方針・基本的な考え方
環境方針
当社グループに関わる環境課題(温室効果ガス(GHG)削減を含む)に関する方針として、当社グループでは環境方針を定めております。 当社グループの環境方針は、下記のページに記載しております。
当社グループの環境ビジョン2050(ネットゼロ)
当社グループが事業を行うためには、地球環境から得られる資源やエネルギーが欠かせません。一方、事業活動を通じて廃棄物や大気への排出、排水などが必ず発生します。このため、環境関連法規を順守し、地球環境に与える負荷を極小化しながら事業活動を行うとともに、製品・サービスを通じて社会全体の環境負荷を低減する取り組みが重要であると考えています。
当社グループでは、政府の2050年カーボンニュートラル宣言 (2020年)、およびそれに続く2030年GHG46%以上削減 (2013年度比)
目標の提示に合わせて、2050目標「カーボンニュートラルに挑戦」、2030目標「CO2排出量46%以上削減
(2013年度比)」を2021年度に設定し取り組んできましたが、2023年度にはCO2排出量削減実績が48%と目標を前倒しで達成することができました。SBTi認定取得(1.5℃目標相当)を目指すため、2024年2月にSBTiへのコミットメントを行い、次のように目標を見直しました。
・2050目標「カーボンニュートラルに挑戦」
・2030目標 GHG排出量
「スコープ1+2: 48%以上削減 (2021年度比)」
「スコープ3: 25%以上削減 (2021年度比)」
GHG排出量”ゼロ”挑戦


- ※1Material Flow Cost Accounting(マテリアルフローコスト会計)の略で、環境負荷低減とコスト低減の両立を同時に追求することを目的とした環境管理会計の手法です。当社グループでは分析手法として活用しています。
リスク管理
当社グループに関わる環境課題(温室効果ガス(GHG)削減を含む)に関するリスクおよび機会の識別、評価、ならびに管理は、下記のページに記載のリスクマネジメント体制・リスクマネジメントプロセスに沿って実施しております。
指標と目標
当社グループでは、政府の2050年カーボンニュートラル宣言および2030年目標の提示に合わせ、2030年までの目標を「CO2排出量46%以上削減(2013年度比)」として削減に取り組んできましたが、2023年度の実積でCO2排出量48%削減となり、目標を前倒しで達成することができました。
現在はSBTi認定取得(1.5℃目標相当)を目指しており、2023年2月にSBTiへのコミットメントを行っています。
2030年までのGHG(Scope1+Scope2)削減中期目標についても、「2021年度比48%以上削減」を新たな目標として再設定しました。
2024年度中にはScope3についても削減目標を設定し、サプライチェーン排出量の削減にも取り組んでいく計画です。
住友ベークライトグループ全体
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主な取り組み
カーボンニュートラル推進委員会の活動
政府の2050年カーボンニュートラル宣言および2030年目標の提示から、当社グループは中長期的な目標として計画を見直していましたが、SBTi認定取得を目指すため、次のように新たに目標を設定しました。
・2050目標「カーボンニュートラルに挑戦」
・2030目標「GHG排出量48%以上削減 (2021年度比)」
カーボンニュートラル推進委員会では、毎年度末に環境中長期目標に対する活動進捗を総括し、次年度目標を決定し上位組織であるサステナビリティ推進委員会の承認のもとで活動しています。目標達成のため委員会内に2つの部会を設け、環境負荷の低減に向けて取り組んでいます。
ライフサイクル部会では、研究段階から科学的、定量的、客観的に評価をする活動を通じ、環境負荷を最小化する生産方式の確立を目指しています。
カーボンニュートラル実現に向けたグローバルな動きの中で、商品を原材料から使用、そして廃棄に至るまでの長期間にわたる評価を行うLCA (ライフ・サイクル・アセスメント) の観点が欠かせないものとなっており、顧客、サプライヤーとの対話の中で「LCA」という言葉が一般化してきています。
このような状況を踏まえ、LCAの社会背景、LCA手法の基礎、住友ベークライトグループの取り組みなど、基本的な知識を身に付けるため、2023年度は本社所管社員を対象に、初めてe-ラーニング「LCA基礎」を行い、1,725名が受講しました。
全研究開発部門で実施すべきテーマを決めて、原材料の採取から最終的な廃棄 (Cradle to Grave) までのライフサイクルアセスメント (以下: LCA)を意識して取り組んでいます。2023年度はLCAを理解し製品のカーボンフットプリント (CFP) を計算できる有資格研究開発者を「全研究者の25%以上を維持する」という目標に取り組み、LCA導入コース、LCAトレーニングコース、LCA実践コース (LCAにかかわるすべての教育・個別指導) をオンライン形式で行い、2023年度実績32%と目標を維持しています。なお、2023年度からは有資格者の中から各所で指導係を選び、各所のLCA取り組みのレベルアップを行っています。2024年度も教育機会の充実を継続し、有資格研究開発者25%維持に努めます。
