流深化を図りました。また生産現場では、モノづくり体験を実施するなど、当社の業務を体験するプログラムとなっています。
これらのインターンシップは、障がいのある学生が職業に対する視野を広げるだけでなく、企業側としても多様な人材の可能性を再認識する貴重な機会となっています。当社は、障がいにより就職の選択肢が狭まることのないよう、今後もこうした機会を積極的に提供し、誰もが自分らしく働ける社会の実現を目指して取り組んでまいります。



<事業所を横断した情報共有>
当社では、障がいのある社員がより働きやすい環境を整えるため、国内の事業所およびグループ会社を横断した情報共有を行っています。この取り組みでは、各事業所での配慮事項や業務を通じた社員の成長事例を共有し、他の事業所でも活用できるように展開しています。この情報共有により、障がいのある社員が持つ可能性をさらに引き出し、職域の拡大や業務の多様化を進める土台を整えています。今後も事業所間の連携を強化しながら、働く環境の向上に努めてまいります。
5. 新たな厚生施設の完成
静岡事業所では、新厚生棟が2024年9月にオープンしました。
ブラウンを基調とした落ち着いた外観、窓を大きく配置して自然光を有効活用、さらに屋上太陽光パネルの設置、LEDライトを採用し、環境対応に最大限配慮した設計です。またエレベータ、多目的トイレの設置など、誰もが利用しやすい設計としています。
多くのコミュニケーションスペースを設け、室内の机・椅子は部屋ごとにバリエーションを付けるなど工夫を凝らしました。1階には環境製品のギャラリー設置も進めています。
今後も、お客さまや社員にとって快適で、会話と創意工夫、情報発信の多く生まれる場所を目指していきます。



6. 周知・啓発活動
多様な価値観を受容して、従業員一人ひとりが能力を発揮できる環境を整えるため、DE&I推進の重要性や支援制度の周知など、各種啓発活動を行っています。
DE&Iの理解促進教育① |
役員および主管者、副主管者を対象に、経営視点でのDE&I推進の重要性について学びました。(2022年11月、67名受講) |
DE&Iの理解促進教育② |
全従業員を対象に、DE&I推進の必要性や、多様な人材の活躍できる組織を実現する意義をe-ラーニングで学びました。(2024年8月、3,369名受講) |
ダイバシティマネジメント教育 | ライン部課長を主対象として、ダイバーシティ・女性活躍の必要性を理解するとともに、個別マネジメントの具体的な方法について学びました。(2022年12月-2023年12月、63名受講) |
アンコンシャス・バイアス教育 | ライン部課長を対象として、アンコンシャス・バイアスの悪影響を抑え、多様な部下が生き生きと活躍できる職場環境づくりについて学びました。(2023年12月-2024年11月、31名受講) |
仕事と育児の両立支援教育 | 子育て世代の社員が仕事と育児の両立を図り、周囲もそれをサポートする職場とすべく、男性育休の必要性や、育休取得によって仕事に好影響となることなどを学びました。(2023.11月-2024年11月、180名受講) |
女性リーダー教育 | 女性管理社員を対象に、リーダーとして求められている役割と、リーダーが身に付けるべき具体的なスキルを学びました。(2023年10月、18名受講) |
スマートワーク教育 | 女性非管理社員を対象に、これからの働き方やキャリアを多面的に考え、ワーク・ライフ・バランスを実現しながら働くための考え方を学びました。(2023年12月、17名受講) |
女性の健康支援教育 | 個人差が大きく理解を得にくい女性の健康課題について、社内の理解を深めました。(2024年2月、3,287名受講) |
仕事と不妊治療の両立支援教育 | 不妊治療を希望する社員が安心して働き続けられる職場づくりのため、配慮のポイントなどを学びました。(2025年1月、3454名受講) |
仕事と介護の両立教育 | 仕事と介護を両立するために、介護の基本的知識と仕事との両立のポイントを学びました。(①心構え編 2024年5月、102名受講 ②制度活用編 2024年8月、104名受講 ③遠距離介護編 2024年11月、100名受講 ④介護のお金備え編 2025年5月、123名受講 ) |
LGBTQ教育 | 全従業員を対象に、LGBTQへの理解を深め、「誰もが働きやすい職場環境」をつくるために必要な意識をe-ラーニングで学びました。(2024年9月、3,429名受講) |
障がい者が活躍できる企業へ | インクルーシブな社会の実現を目指し、障がい者が働きやすく、力を発揮できる職場環境に向けて、理解を深めました。(2025年3月、3413名受講) |
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