社外取締役インタビュー

社外取締役インタビュー SPECIAL INTERVIEW

新社長とともに挑む変革の航路、
社外取締役が語る期待と提言

住友ベークライトに新たな社長が就任した2025年度。中期経営計画の進捗や経営の重要課題への対応、
そして取締役会の実効性向上に向けた取り組みについて、3名の社外取締役が見解を語ります。
社外の視点から得られる、企業価値向上へのヒントとは。

社外取締役 松田 和雄
社外取締役
松田 和雄
社外取締役 永島 惠津子
社外取締役
永島 惠津子
社外取締役 若林 宏之
社外取締役
若林 宏之
社外取締役 松田 和雄
社外取締役
松田 和雄
1971年 4月
株式会社富士銀行(現株式会社みずほ銀行)入行
2000年 4月
富士証券株式会社(現みずほ証券株式会社)専務執行役員
2000年10月
みずほ証券株式会社常務執行役員
2009年 6月
日本精工株式会社取締役代表執行役専務
2011年 6月
日本精工株式会社特別顧問
NSKワーナー株式会社常勤監査役
大同メタル工業株式会社監査役(現任)
2015年 6月
当社監査役
2016年 6月
当社社外取締役(現任)

松田取締役にお聞きします。

今年6月に鍜治屋新社長が就任されました。新たな経営体制に対する期待や要望について、お聞かせください。

今中期経営計画では、製品構成の最適化と既存事業の収益力強化実現のために、資本効率を重視した各事業へのキャッシュアロケーションの設定と、それを踏まえた製品ポートフォリオ改革をさらに押し進める必要があります。これは創業以来70年にわたって受け継ぐ経営理念を次代につなげていくものだと感じています。新社長を中心とした経営陣の皆さんには、まずこのテーマに迅速かつひたむきに取り組んでいただきたいと思っています。外部環境の変化は起こり得るものですが、その変化に柔軟に対応し、果敢に挑戦していくことも経営の課題です。私たち社外取締役も各々が持つ知見を集め、環境変化に対する適切なアドバイスを通して、住友ベークライトの進むべき道筋を照らす存在でありたいと思っています。

2024年度の取締役会の運営や議論などを通じて、実効性の変化で感じられたことをお聞かせください。

2015年にコーポレートガバナンス・コードが策定されてから10年が経過し、この間に住友ベークライトの取締役会は大きく変化しました。特にこの間に設置された社外役員会が、今では執行部隊と社内取締役・監査役との重要なコミュニュケーションの場になっています。監査役と社外取締役の間での情報の鮮度や量の差をどのように埋めるかは悩ましい問題ですが、住友ベークライトでは社外役員会がこの課題を解決してくれていると感じています。ここ最近では社内役員で構成される経営会議における議論内容も、社外役員会で説明されて、いわゆる“経営の見える化”が進んでいることも評価できます。今後も執行部隊とのコミュニュケーションを通じ、ともに中期経営計画の実現に向け、歩みを進められればと思います。

今中期経営計画では、「戦略①:製品構成を最適化し、既存事業の収益力を強化」と定め、新たにキャッシュアロケーションを設定した上で施策を進めています。これらの取り組みの評価と今後の課題について助言をお願いいたします。

2025年度より始動した中期経営計画では、財務・非財務の両面で明確な目標が設定され、達成度が取締役の賞与評価にも連動しています。また、ステークホルダーを意識したキャッシュアロケーションも計画の方針に沿って実行され、初年度には大型の自己株式取得も実施済みです。この中期経営計画における重要な戦略の一つが、「製品構成を最適化し、既存事業の収益力を強化」であり、資本効率を重視した製品ポートフォリオ改革が進められています。住友ベークライトではこの資本効率を測る独自指標のSB-ROICを、2025年度より事業部単位の管理指標として新たに設定しました。これは着実な製品ポートフォリオ改革に向けた一歩であり、全社的な指標を事業部単位へと落とし込む過程で、いかに各事業部がこの指標を「自分ごと」として捉えるかが、今後ますます重要になります。私は社外取締役の立場から、SB-ROICが各事業部で自律的に機能するプロセスをしっかりモニターしていきたいと考えています。

永島取締役にお聞きします。

今年6月に鍜治屋新社長が就任されました。新たな経営体制に対する期待や要望について、お聞かせください。

鍜治屋社長は、社内での人望が厚い方だと伺っております。就任早々、円高やアメリカの関税問題等が山積する難しい環境ではありますが、外部環境の変化は会社の事業効率を見直す好機だと思いますので、その手腕に期待しています。また、新社長を中心とした経営陣は中期経営計画の目標達成に向けて、12の経営の重要課題(マテリアリティ)に取り組んでいくことになります。しっかり議論して定めた目標や指針があるので、ぶれずに決断し実行していただければと思います。私たちも「2030年ありたい姿」を目指して、住友ベークライトを「未来に夢を提供する会社」へと育てるお手伝いをしていきたいと思っています。

