人権尊重

方針・基本的な考え方

当社は、当社グループの事業活動における人権尊重への取り組みの指針とするため、2024年2月1日付けで「住友ベークライトグループ人権方針」を制定しました。 本方針は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの人権に関する国際規範や日本国の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に則ったものであり、当社サステナビリティ推進委員会を経て、当社取締役会にて承認されたものです。

住友ベークライトグループ人権方針(2024年2月1日制定)

1. 目的

住友ベークライト株式会社は、「基本方針(経営理念)」、「私たちの行動指針」、「住友ベークライトグループ倫理規範」等とともに、住友ベークライト株式会社およびその子会社(以下、「当社グループ」)の事業活動における人権尊重への取り組みの指針とするために住友ベークライトグループ人権方針(以下、「本方針」)を以下の通り定めます。

2. 人権に関する基本的な考え方/人権に関する国際規範の支持・尊重

当社グループは、「国際人権章典」(「世界人権宣言」、「市民的および政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」)、「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」等に定義される国際的に認められた人権、および国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「OECD多国籍企業行動指針」等の国際的に認められた人権に関わる国際規範を支持・尊重し、これらの人権に関わる国際規範に則って事業活動を行います。

当社グループは、事業活動を行うそれぞれの国または地域における法と規制を遵守します。各国・地域の法令と人権に関する国際規範との間に矛盾がある場合には、人権に関する国際規範を最大限に尊重するための方法を追求します。

3. 人権に関する基本的な考え方/事業活動を通じた人権尊重

当社グループは、当社グループの事業活動から影響を受ける人々の人権を侵害しないこと、当社グループの事業活動において人権に対する負の影響を引き起こしまたはこれを助長したことが明らかになった場合には是正に向けた適切な対応をとることにより、人権尊重の責任を果たします。

当社グループは、事業活動に関連する以下を含む人権課題へのコミットメントが、人権尊重の責任を果たすための重要な要素であると認識しております。

(1) 児童労働の禁止

当社グループは、児童労働(特に、武力紛争への強制的徴集、児童の健康・安全・道徳を害する労働等の「最悪の形態の児童労働」)を容認しません。

(2) 強制労働の禁止

当社グループは、強制労働、債務労働(借金返済のために使用者の下で働かざるを得ない状況での労働)や人身売買などの形態の現代奴隷を容認しません。

(3) 差別の禁止

当社グループは、雇用や就業などの場面において、性別、年齢、国籍、民族、人種、宗教、思想・信条、性的指向・性自認、障がいの有無等によるいかなる差別も容認しません。

(4) ハラスメント・暴力の禁止

当社グループは、ハラスメントおよび精神的、肉体的であるかを問わず相手を傷つけるような言動を容認しません。

(5) 労働基本権の尊重

当社グループは、労働基本権(結社の自由、労働者の団体交渉権など)に関する法令の遵守に加え、これらの権利を支持・尊重します。

(6) 過重労働時間の削減

当社グループは、労働時間・残業、休日、休暇に関する法令の遵守・適切な管理に加え、過重労働時間の削減を図ります。

(7) 適切な賃金・手当の支払い

当社グループは、法に定められた最低賃金を上回りかつ生活賃金(基本的な生活を送るために必要な賃金)を満たす賃金と適切な手当を支払います。

(8) 安全で健康的な労働環境の確保

当社グループは、「安全をすべてに優先させる」という安全理念のもと、安全で健康的な労働環境の確保に積極的に取り組みます。

4. 適用範囲

本方針は、当社グループのすべての役員と従業員に適用します。加えて、当社グループは、当社グループの事業活動・製品・サービスに関係するすべてのビジネスパートナーの皆様に対しても、本方針を理解し支持していただくことを期待しています。

5. 人権デュー・ディリジェンス

当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権デュー・ディリジェンスの体制・仕組みを構築し、当社グループの事業活動から影響を受ける人々に与える人権への負の影響を特定し、その防止および軽減を図るよう努めます。

