
Upregulation of Sulfated N-Glycans in Serum
as Predictive Biomarkers for Early-Stage Breast Cancer
Dereje G. Feleke, Bryan M. Montalban, Solomon T. Gizaw and Hiroshi Hinou
International Journal of Molecular Sciences 26.11 (2025): 4968. | https://www.mdpi.com/1422-0067/26/11/4968
Copyright: © 2025 by authors.
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血清中硫酸基化N型糖鎖の発現上昇は早期乳癌の予測バイオマーカーとして有用である
背景
従来の腫瘍マーカーであるCA15-3やCEAは感度や特異度が十分でなく、より高精度な分子指標の開発が求められていました。本研究は、乳がんの早期診断に有用な新しい血清バイオマーカーを探索することを目的として、硫酸化N型糖鎖の網羅的解析を行ったものです。
本研究の成果
本論文では、分析が難しい低存在量の硫酸化糖鎖に対して、グライコブロッティング法を用いた”サルフォグライコミクス”解析を行いました。この方法は、糖鎖をヒドラジド基担体(住友ベークライト製、糖鎖精製ラベル化キットBlotGlyco®)上で効率的に捕捉・精製でき、さらに弱陰イオン交換分離およびMALDI-TOF MS分析と組み合わせることで、従来法では検出困難だった硫酸化糖鎖を高感度に定量することが示されました。
エチオピア人乳がん患者76例と健常対照20例の血清を比較した結果、13種類の硫酸化N型糖鎖を同定し、そのうち7種類のモノ硫酸化糖鎖が乳がん群で有意に上昇していました。これらは特にステージI〜IIの早期乳がんで顕著に増加し、診断精度も高い(AUC値0.8以上)ことが示されました。また、これらの糖鎖にはルイス型抗原構造やシアル酸修飾が多く見られ、がん細胞の接着や免疫回避、転移に関与する可能性が示唆されました。
この成果は、血清分析による非侵襲的な早期乳がん診断の実現に向けた重要な一歩です。さらに、グライコブロッティングを応用した硫酸化糖鎖の包括的定量解析は、がんのみならず他疾患の糖鎖バイオマーカー研究にも新たな可能性をもたらすものです。
※詳細は 論文 をご参照ください
【図】乳がん各ステージにおける硫酸化糖鎖の上昇パターンを示した図。特に早期乳がんで特異的に増加することが示唆されている。
本論文で使用された製品
| 品番 | 品名 | 内容物 |
参考価格(円) |
||
|---|---|---|---|---|---|
| ポリマービーズ | 反応用チューブ | クリーンアップカラム | |||
| BS-45414 | BlotGlyco®10B | 10回分 | 10本 | 10本 | 52,000 |
注記
- 保管温度:冷蔵(4℃)
- 参考価格(本体価格・税抜)
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