また、2020年10月の日本政府による温室効果ガス排出のネットゼロ宣言以降、顧客からのLCAにかかわる問い合わせが急増していることを踏まえ、2024年度末までに当社グループの全製品について原材料の採取から工場出荷 (Cradle to Gate)までのLCAに関する情報をスピーディーに提供できるしくみを確立する計画です。国内の取り組みとしては2023年度末実績93% (計画92%) となりました。2024年度には海外工場も含め取り組みを進めます。
CN技術検討部会では、省エネルギーの取り組みとして、国内では各所の自主推進などにより省エネルギーアイデアを継続的に抽出・実現するしくみを根付かせる活動を行っています。
2023年度は2021年度比で主に都市ガスと電力使用量の削減により、トータルで原油換算2,951kL (114,369GJ)、CO2換算で5,696t-CO2の削減を達成しました。海外では国内の活動を準用するとともに、活動手法・事例の横展開推進を継続しています。また、前記に示す2050年目標であるCNへの推進の一環として、国内事業所の購入電力について、主要事業所すべて再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを2022年1月より実施、今後も契約を継続していきます。また、海外グループ会社でも再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを進めています。
2023年度は、CN推進委員会の目的に沿い、CN技術検討部会として直近の2030年目標に向けた計画を立案し取り組みます。また、省エネルギーについてはこれまでと同様に、省エネルギー目標を掲げ、事業所単位削減計画の達成も目指した取り組みを継続します。特に、国内事業所間で省エネルギー事例や技術情報を共有し、全社的に省エネルギー技術のレベルアップを図るしくみづくりや、国内マザー事業所と全社省エネルギー事務局が連携して系列事業所を技術支援する省エネルギー活動に取り組みます。
気候変動プログラムへの取り組み・TCFDの取り組み・GXリーグへの参画
CDP※1(本部: ロンドン)は、2000年に世界の機関投資家が連携して設立した国際NGOです。世界の主要企業や自治体に対して「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト」などの質問票を送付し、気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトを行っています。
CDP2023の調査では、運用資産総額136兆米ドルに達する740超の機関投資家を代表して調査が行われ、23,000社以上の企業が、CDPを通じて環境データを開示しています。
日本においては、2022年からは、気候変動に対する開示要請の対象企業を、東京証券取引所のプライム市場上場企業全社 (1,841社) に拡大しています。
当社は、2023年度のCDPの回答要請に対応し、2024年2月、気候変動「A-」、水セキュリティ「B」評価を受けました。2024年度も、気候変動および水セキュリティへの回答要請を受けており、回答を行いました。
また、2021年2月に賛同を表明した、TCFDの取り組みについては、【TCFD提言に基づく情報開示(気候変動対応)】で紹介しています。
新たな取り組みとしては、2022年度経済産業省が公表した「GXリーグ※2基本構想」への賛同の表明に続き、2023年5月に参画企業となった「GXリーグ」については、住友ベークライト国内グループにおける目標値を設定し取り組みを進めています。
(https://dashboard.gx-league.go.jp/company/9010701005073/)
当社グループは今後も、気候変動にかかわるリスクおよび機会に関する積極的な情報開示を行い、ステークホルダーの皆さまへの説明責任を果たしていきます。
環境負荷低減、省資源・省エネルギー化、化学物質管理、環境に貢献する製品の開発を行い気候変動への対応に貢献しつつ、今後も環境情報の開示を進めます。
- ※1 CDP:以前の「The Carbon Disclosure Project」。現在は「CDP」が正式名称。
- ※2 GXリーグ:2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取り組みを行う企業群を官・学とともに協働する場。
省エネルギーとCO2排出量削減
国内事業所では、すべての製造・研究拠点における購入電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えており、2022年度以降はCO2排出量が大幅に削減しています。
海外事業所においても再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを推進しており、2023年度は中国・東南アジア地区の一部で切り替えを実施しました。
また、太陽光発電の導入を積極的に進めたこともあり、2023年度もエネルギー使用量原単位とCO2排出量原単位はいずれも削減に向かいました。
2024年度以降も再生可能エネルギー活用の計画を進め、さらなるCO2排出量の削減を目指します。


- ※1・※2 エネルギー使用量およびCO2排出量の原単位は次式より求めた売上高原単位です。
- • エネルギー使用量原単位=エネルギー使用量[千GJ]/売上高[百万円]
- • CO2排出量の原単位=CO2排出量(Scope1+Scope2)/売上高[百万円]
-
