より上質な価値の提供で社会に貢献し続けます
2022年度の振り返り
取締役 専務執行役員
小林 孝
2022年度の業績は前年度を上回ることができました。北米向けのヘルスケア関連製品、医薬品包装用や食品用のフィルム・シートが堅調に推移、また、原料費の高騰分の売価転嫁を着実に行ったことが業績に貢献しました。
一方、民生機器の需要減に伴う半導体などの在庫調整の動きや、原料ならびにエネルギー費用の高騰から減収・減益を喫した製品もあり、事業分野内でも製品ごとに明暗を分ける結果となりました。将来に向けては、産業機能性材料で高付加価値の光学シートや絶縁シートの引き合いが増えていることや、医療機器事業の川澄化学工業との統合が進展するなど、明るい兆しが感じられる1年でした。
シナジーの最大化で競争力を高め、多彩な分野で支持される製品展開を
ヘルスケアの医療機器事業では、2021年10月の川澄化学工業との事業統合以来、経営・組織・業務の効率化を進めてきました。当初の予想を超えるシナジーが創出され、2022年度は事業拡大と収益力の向上が図れました。S-バイオ事業は、2021年4月に診断薬事業の「SBバイオサイエンス」を吸収合併した効果が、製造、営業の両面で発揮されました。加えて、神戸にバイオ・サイエンス研究所を設立したことで、より付加価値の高い製品群を早期に商品化する体制が整いました。さらに、グローバル企業とのアライアンス強化を積極的に進めた結果、伸張性の高い再生医療用の三次元培養器材の拡販が実現しました。
フィルム・シート事業は、新型コロナウイルスの影響下で営業活動のDXが進みました。デジタル技術を駆使したウェビナーやリモート工場見学が好評で、お客さまとの関係強化につながりました。医薬品包装用は、ジェネリックの新規案件を着実に取り込んでシェアアップを実現。産業用はアジア・アセアン市場で取引が増加し、食品用はバイオマス原料を使用した環境対応フィルムを相次いで市場投入してきました。
産業機能性材料事業、防水関連事業は、高付加価値品の販売比率を増やし、収益力の向上に努めます。
【戦略製品】
付加価値の高い差別化商品で優位な市場ポジションを獲得
ヘルスケアの医療機器事業では、血管内治療デバイス、消化管ステント市場の製品ラインナップを増強し拡販を目指しています。S-バイオ事業は、糖鎖ソリューションの拡充などにより創薬支援事業のグローバル化を進めていきます。
フィルム・シート事業は、環境対応製品を拡充し差別化をより鮮明にしていく考えです。モノづくりではオートパイロット導入によるスマートファクトリー化も着々と進行中です。すべての事業において、成長分野へのシフトを加速しポートフォリオの見直しを図ってまいります。
SDGsへの取り組みとしては、フィルム・シート事業の医薬品包装用で、バイオマス、モノマテリアルのラインナップを拡充しました。食品用では、優れた鮮度保持機能に加え意匠性やおいしさの向上を可能にするスキンパックや、防曇・防カビ機能を付加した鮮度保持フィルム「P-プラス®」など、多彩な製品を取り揃え、食品ロス削減に貢献します。
産業機能性材料では、高耐候ポリカーボネートの適用で長寿命化に貢献。熱線反射ポリカーボネートによる住環境のエネルギーロス削減や自動車の電動化に最適化された加工可能な絶縁シート、自動車の安全運転性能を高める光学制御シートなど、多様な用途で新製品を開発・市場投入しています。
防水関連では、高耐久防水シートの適用による長寿命化、廃棄物削減、防水シートの端材を再利用した部材でエコマークの取得など、資源循環型社会にも対応しています。人々の生活や健康にかかわる製品が事業領域の大半を占める当セグメントでは、市場創出やシェアアップを図ることが、SDGsへの貢献につながるため、注力分野を定めて取り組みを強化していきます。
中期経営計画目標達成に向けた事業戦略
モノ×サービスで「ニッチ&トップシェア」の実現を目指す
強みを生かせる成長市場を見極めて、カーボンニュートラル社会に適したポートフォリオを見直し、新製品の開発や新用途、新顧客の開拓を進める一方、当社が強い領域でモノとサービスを組み合わせたビジネスモデルを構築し事業拡大につなげます。すべての部門でDXの推進を図り、働き方改革とともに、生産性向上と品質安定化が両立したコスト競争力のあるモノづくりに努めてまいります。
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