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2012年4月のP-プラス青果物
鹿児島くみあい食品株式会社【むきソラマメ・むきグリーンピース】

ご紹介

今年ほど、春が待たれる年はなかったはずですが、3月末になってようやく日本列島にも、本格的な春が到来しました。そんな春を待ち焦がれていたかのように、鹿児島県からマメ科野菜が本格的な出荷盛期を迎えようとしています。三寒四温でまだ寒さが残るこの時期に、全国の消費者に春の到来を告げるのが、鹿児島県産のソラマメやグリーンピースです。そろそろ桜が咲き終わる春真っ盛りの鹿児島県から、旬の食味が届けられるのを、今年は、消費者はどれだけ待っていたでしょうか。

鹿児島県の離島からだんだんに産地が北上していくソラマメやグリーンピースは、一番手は12月からスタートしますが、本当に鹿児島の旬の味を満喫できるのは、3月~4月以降、消費地にも春が到来するこの時期です。茹でて塩を振ったソラマメや〝グリーンピースご飯〟のほのかな香りは、長かった冬がようやく終わりを告げた証としても、ひとしお嬉しいもの。

しかし、消費者にとってちょっぴりやっかいなのが、皮をむく作業。可食部分である中身のマメを皮が保護し、ちょうど鮮度保持資材の役割を果たしていることは分かっていても、皮むきを億劫に思ってしまうのは理由がありそうです。急いでいるときには結構、手間がかかるというイメージだけでなく、剥いてみたら中身のマメが意外に少なかったり、時々使えないものもあったり、といった〝期待はずれ感〟があるからでしょうか。

消費者のそんな気持ちを思い、産地としても無駄なく商品化したいという両方の願いを商品化したのが、鹿児島くみあい食品が開発した「むきソラマメ」「むきグリーンピース」です。同社は、卸売市場出荷をメインにする鹿児島県経済連の子会社として誕生し、主に生協やスーパーからの直接の要望や指定によって商品を作り、過不足なく供給する機能を備えた会社です。生協組合員の気持ちや願いに基づいて、あるいはスーパーのバイヤーが“売れる”と見込んだものを、生産から組み立てて商品化するのが使命。

しかし、使い勝手のよさや調理が簡素化される商材は、基本的な消費者ニーズだと分かっていても、問題は商品化するためのコストや、手を加えるためにどうしても犠牲になる“鮮度”保持のテーマをどうクリアするかは簡単なことではありません。とくに、植物体の生理で収穫後から発熱現象が起きるマメ科野菜は、一般流通する商品でさえ鮮度保持が難しいといわれています。ましてや、さらに鮮度劣化が著しい“むきマメ”の商品形態で、食味を保ちながら遠方の消費者の下に届けるのはほとんど不可能、とさえいわれていました。ところが、いまや人気の春の生協共同購入商品として、スーパーの欠かせない春商戦の商品アイテムとして、「むきソラマメ」「むきグリーンピース」は、すっかり定番化しています。その夢のような商材開発に成功したのは、同社の技術陣が試行錯誤の末、20年近く前に、画期的な鮮度保持フィルムP-プラスと出会ったことでした。

いま、鹿児島くみあい食品が供給している「むきソラマメ」「むきグリーンピース」は、一般の商品形態のものに比べても、その香りや甘さ、食味はまったく遜色ないとの定評を獲得しています。食味や栄養成分まで保持できるP-プラスフィルムの機能性を、どこの産地にも先駆けて評価して採用した同社の先見性はもちろんですが、当初は“むきマメ”商材を作るために、一般出荷でハネ出されたB級品だけを対象にしていたものを、さらなる商品性向上のために、いまでは“むきマメ”用に特化した生産者と契約して、全量を商材対象に仕向けています。また、“むきマメ”独特のやわらかい食味を確保するために、産地の選定においても、品質劣化につながりやすい霜の被害を避けて、同県の離島地域を中心した生産振興に力を入れています。

そんな産地サイドの心遣いと思い入れが、ほのかな春の香りを運ぶ鹿児島産の“むきマメ”料理からただよってくるようです。