財務経理役員メッセージ
過去最高業績を追い風に、
2030年を見据えた成長投資と
企業価値向上を推進
2025年度の業績の振り返り
2025年度は売上収益3,199億円、事業利益345億円、当期利益280億円と、それぞれ順調に伸長し、いずれも過去最高を更新しました。
事業利益については中期経営計画で定めた2025年度340億円を上回る結果です。事業別に見ると、半導体関連材料は、前期に続いて中国国内の旺盛な需要に牽引され、好調に推移しました。また、AI関連では、データセンターの需要増加にともない、パワー半導体向けの半導体封止材の販売が増加しました。
高機能プラスチックは北米フェノール関連事業の構造改革が進捗したことやアジアでの半導体関連用途が好調だったことにより、収益性が改善しました。
クオリティオブライフ関連製品は、医薬品包装用フィルムの需要が堅調に推移したことや、ヘルスケア関連製品で医療機器の製品ポートフォリオ改革を進めたことにより増益となりました。
資本効率性については、2025年度は事業利益の伸長や一部の土地売却益により当期利益の増加もあり、ROE8.8%となりました。
2025年度実績
| 2024年度実績 | 2025年度実績 | 増 減 | |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3,048億円 | 3,199億円 | 5.0% |
| 事業利益 | 308億円 | 345億円 | 11.8% |
| 営業利益 | 248億円 | 355億円 | 43.1% |
| 親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
193億円 | 280億円 | 45.3% |
| ROE | 6.5% | 8.8% | ー |
2026年度の財務目標
2026年度はさらなる事業の成長を目指しています。半導体関連材料では旺盛なAI関連の需要に加えて、モビリティ分野も好調に推移すると見込んでいます。さらに、高機能プラスチックでは、前期に効果が現れ始めた製品ポートフォリオ変革を推し進め、増益を目指しています。こうしたことから、今期の業績予想は、前期を上回る売上収益3,370億円、事業利益380億円、当期利益285億円としています。中期経営計画では、事業利益400億円としていましたが、昨今の中東情勢の悪化を鑑み、原材料費等の高騰影響を織り込んでいます。
また、中期経営計画ではROE
9.0%を目標としており、これを達成するために事業利益の成長とともに当社独自の指標であるSB-ROICを活用して、各事業の資本効率を高めていきます。全社では保有資産の見直しや円安で膨らんだ海外資産への対処などB/Sマネジメントを適切に進めます。
売上収益・事業利益の推移
ROEの推移
キャッシュアロケーションの実績と見通し
当社グループは2030年ありたい姿として、事業利益550億円、事業利益率13%、ROE10%を目指しています。これを実現するために、現中期経営計画では、設備投資500億円、成長投資200億円、戦略的投資500億円、株主還元300億円としたキャッシュアロケーションを計画しています。2025年度を終了した時点で、それぞれ計画どおり、順調に進捗しています。成長投資は、データドリブン経営の実現に向けた全社基幹システムの導入やマテリアルズ・インフォマティクス(MI)などによるDXの推進、COPLUS®
やステアリングマイクロカテーテルのような高付加価値製品の生産能力増強を進めています。
また、戦略的投資では、2026年1月に京セラ株式会社のケミカル事業の一部譲受を発表しています。AI分野で今後ますます重要性が高まる熱マネジメントに対応した材料開発でシナジーを発現させます。
このほかにもAGC株式会社より光学分野での競争優位性を確立するためポリカーボネート事業を譲受しており、引き続きシナジーが期待できる案件のM&Aを積極的に進めます。
「資本コスト」を踏まえて経営資源を配分(2024-26年度)
| キャッシュアロケーション | 用途別資金使途見込み |
| 設備投資500億円 | 既存事業の収益力強化(中期戦略①)・顧客への安定供給に資する設備投資をタイムリーに実行 |
| 成長投資200億円 | 新商品/新ソリューション創出(中期戦略②)に向けた研究開発、DX、GX対応を推進 |
| 戦略的投資500億円 | 有望案件発掘に向けた知の探索、オープンイノベーション推進、および事業ポートフォリオ改革に資する戦略的M&Aを実行 |
| 株主還元300億円 | 〈株主還元方針〉 “安定的かつ継続的に利益を還元する” 配当性向:40%程度を目指す(従来目安30%以上から変更) |
株主還元の継続的な拡大
当社グループは、企業価値の持続的な向上と株主への利益還元を重要視しています。2025年度は好調な業績を踏まえて、「安定的かつ継続的に利益を還元する」という還元方針のもと、中間配当は、前期末の50円/株を据え置き、さらに、当初計画していた期末配当55円を60円に増やして、年間配当を110円/株としました。2026年度は外部環境が不透明な中ではありますが、年間配当を120円とし10円の増配を予想しています。配当総額は、2020年度35億円から2025年度96億円まで2.7倍に増加しています。株主還元のKPIとして定めた配当性向は、2025年度34%、2026年度37%となりますが、引き続き資金需要のバランスや投資の実行状況、業績の進捗を見て、自社株買いも含めた今後の株主還元拡充を検討していきます。