6. 教育・研修

本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実行されるよう、当社グループの役員・従業員に対し適切な教育を行うとともに、当社グループの事業活動から影響を受けるビジネスパートナー等の皆様への理解浸透に努めます。

7. ステークホルダーとの対話・協議

当社グループは、人権尊重における取り組みにおいて、人権に関する専門家、労働組合、ビジネスパートナー等のステークホルダーの皆様との対話・協議を行い、専門知識や幅広い考え方を踏まえて包括的な施策を推進します。

8. グリーバンスメカニズム(苦情処理メカニズム)

当社グループは、社内外からの救済へのアクセスのために既に設置されている内部通報窓口や相談窓口を維持するとともに、さらに実効的なグリーバンスメカニズム(苦情処理メカニズム)の整備運用に取り組んでいきます。

9. 情報開示

当社グループは、本方針に基づく人権尊重の取り組みの進捗状況およびその結果を、ウェブサイト等を通じて定期的に情報開示します。

本方針は、住友ベークライト株式会社の取締役会において2024年1月31日に決議されております。

以上

体制 (ガバナンス)

人権デュー・ディリジェンス(人権DD)推進体制

2024年度から、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの人権に関する国際規範や日本国の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」に則った人権デュー・ディリジェンス(人権DD)に着手しました。

当社では、リスクマネジメント委員会(委員長:社長、委員:各部門統轄役員・個別リスク主管部の長)の中に、部門横断的な「人権DDワーキンググループ」(リーダー:人事担当役員)を設置し、リスクマネジメント委員会の監督のもと、人権DD実施計画の立案・推進をしています。

人権デュー・ディリジェンス(DD)推進体制

苦情処理メカニズム

当社グループでは、当社グループが人権への負の影響を引き起こし、または助長している場合における救済の手段として、当社グループの役員および従業員に加え、退職者、採用応募者、取引先を含む当社グループの利害関係者すべての方々が利用できる通報・相談窓口(コンプライアンス通報制度)を設置しています。コンプライアンス通報制度では、匿名での通報が認められているほか、通報者の特定につながりうる情報の機密保持が義務付けられ、通報者の探索や通報者への不利益取り扱いは禁止されています。加えて、住友ベークライトおよび日本国内の関係会社では、ハラスメントについては、専用の相談窓口である「ハラスメント相談窓口」を設置しており、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなどの各種ハラスメントに対する従業員からの相談を受け付ける体制を整えています。また、一部の日本国外の関係会社においても、独自の内部通報制度・苦情処理メカニズムを保有している会社があります。当社グループは、今後も、さらに実効的な苦情処理メカニズムの運用に取り組んでいきます。

リスク管理

人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の実施

当社グループにおける人権デュー・ディリジェンス(人権DD)では、図で示した人権DDのステップ①~④を3年に1回程度のサイクルで回す計画としております。また、その進捗等は、このページ(当社WEBサイトのサステナビリティ>社会>人権の尊重のページ)等にて適宜開示しております。

人権尊重への取り組みの全体像・人権DDのステップ
  • ※1 2024年2月制定
  • ※2 内部通報制度・ハラスメント相談制度等

2024年度の人権DDの取り組み結果

2024年度は、上記ステップのうち 「①人権への負の影響(人権侵害リスク)の特定・評価」を実施いたしました。

  • 優先的に取り組むべき人権課題の検討を目的としたデスクトップ調査を実施
  • 国際機関や市民社会組織等の専門的な情報※1や実際のリスク発現事例を調査したうえで、産業別のリスク・製品およびサービス別のリスク・地理的リスク等を考慮し、当社グループの事業およびそのバリューチェーン上で生じ得る人権への負の影響を整理
  • 整理された各リスクの深刻度(規模・範囲・救済困難度)と発生可能性を想定し、リスクマッピングを実施
  • その中から、優先的に取り組むべき人権課題として「児童労働」「強制労働」を選定※2
  • 米国労働省発行の「児童労働・強制労働によって生産された物品リスト」をもとに、原料サプライヤーの中から高リスクサプライヤーを抽出
  • ※1 経済人コー円卓会議日本委員会「業界毎に重要な人権課題」、米国労働省「児童労働・強制労働によって生産された物品リスト」など
  • ※2 リスク値(深刻度×発生可能性)が高いものから対処。 リスク値が同じ場合は「深刻度」>「発生可能性」の順に対処
人権尊重への取り組みの全体像・人権DDのステップ