2024年度の取締役会の運営や議論などを通じて、実効性の変化で感じられたことをお聞かせください。

取締役会の実効性評価では、評価方法の検討、結果の分析・評価、各会議体での議論・意見交換を通じて課題を抽出し、改善に向けたアクションを実行するというPDCAサイクルが適切に回っていると思います。取締役会の実効性を向上させるには、まずは本音の議論が必要だと思いますが、新任の役員を含め取締役全員が疑問点を質問し、各人の意見を積極的に述べています。その中で、中長期の企業価値向上に資するテーマも多く取り上げられるようになりました。実効性評価の中で実際に課題として挙がった、「社外役員に対する社内の議論に関する情報提供の充実」や「配布資料の内容」などは着実に改善されてきました。今後も取締役会実効性のさらなる向上を目指して、第三者機関活用の是非や新たな課題の解決について、深度のある議論を続けていく考えです。

女性活躍推進を含む、多様性の確保に向けた取り組みへの評価をお聞かせください。また、経営の重要課題である「人的資本(人材の活躍)経営」のさらなる充実に向けて、どのような課題があるとお考えでしょうか。

住友ベークライト初の女性役員である沖執行役員や大久保執行役員の就任は、会社のさらなる発展のために非常に意義のあることだと思います。女性活躍をはじめとするダイバーシティ推進や多様性の実現は職場を魅力的にし、人材の確保や定着に寄与します。また、意欲的な人材が相互に作用し合う環境でこそイノベーションが創出されると思います。住友ベークライトが価値創造のアクセルとして掲げる「人的資本(人材の活躍)経営」では、この数年間に人事制度の改定を行い、実績に応じた処遇や若手でも挑戦できる文化の醸成を目指しています。人材の活躍に資する環境づくりの面でも、健康支援策の推進や多様な人材が活躍できる制度の充実等、きめ細かく対応していると思います。課題を挙げるとすれば、2名の女性執行役員に続く、次世代の女性人材の層を厚くすることではないかと思います。

社外取締役
永島 惠津子
1978年10月
等松・青木監査法人(現有限責任監査法人トーマツ)入所
1980年 7月
公認会計士附柴会計事務所入所
1982年10月
公認会計士登録
1988年 6月
公認会計士永島会計事務所開設 代表(現任)
2008年 4月
監査法人ベリタス代表社員
2016年 6月
ブルドックソース株式会社取締役(監査等委員)(現任)
2019年 6月
当社監査役
2021年 6月
当社社外取締役(現任)

若林取締役にお聞きします。

今年6月に鍜治屋新社長が就任されました。新たな経営体制に対する期待や要望について、お聞かせください。

中期経営計画の初年度だった2024年度は、海外拠点も含めて逆風を克服しながら労使一体となって活動した結果、目標の達成につながりました。また、中期経営計画で掲げた重要項目も着実に推進中であり、SB-ROICの経営指標を背景にOne Sumibeのマインドが従業員に定着してきたと思います。そのような中で鍜治屋社長が新たに就任されました。鍜治屋社長には、先に述べた全従業員のOne Sumibeマインド定着という発射台に立ち、2024年度に高機能プラスチック事業の責任者として厳しい経営状況にあった北米事業に辛抱強く対応してきた忍耐力を持って、全社をリードしていただくことを期待します。

2024年度の取締役会の運営や議論などを通じて、実効性の変化で感じられたことをお聞かせください。

取締役会への出席当初、報告内容や説明資料の用語が難解で理解しづらいことが多々ありました。しかし、各事業のレクチャーを別途実施され、用語集などもご用意いただいたことで理解も深まり、こうした細やかな取り組みが取締役会の実効性向上につながっていると思います。また、取締役会前に実施する社外役員会が、取締役会の審議事項の内容を理解する良い仕組みになっています。ここで議論された内容を吟味して改めて取締役会で議論するという流れも、実効性の面で有効です。これ以外にも、私から出した改善要望に対して、スピード感を持って確実に対応いただいていると感じています。

経営の重要課題に「DXの推進」を掲げ、モノづくりのスマートファクトリー化などを推進していますが、これらの取り組みをどのように評価されていますか。また、デジタル推進人材の育成について、成果を上げるためのご助言・ご意見をお願いいたします。

技術討論会、R&D重点施策実行宣言などの機会に、それぞれの職場におけるDX活用事例が多く紹介されており、DX推進の機運は高まってきていると感じます。特にこれまで毎年実施してきた現場改善発表会は、2025年度からDX推進強化の視点から、全社の業務全体まで対象を広げた発表会にアップグレードされました。これは我が意を得た施策と考えています。そして、DX推進をより加速するには、さらなる実務者の研鑽とマネジメント側の理解の場が必要です。そこで、研究開発分野についてはインフォマティクス技術適用に特化した、研究発表会の開催を提案しています。加えて、スマートファクトリー化推進についても、部署横断的にデータ整備と活用を推進する部署を設置した上で、マネジメント層も参加する全工場対象の発表会の実施を提案します。こうした活動が発信されることで、今以上にデジタル推進人材の活躍の場は広がり、モチベーションの向上や優秀な外部人材も集うものと考えます。

社外取締役 若林 宏之
社外取締役
若林 宏之
1979年 6月
株式会社デンソー入社
2006年 6月
株式会社デンソー常務役員
2013年 6月
株式会社デンソー専務取締役
2014年 6月
株式会社デンソー取締役・専務役員
2015年 6月
株式会社デンソー専務役員
2016年 6月
株式会社デンソー取締役・専務役員
2017年 4月
株式会社デンソー代表取締役副社長
2024年 6月
当社社外取締役(現任)

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