当社は、これまで実質的に累進配当を実施してきました。この方針を明確にするために次期中計では株主資本配当率(DOE)などの指標の導入を検討するなど株主の皆さまによりわかりやすい数値を示していきたいと考えています。
キャッシュフローの状況
株価の推移
| 年度 | 最高株価 | 最低株価 | 期末株価 |
|---|---|---|---|
| 2021年度 | 3,070 | 2,060 | 2,495 |
| 2022年度 | 2,590 | 1,915 | 2,580 |
| 2023年度 | 4,662 | 2,370 | 4,628 |
| 2024年度 | 4,867 | 3,050 | 3,331 |
| 2025年度 | 6,063 | 2,750 | 4,828 |
EPSの推移
PBRの推移
株主・投資家との対話の機会の拡充
株主・投資家との対話を重視し、積極的なコミュニケーションを通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。IR面談件数は年々増加しており、2025年度は年間340件に達しました。また、そのうち50件以上を取締役が対応しました。コミュニケーション機会の創出にも力を入れており、2025年6月には、主要なバイサイド機関投資家を対象としたスモールミーティングを、12月には主要なセルサイドアナリスト向けのスモールミーティングを開催しました。
2025年度は新たに対面での全社事業説明会を9月に開催しました。説明会では、各事業統轄役員の説明と合わせて、当社製品の実物サンプルを展示するなどして、参加いただいた投資家の皆さまに当社事業や技術の特徴をご理解いただけるよう努め、多くの投資家の皆さまにご好評をいただきました。
また、2025年から開始したSR (Shareholder
Relations)活動を継続して行い、株主の皆さまの声を長期的な視点での会社運営により反映していきます。株主・投資家の皆さまからいただいた貴重なご意見は、取締役会で共有し、持続的な成長に向けた施策に活かしていきます。
配当金、配当性向(連結)
※1 2024年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。上記の配当金(円/株)は、2020年度の期初に当該株式分割が行われたと仮定し、算出しています。
※2 創立70周年(2025年3月1日)記念配当5円を含む。
IR事業説明会
資本効率の改善~「SB-ROIC」の活用~
当社グループは、事業単位での投下資本効率性を可視化するため、独自の指標「SB-ROIC」を2020年度より導入しています。一般的なROICは、「税引後営業利益÷投下資本(借入金+株主資本)」で算出されますが、借入金や株主資本を各事業単位に分解することは難しいため、事業単位別での算出は困難でした。一方で、「SB-ROIC」は、分子を「事業利益」とし、分母の投下事業資本も事業運営に使用される投資額である「売掛債権+棚卸資産+固定資産+保有株式-仕入債務」とすることで、事業単位で投下資本効率を評価できるようにしました。「SB-ROIC」ツリーを用いることで、事業別・会社別単位での収益性と投資効率の評価・管理が可能となり、グループ全体で資本コストへの意識を高めていきます。
株主との価値共有を促進するための施策
株主との価値共有を促進するための中長期インセンティブとして、経営に携わる取締役や事業にかかわる従業員に対して施策を講じています。取締役に支払われる役員報酬には、2023年度より譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。また、従業員には、持株会のインセンティブを高めて、参加を促しています。
2025年度には創立70周年記念行事として、持株会の対象を国内子会社の従業員にも拡大し、持株会に加入している従業員に特別奨励金として株式を一人当たり30株付与しました。これにより、本持株会未加入の従業員の加入を促すことができ、持株会加入者の比率は2割弱から8割超まで大きく伸長しました。今後も従業員にはインセンティブとしての株式報酬を検討していきます。
株主・投資家との対話の実績
| 活動 | 実績 | 内容 |
|---|---|---|
| IR面談 (うち、取締役対応) |
340件 (50件超) |
国内外投資家との個別面談、証券会社主催のカンファレンスへの出席、社長をスピーカーとする欧州機関投資家へのノンディール・ロードショーを実施 |
| バイサイド機関投資家向け スモールミーティング |
1回 | 主要株主を中心とした機関投資家を招待し、スモールミーティングを開催。会長、社長、半導体関連材料事業統轄役員、管理部門担当役員が参加 |
| セルサイドアナリスト向け スモールミーティング |
1回 | カバーアナリストを主としたセルサイドアナリストを招待し、スモールミーティングを開催。会長、社長、半導体関連材料事業統轄役員、管理部門担当役員が参加 |
| 対面での全社事業説明会 | 1回 | 事業説明と製品展示により事業・技術への理解促進を目的とし、対面開催。 |