※1 当期の開示より、過年度を含めエネルギー使用量の表記を従来の原油換算値(kL)から熱量(GJ)に変更しています。
また、過年度を含め電力使用量の熱量換算係数を3.6GJ/千kWhに変更しています。
生産・営業段階における排出量削減の取り組み (再生可能エネルギー利用)
国内事業所においては、主な事業所すべての購入電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えました。また、海外事業所においても同様に切り替えを推進するとともに、太陽光発電の導入も積極的に進めています。その結果、再生可能エネルギーの利用により削減されたグローバルでのCO2排出量は、2023年度実績で全体の32%にのぼります。


生産・営業段階における排出量削減の取り組み (再生可能エネルギー利用以外)
当社は、早くから石油系の燃料から天然ガスへの燃料転換に取り組んできました。
天然ガスは石油系燃料と比較して、SOxやNOxの削減とともにCO2排出量も約30%の削減となります。
国内においては2005年頃から順次切り替えを進め、2009年には住友ベークライト直轄事業所のほとんどが天然ガス(都市ガス)へ転換されました。一部インフラの関係で転換の遅れていた関係会社でもガス化への取り組みを進めています。
海外事業所では、北米・欧州の事業所は早くから天然ガスへの転換が進んでいましたが、中国・アジア地区でも天然ガスへの転換を順次進め、2023年にはほとんどの事業所で燃料転換が完了しました。
現在、住友ベークライトグループ全体での燃料使用中の天然ガス等のエネルギー比率は約87%ですが、国内関係会社の転換を進めることで2027年までに90%以上を目指します。
Scope3データの開示
サプライチェーン全体でのCO2排出量の把握・削減が重要度を増していることから、当社グループでは2015年から国内事業所のサプライチェーンにおけるScope3の算定と開示を開始し、2018年度からは、対象を海外事業所にも拡大しました。
国内・海外ともにカテゴリ1「購入した製品・サービス」が大きな排出量を占めており、これらを削減していくことが今後の課題となります。
2024年度には新たにScope3の削減目標を定め、SBTi認証取得に向けた取り組みを加速してまいります。
Scope3のCO2排出状況と各カテゴリの排出状況
(国内・海外事業所)
No | カテゴリ |
排出量 (千t-CO2/年) |
---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | 718 |
2 | 資本財 | 65 |
3 | Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | 39 |
4 | 輸送、配送(上流) | 61 |
5 | 事業から出る廃棄物 | 6 |
6 | 出張 | 2 |
7 | 雇用者の通勤 | 5 |
8 | リース資産(上流)※1 | ー |
9 | 輸送、配送(下流)※2 | ー |
10 | 販売した製品の加工※2 | ー |
11 | 販売した製品の使用※2 | ー |
12 | 販売した製品の廃棄※2 | 40 |
13 | リース資産(下流)※1 | ー |
14 | フランチャイズ※1 | ー |
15 | 投資 | 11 |
Scope3 計 | 947 | |
Scope1(直接排出) | 80 | |
Scope2(エネルギー起源の間接排出) | 75 |
- 算定方法:環境省、経済産業省による「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver3.4)」をもとに、独立行政法人産業技術総合研究所および一般社団法人産業環境管理協会が共同開発したデータベース IDEA ver.3.3、カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム 基本データベース、およびサプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量の算定のための排出原単位データベースに記載の排出係数を用いて算定。
- ※1 事業の性質上、該当なし
- ※2 未算定
- ※集計対象については、統合報告書の編集方針をご参照ください。
フロン排出抑制法への対応
2015年4月に施行され2020年4月よりさらに強化された「フロン排出抑制法」について、各事業所への周知を行い、所有している業務用冷凍空調機器の定期的な簡易点検や、定格出力7.5kW以上の機器を対象とした法的な定期点検の実施を確実に進めています。特に事務室用の空調機器は数が多いため、更新時の抜け・点検漏れが発生しないように社内監査で毎年点検するなど、管理面の強化にも努めています。
また、オゾン層破壊の防止・地球温暖化抑制の観点から、オゾン破壊係数ゼロで温暖化係数の低い冷媒への切り替えを推進しています。
既存の機器については「フロン排出抑制法」に則り、毎年の定期検査時にフロン漏洩量を把握し、報告が必要となる量の漏洩がないことを確認しています。
なお、当社は、経産省・環境省とともに「フロン排出抑制法」の順守を啓発・推進する一般財団法人日本冷媒・環境保全機構によるフロン排出抑制法順守への取り組みを評価する「第3回 JRECOフロン対策格付け」において、最高ランクの「A」に選出されました。
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