2025年度以降の人権DDの取り組み予定

2025~2026年度は、前述の人権DDのステップの②として児童労働・強制労働に関する書面調査 (社内向け、サプライヤー向け)・調査結果への対応(是正対応等)を予定しています。

2025年度~2026年度に実施する児童労働・強制労働に関する書面調査等の対象

2025年度 2026年度
  • 当社グループの生産拠点(構内外注会社含む)
  • 米国労働省のリストをもとに選定した高リスクサプライヤー
  • 人材派遣会社、物流 (運送・倉庫)会社等

指標と目標

当社グループでは、人権の尊重を「経営の重要課題」の1つとして選定、 人権DDの進捗を「経営の重要課題」のKPIとして設定し管理しております。 また、人権の尊重に関連した「経営の重要課題」のKPIとして、サステナブル調達率や3TGに関するRMAP適合精錬所使用率を設定し管理しております。

主な取り組み

人権に関する社内教育

毎年、12月の「人権週間」に合わせて、当社および日本国内の関係会社の全従業員および海外の関係会社の一部の従業員を対象に人権に関するe-ラーニング教育を実施しています。

2024年度は、「ビジネスと人権」、「ハラスメント防止教育」の二つの教育を実施しました。

「ビジネスと人権」は、ビジネスと人権を取り巻く世の中の動き、企業による人権への取り組みの必要性と当社の取り組み状況に焦点を当てた教育です。

「ハラスメント防止教育」では、「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」「妊娠・出産・育児休業等へのハラスメント」など各種ハラスメントを正しく理解し、その予防に取り組むことを呼びかけています。また、万一ハラスメントを受けたときに取るべき対応にも触れ、解決や救済のプロセスの周知を行っています。

パソコンで社内教育を受ける様子
  • パソコンで社内教育を受ける様子

サプライチェーンに対する人権尊重の取り組み

当社グループでは、サステナブル調達方針を定め、人権に配慮した調達活動を行っております。

主要サプライヤーに対して人権・労働・安全衛生等の内容を含む、サステナブル調達アンケート調査を実施し、サプライチェーンでの人権取り組み状況を確認しております。

また、責任ある鉱物調達の継続的な取り組みのため、「住友ベークライトグループ責任ある鉱物調達方針」を制定し、スズ、タンタル、タングステン、金、コバルト、マイカを使用・添加した原材料・部品を取り扱う調達取引先に対してRMIの発行する紛争鉱物調査テンプレート(CMRT)/拡張鉱物調査テンプレート(EMRT)を使用した調査を実施しております。

調達方針・サステナブル調達アンケート調査・責任ある鉱物調達への対応の詳細については以下のリンク先をご覧ください。

労働安全衛生に関する取り組み

当社グループにおける労働安全衛生に関する取組みについては、以下のリンク先をご覧ください。

製品責任・品質保証に関する取り組み

当社グループにおける製品責任・品質保証に関する取組みについては、以下のリンク先をご覧ください。

「Myじんけん宣言」に賛同

当社グループは、法務省・全国人権擁護委員連合会による「Myじんけん宣言」プロジェクトの趣旨に賛同し、「Myじんけん宣言」を公表しました。「Myじんけん宣言」とは、企業、団体および個人が、人権を尊重する行動を取ることを宣言し、それによって、誰もが人権を尊重し合う社会の実現を目指す取り組みです。

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