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社長対談
社長対談

社長対談

教育にも高い見識をお持ちのフリーアナウンサー・倉林知子さんをインタビュアーに迎え、「人材」をテーマに、藤原社長の従業員への想いや、人材育成を通して描く未来について語ってもらいました。

インタビュー

企画力とチーム力の両輪で、 新事業創出へギアを上げていく

倉林 住友ベークライトの製品が、産業や生活のさまざまな分野で活躍していることを知って、驚きました。広範な領域にわたる新規事業の創出に向けて、必要としている人材像をお聞かせいただけますか。

藤原 当社グループでは、人材を最も重要な資産と位置付けています。高い専門性も必要ですが、それとともに、これからは企画力のある人が求められると思います。
従業員には常に、提案をすることを促しています。立派なものである必要はまったくありません。会社の指示を待って動くのではなく、自らの意思で企画し、責任感を持って取り組んだ経験は人を大きく成長させます。こうした人材への投資は惜しみなく行っています。

倉林 確かに、新しい事業の創出に企画力は欠かせませんね。そのほかに、人材について重視されている点はございますか。

藤原 企画したものを製品化し、市場に投入するまでには数えきれないほどのプロセスがあります。研究者、製造、マーケティングといった各分野に精通した人材を効果的に配置したチーム力が重要になります。ここで求められるのは、①新知識・新技能の習得に意欲的な成長志向型、②常にスキルアップを目指す変革志向型、③周囲との調和が図れるチーム型、④優れた知識と技能を持ち国内・外で成果を生むプロフェッショナル人材などです。

倉林 育成にはどのような取り組みをされているのですか。

藤原 2007年に、全従業員を対象にした社内教育機関、SBスクールを開校しました。階層や業務内容に合わせて能力を高められるよう、体系的なプログラムを用意しています。新入社員や入社2年目の従業員を対象にした教育など、ステージに応じた成長機会をきめ細かく設けています。
さらに、最近では従業員が自発的に部署間交流会など、社内ネットワークを強化する活動を進めてくれるようになりました。
このほか、海外グループ会社で2年程度の経験を積む海外トレーニー制度があります。当社グループは現在、海外売上収益比率が約6割になっています。海外でのビジネスに挑戦したいという熱意ある人材の育成にも力を注いでいます。

枠にはまらない横断型組織で「人間力」に磨きをかける

倉林 藤原社長は常々、「人間力」の向上が大切だとおっしゃっています。「人間力」とはどのようなものなのでしょうか。

藤原 私が考える「人間力」とは、「やる気」×「能力」×「人格・人柄」です。やはり、仕事に対する「やる気」は大切です。「能力」については、もともと当社グループの従業員の潜在能力は高いと思っています。
「人格・人柄」という点で大事なのは自分らしさです。生まれ育った環境や価値観の違いが色濃く反映されるものですよね。仕事を進める上で、ときには自分を律する必要が生じることがあると思いますが、自分らしさを失ってはいけません。個性はとても大切なものです。それを磨いてほしいと願っています。画一的になってしまっては仕事に面白みがなくなってしまいます。こうした「人間力」の向上が、事業の強靭化につながると考えています。

倉林 自分を認めてもらえる、「らしさ」を発揮できるというのは、とても素敵なことだと思います。会社として「人間力」の向上をサポートする取り組みなどはあるのでしょうか。

藤原 現在、グローバルに展開中の「One Sumibe活動」が、「人間力」の向上にもプラスになっていると感じています。従来の縦割りの枠を取り払い、横断型の組織による事業展開の実現を目指したものです。他部署の製品を知り、接点のなかった人との交流が生まれる機会が飛躍的に増えました。自己研鑽にもなり、従業員同士のコミュニティも広がっています。一例として、若手の従業員数名から、自由なコミュニケーションに使えるスペースの設置を求める企画書が私に提出されました。もちろん即座に採用しました。すぐに設置に取り掛かり、完成させました。こうしたアイデアの提案が、ボトムアップで出てきたことをとてもうれしく思っています。

倉林 楽しそうですね。「One Sumibe活動」の成果が、思いがけない形ですでに表れているのですね。

藤原 「One Sumibe活動」では、年に一度、成果報告会を開催しています。そこでは、お世話になった他部署の人への感謝のメッセージを伝える機会があり、「感謝の手紙」として社内報にも掲載するようになりました。本来の業務以外で、誰かの手助けをすることは素晴らしいことです。お互いをたたえ感謝し合うという習慣が定着しつつあるのも、「One Sumibe活動」のたまものだと思っています。

倉林 縦割りの組織では、ほかの部署が何をやっているのかも知らないケースがよくあります。まずは知ることで、組織の枠を超えた新しい企画も生まれそうですね。

失敗は次につながる挑戦の証 チャレンジを促す人事評価制度

藤原社長

代表取締役社長 藤原一彦

1980年住友ベークライト入社。
2003年バイオ製品開発プロジェクトチームリーダー、 2007年S-バイオ開発部長、2009年S-バイオ事業部長、執行役員、2013年常務執行役員、2014年取締役、2016年専務執行役員、2018年代表取締役社長に就任。

