文字サイズ

2013年5月のP-プラス青果物
青森県産【ニンニク】

ご紹介

ニンニクは、いまや食生活に欠かせない香辛野菜として、すっかり日本の食に定着しました。どんな料理にも隠し味として使うと、なぜか「旨み」がグンと増す不思議なプチ食材です。そんなニンニクの特徴を知りぬいた料理人たちは、味付けの技を競い合ってメニューを提供していますし、家庭の主婦にも“ニンニク上手”が増えています。調味料として使うだけでなく、串焼きしたり素揚げすればお酒にもバッチリ合う、ちょっと贅沢なつまみの一品にもなりますし、夏バテや疲労時などの体力回復にも役立つ“スタミナ野菜”という役どころもあるのですから、オールラウンドの“優良野菜”ということができるでしょう。

なかでも日本の消費者に支持されているのが、大振りで真っ白、味もマイルドな青森県産の「福地ホワイト6片種」です。中国産など輸入ニンニクは、ピリピリとして辛くて苦手だけど、青森産は「甘みもあって風味もいい」という人が圧倒的です。この食味の違いは、中国産は暖かいところで育つ“暖地種”なのに対して、「福地ホワイト6片種」は日中は暖かく、夜は冷え込む青森県の内陸盆地型の気候で育つ「寒冷種」だから。そのため、「クリやイモのようにホクホクしている!」「とっても甘~い!」「料理全体がまろやかな風味につつまれる!」という消費者の評価につながっているのです。

そんな青森県産ニンニクのなかでも、最近、全国のスーパーや生協店舗で品揃えされているフィルム個包装商品が話題になっています。消費者からは「風味が変わらないし、傷まず萎れない」と、販売担当者からは「ネット入りに比べて、発芽、発根などのロスがない」といった驚きの声が聞こえます。その理由は、パッケージを受け持つJA全農青森では、5年前から、環境に配慮したエコフィルム(原料はトウモロコシ)を利用して、鮮度・食味保持効果のあるMAフィルム加工(P-プラス)を採用しているからです。

青森県産ニンニクは、毎年10月に種を植えて越冬させ、収穫時期の6月下旬~7月上旬までの約10カ月間、じっくりと土の中で栄養分を吸い続けて育ちます。収穫後は、一部は「生ニンニク」としてMA包装のうえ流通・販売されるものもありますが、大部分は約3週間かけて乾燥させ、周年にわたって出荷するために保存できる状態にします。乾燥後の約3カ月間は休眠状態になりますが、ニンニクは収穫後も生きているので、放置するとやがて芽や根が出てきます。産地では、この休眠状態を最適に保つために、専用の大型冷蔵庫に保管していますが、いざ出荷時期を迎えて冷蔵状態から常温に戻すと休眠が解けて、発芽、発根が始まり、商品価値が落ちてしまうのです。

そんなニンニクの生理現象を抑制するのがMA包装の役割。P-プラス包装技術は、冷蔵時の休眠状態を保持するため、食味も鮮度も変わらずに消費者の元まで届けられるのです。

スタミナ野菜としてのニンニクの効能は、すでに江戸時代に、貝原益軒が編纂した日本史上最高峰の生物・農学書といわれる『大和本草』において、「悪臭甚だしくとも効能が多いので人家に欠くべからざるもの」と評価されています。そうしたニンニクの機能性は、他の野菜に比べて圧倒的に含有の多い「ビタミンB6」の効能だとされています。

ビタミンB6の主な役割は、タンパク質、脂質、炭水化物の代謝を助け、神経伝達物質であるアミンの代謝を補う酵素であり、ホルモン調節の機能を有しているというもの。鮮度食味保持の効果だけでなく、栄養成分保持効果のあるP-プラス包装は、実はそんな機能性の保持にも役立っているのでしょう。