研究開発方針

研究・開発基本方針

当社グループは、顧客との価値創造を通じて、「未来に夢を提供する会社」を目指しています。
SDGsの重点領域6+1を軸に環境・社会・経済に貢献する研究開発を推進します。「ICT」「モビリティ」「ヘルスケア」「ライフイノベーション」の4分野に対して、基盤技術として培ってきた「材料設計」「加工・複合」「評価解析」によるイノベーションと全社一丸となって顧客ニーズ、社会課題を解決するための「One Sumibe活動」を融合し、未来価値を有する新商品・新事業を創生します。

One Sumibe活動とイノベーションを
融合し
未来価値を有する
新商品・新事業を創生する

研究・開発 基本方針

イノベーションへの取り組み

中西 久雄

イノベーション創出のしくみと人材を強化し、
新たな価値創造につなげる

常務執行役員

中西 久雄

当社グループは、イノベーションを企業成長の原動力と捉え、「環境・社会価値を有する新商品」を開発しています。将来性のある研究開発テーマはプロジェクトチーム(PJ)を組織し、短期集中でプロジェクトメンバーが技術開発と事業化の検討を進めています。
2025年度には、熱硬化性樹脂ケミカルリサイクルのPJが実証化プラントでのリサイクル技術を確立しました。水素製造機能膜のPJではイオン交換膜の技術開発を進め、2026年度より顧客での評価がスタートします。いずれもGHG排出量削減など環境負荷の低減に大きく貢献する可能性がある技術です。
また、電子調光デバイスやBMI(ブレインマシンインターフェース)といったデバイスの開発にもPJで取り組み、スピード感を持って技術開発を進めました。電子調光デバイスについては、技術開発が進み、2026年度より顧客での評価がスタートします。本製品は2026年4月から開発部として体制を強化し、2027年度の量産化を目指しています。BMIも2027年度からの販売開始を目指してデバイス開発を進めています。これらは素材メーカーである当社がデバイスまで手掛けるビジネスのため、協業先や顧客とよくコミュニケーションを取りながら適切に開発を進めていきます。
当社では、新技術・新商品の成功確率を高めるために過去の開発結果をもとに構築したイノベーションマネジメントシステム(IMS)の運用を進めています。運用をしながら見つかった改善点を反映しながらIMSの質を高めていきます。また、イノベーション創出を持続可能なものとするために人材育成や研究所間の交流などのしくみもブラッシュアップしています。毎年秋に行っている技術討論会は、One Sumibe Tech Weekと改称し、小グループで討論を行うOne Sumibe Tech Festaと優秀なテーマの口頭発表を行うOne Sumibe Tech Awardを開催することで、世界各地で働く開発者同士のネットワーク構築や技術力向上につなげています。
このような活動を通じて、2030年度までにイノベーションによる事業利益100億円の達成を目指します。

プロジェクトチームによる新技術・新商品の開発推進

電子調光デバイスプロジェクトチーム

無段階電子調光アイウエアの開発。ブランドサングラス用途で世界初の度付きレンズ対応製品の量産化に目途

世界初の度付きレンズ対応樹脂電子調光アイウエア

BMI事業化プロジェクトチーム

医療、IT、ロボットなどのブレインテック分野で期待される脳波の利用を促すデバイスの開発。2026年度に量産準備のための設備導入を開始

デザイン、使い勝手を考慮した在宅脳波計
デザイン、使い勝手を考慮した在宅脳波計

水素製造機能膜量産準備プロジェクトチーム

カーボンニュートラルへの貢献に期待されているグリーン水素の製造用機能膜(イオン交換膜)を開発。2026年度には顧客評価とともに量産化に向けた設備導入を進める

グリーン水素を製造するための電解質の構造
グリーン水素を製造するための電解質の構造
水素製造装置用アニオン交換膜(AEM)
水素製造装置用アニオン交換膜(AEM)

新たな価値を⽣む、基盤技術とIMS

研究開発活動では、SDGsへの貢献とカーボンニュートラルの実現に向けて、社会・顧客ニーズに応える研究テーマの構想・企画、技術開発を、スピード感を持ってシームレスに行うことを目指しています。
分子設計や触媒技術を用いて新たな機能を発現する「材料設計」、有機/無機の配合や成形などで従来の樹脂にない機能を発現する「加工・複合」、構造と機能の関連を解き明かす「評価解析」を基盤技術として、製品開発のスピードや質のさらなる向上を目指しデータ駆動型開発への移行を推進しています。
また、イノベーションを継続的に創出し続けるために、当社に適したIMSを構築・展開し、フィジビリティースタディを迅速に進めることで、新規事業への挑戦を続けています。
2025年度には、「パワー半導体向け高熱伝導エポキシ樹脂封止材」「耐蝕表面処理剤添加用超低モノマー水溶性フェノール樹脂 AQNOA®」「高輝度表示体用ポリシクロオレフィンCOPLUS®」「電子部品パッケージ切断用ダイシングテープ」「ヘッドアップディスプレイ用カバー材(加工品)」「献血用採血器」などの新製品を開発・上市しました。

● 研究開発費(2025年度)

研究開発費(2025年度)