倉林 2021年に人事評価制度を見直したとお聞きしました。変更のポイントや新しく取り入れたことなどを教えてください。

藤原 今回、見直した人事評価制度のポイントは、年齢にとらわれない実力成果主義に変えたことです。
人事制度を変更する上で留意したのは、失敗は挑戦した証として捉え、何もしない人より評価しようという点です。また、報酬などの処遇についても、経過年数より職責や行動・実績が優先されるようにしました。

倉林 業績評価の基準として、藤原社長が特に重視されたのはどのような点ですか。

藤原 特にこだわったのは、評価要素に「チャレンジ」を加えたことです。大きな目標に挑戦した人が高い評価を得られるようにしました。

倉林 こうした人事評価制度なら、入社年数が浅い人でも失敗を恐れずに挑戦したいと思えそうです。若手のモチベーションアップにつながったのではないでしょうか。実際に社内で、新しい変化が生まれてきたと感じることはありますか。

藤原 意見交換が活発になってきたように思います。社会の変化のスピードは一段と速くなっています。対応するには自分が変わるしかありません。当社グループの昔ながらの良さは残しつつ、時代にふさわしくないものは思い切って変えていくことが必要です。人事評価制度もその一つです。

多様性あふれるオープンな環境で幸せを感じられる会社に

倉林 DE&Iは、今や企業理念に欠かせない概念になっています。住友ベークライトではどのような姿勢でのぞまれているのでしょうか。

藤原 2023年4月にDE&I推進室を設置しました。女性をはじめとして、外国人やハンディキャップを持つ方など、性別、年齢などの属性を問わず、多様な人材が「人間力」を最大に発揮できる職場づくりを目指しています。女性の活躍を後押しするために男性の育休取得も推進しています。現在、当社グループの女性従業員比率は約10%程度ですが、ライフイベントとキャリアの両立を支える取り組みを強化しています。

倉林 働く女性として、会社が女性のライフイベントとキャリアアップを後押ししてくれるのはとてもうれしいことです。こんな会社に入りたい、長く働きたいという安心感につながります。

藤原 女性の就職希望者も徐々に増えてきたと聞いています。またこのほど、女性の執行役員が2名誕生しました。
倉林氏

フリーアナウンサー、コミュニケーションスペシャリスト
倉林 知子 氏

高校を卒業後に単身渡英。エセックス大学経済学部を卒業後、東北地方のテレビ局でアナウンサーに。政治・経済・国際担当の記者業も兼務。退社後はフリーアナウンサーとしてテレビ・ラジオでニュースキャスターや経済キャスター、スポーツキャスター、プロ野球やマラソンなどの中継リポーターを歴任。2020年からは国連機関でコミュニケーションの専門家・広報としてもキャリアを築き始める。

倉林 就職活動では、先輩社員の働き方を参考にする人が多いと思います。女性役員の存在は大きな励みになるはずです。社会環境の変化に対応し、この数年の間に制度変革などを積極的に進められたことがよくわかりました。

一人ひとりの幸福感を高めながらモノづくりの最先端に挑み続けたい

藤原 当社グループのすべての活動は、「プラスチックの可能性を広げることで、持続可能な社会を実現する」というパーパスに基づくものです。
今、プラスチックは逆風にさらされていますが、原料を石油系から植物由来に置き換える研究も進んでいます。CO2排出量の少ない自動車部品を開発するなど、プラスチックでなければ実現できない機能を高めることで社会に貢献しています。

倉林 基本方針に基づき事業を進めていく上で、今後、どのような知識を身に付けた人材が必要だと思いますか。特に注力したい分野などがあればお聞かせください。

藤原 分野としては、化学や機械、電気などの専門性に加えて、新しいことにも積極的に挑戦できる人材を採用していきたいと考えています。今、社内で注力しているのはデータサイエンティストの育成です。データの活用がこれまで以上に求められるようになり、MIを駆使して、研究開発のスピードを高めていくことが必要です。モノづくりの心を兼ね備えた当社グループならではのデータサイエンティストを育てています。

倉林 藤原社長が考える従業員の幸せとはどのようなものでしょう。そのためにはどのようなことが必要だとお考えですか。

藤原 朝、目覚めたときに「今日は会社でこんなことに挑戦しよう」と思えたら、毎日が楽しくなりますよね。不安を感じることなく張り合いを持って仕事ができることが基本ですが、誰も孤立させないための工夫も必要です。
仕事には、ストレスやプレッシャーがつきものですが、一人で抱えずに、悩みがあったらすぐに相談できるオープンな雰囲気が何よりも大切だと思っています。ともにサポートし合いながら、心地良い緊張感の中でチャレンジできる、心理的安全性の高い会社を目指しています。

倉林 住友ベークライトを、どのような会社にしていきたいとお考えですか。

藤原 働きがいがあり、利益も上げている。新しいものに挑戦するための原資が豊富なことは重要です。発展の可能性にあふれた会社で成長する鍵を握っているのは、やはり「人」だと思います。入って良かったと思われる会社にしたいですね。

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