フェノール樹脂製品マテリアルリサイクルの取り組み

2026年1月13日


住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:鍜治屋 伸一)は、従来リサイクルが困難とされていたフェノール樹脂(成形材料の一部製品)において、成形工程で発生する端材などを微粉砕し、再利用するマテリアルリサイクルの商業的な運用を拡大しています。これにより、温室効果ガス(GHG)の排出削減や資源の循環、廃棄物削減に貢献します。今後は、自動車分野を中心により高性能な材料への適用を目指して技術開発を進め、循環型社会の実現に向けてお客様との連携を強化していきます。

取り組みの背景

近年、地球温暖化や廃棄物の増加といった環境問題が深刻化しており、GHGの排出削減による「カーボンニュートラル」の実現や、資源循環による「サーキュラーエコノミー」の推進が求められています。
プラスチック業界においても、リサイクル技術の開発は重要な社会的課題となっています。特に、環境への負荷を抑えるために、物理的に原料へ戻す「マテリアルリサイクル」を優先すべきだとされています。国内のプラスチック生産量の約9割を占める熱可塑性樹脂では、再溶融を利用したリサイクルが進められていますが、一度硬化すると熱で溶けることがない熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂については、リサイクルが難しい素材とされてきました。

フェノール樹脂の特長とリサイクル性

フェノール樹脂はプラスチックの中でも特に耐久性に優れており、製品寿命が長い一方で、リサイクルが困難とされてきました。しかし、成形品の端材を微粉砕し、フィラー(補強材)として再利用することで、リサイクルが可能であることが明らかになっています。
さらに、近年の研究により、使用中の劣化が少ないことや、リサイクル後も十分な性能が発揮されることが確認されています。これにより、従来のイメージとは異なり、フェノール樹脂はマテリアルリサイクルに適した素材であることが明らかになりつつあります(表1参照)。

表1 リサイクル視点でのフェノール樹脂と熱可塑性樹脂の比較
フェノール樹脂 熱可塑性樹脂
リサイクル性 溶融しないため、流動せず、難しい
(粉砕+コンパウンド工程が必要)
溶融するため、溶融混合が容易
(成形現場でのリサイクルも可能)
リサイクル原料の品質 劣化しにくい
(繰り返しリサイクルできる)
劣化しやすい
(繰り返しリサイクルには注意)
適用先 同種の樹脂だけでなく、様々な用途にフィラーとして利用可能 同種の樹脂へのリサイクル

リサイクルの取り組みについて

フェノール樹脂成形材料においては、部品メーカー様(例:明和工業株式会社 本社:岐阜県多治見市)から排出される端材を、粉砕業者が微粉砕加工し、当社の成形材料にフィラーとして再利用する水平リサイクルを実現しています。(図1参照)
本取り組みは経済的な合理性を保ちながら廃棄物を削減する技術として運用が開始されています。

図1 水平リサイクルの循環

図1 水平リサイクルの循環

図2 熱可塑性樹脂へのフィラーとしての再利用

図2 熱可塑性樹脂へのフィラーとしての再利用

さらに、フェノール樹脂の硬化物粉末をリサイクル樹脂パレットのフィラーとして利用する取り組みを、J&T環境株式会社(本社:神奈川県川崎市、神奈川県横浜市)と共同で進め、性能・品質・経済性を両立させた製品を開発し、運用を開始しました。(図2参照)

カーボンニュートラルへの貢献

フェノール樹脂は微粉砕しやすい性質を持っているため、粉砕処理に必要なエネルギー量を抑えることができます。その結果、新材を生産するよりも再生材の生産ではカーボンフットプリント(CFP)を削減することができます(表2参照)。
このように、資源循環によるサーキュラーエコノミーの推進がカーボンニュートラルの実現にも寄与します。

表2 フェノール樹脂成形材料の新材と20%再生材の比較
新材 20%再生材
再生材の含有率(%) 0 20
CFP(kg-CO2eq/kg) 3.0 2.5(新材に対して▲17%)

CFP試算条件
 ・データベース:IDEA v2.3
 ・影響領域:100年指数(IPCC, 2013)
 ・特性化モデル・対象項目:気候変動
 ・システム境界:廃棄~再生処理/原料採掘~成形材料
 ・成形材料の生産工場:静岡工場
 ・データ収集期間:2024年4月~2025年3月
 ・原単位:硬化物の粉砕工程は粉砕メーカーから消費エネルギーを聴取
 ・成形材料は、ガラス繊維強化材PF-GF55(有機分45%、無機分55%)を想定
 ・成形端材の発生は使用量の20%と仮定

今後の計画

当社は、フェノール樹脂のマテリアルリサイクルをさらに広げるためにフェノール樹脂が最も使用されている自動車分野への取り組みを強化します。特に、廃棄製品や使用済み自動車部品のリサイクルを促進するため、より高性能な材料への適用を目指して技術開発を進めてまいります。また、お客様との連携を通じて、持続可能な循環型社会の実現を目指していきます。

関連情報


本件に関するお問い合わせ

住友ベークライト株式会社 マテリアルズソリューション営業本部 複合材料・成形品営業部
TEL: 03-5462-4101