地域ごとのニーズに応える国内外の開発体制

国内は、研究開発の中長期的視野に立ち、新製品やその要素技術の研究を担当するコーポレート研究所として、先端材料研究所およびバイオ・サイエンス研究所、生産技術開発を担当するコーポレートエンジニアリングセンターを有し、情報通信材料研究所、HPP技術開発研究所、フィルム・シート研究所、産業機能性材料研究所、SBカワスミ株式会社殿町メディカル研究所の5つの応用研究所が新製品の商品化や既存製品の改良研究を担当するという体制をとっています。国外では、米国オハイオ州アクロンに設けたコーポレート部門の拠点Promerus, LLCをはじめ、半導体関連材料や高機能プラスチックの各研究拠点を、欧米・アジアの各国・地域にそれぞれ設けています。
各研究所間の研究開発の成果や課題を共有するために、研究所長が新たな協業の議論を行う研究所長会議や全社の研究テーマを議論する討論会、若手開発者の人事交流などの機会を通じてシームレスに研究開発を行い、新たな価値を創造しています。

● 研究開発組織

研究開発組織図

「環境・社会価値を有する新商品」の創出に向けた活動

「環境・社会価値を有する新商品」の創出にあたり、短期集中で技術開発にあたるプロジェクトチームの活動を推進しています。2024年度からスタートしたBMI事業化プロジェクトチームは、大学などの共同開発先と、てんかん患者を対象とした臨床研究が進展し、2026年度には量産化の準備を行います。本デバイスは、2027年度に国内での販売開始を目指しており、将来は医療、IT、ロボット分野への展開を期待しています。
また、2025年度には水素製造機能膜量産準備プロジェクトチームを発足しており、カーボンニュートラルへの貢献が期待されているグリーン水素を効率よく製造するイオン交換膜を開発しています。本製品は、米国の研究所で開発された当社独自の素材ポリノルボルネンを用いた技術で、2026年度は顧客での評価とともに量産化に向けた設備導入を進めます。
熱硬化性樹脂ケミカルリサイクルのプロジェクトチームは実証化プラントでのリサイクル技術を確立し、顧客のニーズに合わせて対応が可能な状態となりました。この他、プロジェクト化していた電子調光デバイスは、ブランドサングラス用途での量産化に目途がたち、今期からは開発部としてサンプルの出荷を開始します。2027年度の量産化を目指して、顧客とよく議論を行いながら製品の仕様を固めていきます。
さらに、環境価値の創出として、フェノール樹脂のサステナビリティに向けた取り組み「REPHENOL」を2025年度より開始しました。特に耐久性に優れるフェノール樹脂のサステナビリティやサーキュラーエコノミーに向けて、マテリアル/ケミカルリサイクルやバイオマスの社会実装に関する事例を紹介し、顧客やサプライヤーを始めとしたステークホルダーの皆さまとの対話を通じて、本取り組みを加速していきます。

人材育成

当社では開発者による自発的な企画提案を研修形式でサポートし、新事業の立ち上げを支援する新商品開発プログラム「SBinno」を2016年より行っています。毎年、新事業や新商品のアイデアを全社から募り、選定された開発者には応募した具体的なテーマの事業化に向けた調査や社内外の連携、投資などについて学んでもらいます。このプロジェクトを通じて社員の挑戦を後押ししています。2025年度には、本プログラムから生まれた哺乳センシングデバイス・システムが、BabyTech® Awards実行委員会主催の「BabyTech® Awards 2025-26」において、「授乳と食事部門 大賞」を受賞しました。
また、開発者が当社グループの技術情報を活用するには、どの研究所でどのような研究がなされているのか理解を深めることが必要です。当社グループは毎年開発者が交流を図る場として、「技術討論会」を開催してきましたが、2025年度からグローバルな交流を推進していくことを狙って「One Sumibe Tech Week」と名称を変更し、内容もアップデートしました。開発者が関心の高いテーマについて小グループで議論を行う「Tech Festa」では、約70件の技術テーマについて討論会を行い、優れた開発を発表する「Tech Award」では、グローバルで10件の発表がありました。4日間開催された本イベントには、延べ1,600名が参加し交流を図りました。
このほかにも、研究所間の人材の相互交流を2024年度から開始しており、参加者のモチベーション向上や、部門をまたいだ相互理解の促進といった効果が見られています。交流を通じて、従来は各研究所・事業がそれぞれの領域の中で完結しがちだった情報や課題が共有され、組織横断でのコミュニケーションが進みつつあります。

知的財産に関する活動

当社グループでは、知的財産(以下、知財)活動を事業戦略お よび研究開発戦略に基づき展開し、事業競争力の向上を目指し ています。この目的を達成するため、中期経営計画期間において 以下の重点事項に取り組んでいます。

❶ 重要戦略商品に対する知財戦略の立案および実行による戦 略的出願の推進
❷ 環境課題に対応した戦略的出願の推進
❸ 知財情報の活用を通じた新たな事業創出への貢献
❹ 他社関連特許対応や技術契約審査などの知財リスクへの対応

たとえば、AI関連製品等の重要戦略商品に関しては、事業部門および研究開発部門と密に連携し、対象商品を特定した上で市場情報や知財情報を分析。その結果を活用した知財戦略の策定・実行を進めています。
また、研究開発のグローバル化に対応するため、海外関係会社と協力しながら知財関連規定を整備し、この規定に基づく知財活動を実施しています。
当社グループにおける知財活動は、革新的な技術や新製品と密接に結びついており、これらは競争力の源泉となる重要な要素です。今後も戦略的な知財活動を通じて知見を蓄積・強化し、事業機会をいち早く捉える原動力としたいと考えています。

●SDGs貢献製品・貢献技術に関連する特許申請数

2025年度の出願のうち、SDGs貢献製品・貢献技術に関連する出願は全体の46%でした。

● 国内特許の公開件数

国内特許の公開件数

● 海外特許の出願件数

海外特許の出願件数

● 事業部門別の国内外保有特許件数と比率(2026年3月末現在)

事業部門別の国内外保有特許件数と比率(2026年3月末現在)

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