圧倒的なシェアと信頼、常に先を行く技術革新で業界をリードし続けます
2022年度の振り返り
取締役 専務執行役員
倉知 圭介
主力製品が好調に推移した2021年度から一転し、2022年度は第2四半期から急激な需要減に見舞われました。中国、台湾のスマートフォンを中心とする民生品が、上海ロックダウン解除後も回復しなかったことに加え、車載関連で半導体不足やウクライナ情勢の影響から部材調達難が生じ、ライン稼働が低調に推移するなど、当初予想していた数字には至りませんでした。
下期以降も、民生品の需要は回復せず、年度末まで低迷が続きました。一方、ようやく回復基調となったモビリティ分野の中で、注目すべきはEV関連です。堅調に増加しており大きな期待がかかります。また、すでに着工している中国、台湾、欧米におけるライン増強は成長市場に向けて、予定を変えることなく、計画を進めています。
成長市場に標準を合わせ、顧客ニーズを素早く捉えてシェアアップを図る
2021年度はスマートフォンやパソコンなどの民生機器に使用される半導体需要の増加により業績が大幅に伸長しました。
2022年度はその反動により民生機器の需要が低迷しましたが、モビリティやデータ通信関連は堅調に推移し、売上収益では微増ながら2021年度を上回る結果となりました。
2023年度は、スマートフォンを中心とする民生品は、今後も力強い回復はないと予測しています。民生品の需要変化は、消費動向が敏感に反映されるため見通すことが難しいですが、成長市場に照準を合わせたマーケティングや営業、生産、研究開発に注力し「新製品」「新用途」「新顧客」の開発により、売上収益と事業利益の増加を目指します。
半導体分野では高集積半導体向けに、モールドアンダーフィル材、顆粒材、再配線材などの拡販に力を入れます。また、パワー半導体用途では、高放熱、高絶縁といった特徴のある製品ラインナップを拡充し、シェア拡大を狙います。成長が著しいモビリティ用途では、モーター磁石固定用封止材、ECU一括封止材、パワーモジュール用封止材の3製品をさらにワールドワイドで拡販していくとともに、第4の製品であるステーター用封止材を市場に投入し、事業拡大を加速させていく方針です。
また、生産体制については、将来、確実に伸びる分野を見据え、必要な整備を遅滞なく進めていきます。特に、需要が旺盛な欧米のモビリティ関連の対応を、今年度の最重要課題と位置付け、積極果敢な取り組みで結果につなげてまいります。
【戦略製品】
強みに磨きをかけたラインナップで新たなビジネス機会の創出に挑む
いよいよ中期経営計画の最終年度となる2023年度を迎えました。スピードが速く、変化が激しい事業領域で市場拡大を図るには、シェアを生かした情報収集による戦略的な提案と実行力で、顧客との信頼関係を築くことが持続的成長の鍵になると考えています。日本、アジア、欧米にオープンラボを展開しており、顧客との協業を通じていち早くニーズに応えていくしくみも充実を図っていきます。主力製品の半導体封止材に加えて、感光性材料や半導体用ダイボンディングペーストを、パワー半導体、データ通信用途、マイクロ/ミニLED、アンテナやディスプレイといった新用途にも展開し、事業拡大を目指します。これらの活動により、2025年度のターゲットである「売上収益1000億円、事業利益率20~25%」達成に弾みをつけていきたいと思います。
SDGs貢献製品については、2022年度の売上収益は610億円でした。これは半導体関連材料全体の76%を占めるもので、前年度比2%増となりました。この結果は、モビリティ戦略3製品として好調を維持しているモーター磁石固定用封止材、パワーモジュール封止材、ECU一括封止材の貢献によるところが大きく、新たにステーター用封止材を加えた強力な製品群でモビリティ分野におけるSDGsへの貢献を進めます。環境対応への取り組みは社会からのニーズが高まっていることから、当社でも、バイオ原料の採用、常温保管や低温硬化などの材料開発を強化しています。
中期経営計画目標達成に向けた事業戦略
より高みへ。リーディング・カンパニーの存在感をアップ
当セグメントでは、「エレクトロニクスとモビリティの未来に夢を与えるマテリアル・ソリューション・プロバイダー」をパーパスに制定しています。自動車の電動化や自動運転、通信データの高速化や大容量化をこれまでどおり事業の柱としながら、躍進を続けるパワー半導体や高集積半導体を中心にさらなるシェアアップを図り、持続的な成長をキープし続けてまいります。
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