社会課題に応える新たな機能を創造しながら、世界市場に挑み続けます
2022年度の振り返り
取締役 副社長執行役員
朝隈 純俊
2022年度は不透明な事業環境の中で、難しい舵取りを強いられた1年でした。特に上期は、ウクライナ情勢や中国の「ゼロコロナ政策」、欧米のインフレによる人件費上昇などの影響を受け、利益が急激に圧迫されました。原料やエネルギー価格高騰の対応策として値上げを行った結果、下期に入ってからは費用削減策も奏功し復調の兆しが表れ始めたものの、それも束の間、年末以降はアジア市場における民生需要と自動車関連の販売が減少。事業利益は前年度を下回るものとなりました。一方、新規用途、新材料で実績をあげた製品もあり、2023年度の巻き返しへの手応えを感じています。
事業ポートフォリオの変革で、2030年のあるべき姿への足がかりとなる1年に
中期経営計画の初年度となる2021年度は、新型コロナウイルスの影響が懸念され、混沌とした社会情勢の中で幕をあけました。想定より早く市況が回復したことで、数値的には目標以上の結果を出すことができました。しかし、半導体不足などによる自動車の生産調整、物流の混乱、各種コストの上昇といったマイナス要素が収束することはありませんでした。こうした流れの中で迎えた2022年度は、追い打ちをかけるように自動車の生産調整や中国の需要減など事業環境が急速に悪化し、大きな打撃を受けました。その結果、年次予算とともに事業利益で中期計画未達となりました。
一方、重要施策として掲げている、将来に向けた事業ポートフォリオ変革への取り組みは、確実な成果をあげてきました。航空機内装品事業では、関係会社のVaupell社で拠点集約、顧客との関係強化や合理化の取り組みなどが結実し黒字化を果たしています。
来年度からの中期経営計画は、「2030年のあるべき姿を描き、そこに向けた次の3年」を策定し、その上で具体的な数値目標を設定することになります。利益率を重視した姿を目指し、事業ポートフォリオの入れ替えを迅速に進めてまいります。
また、事業規模の拡大に向け、「全メンバーがお互いを認め合い信頼し合える関係を築く。そして一人ひとりが自主性を持ち、自ら考え、自発的で自律的に行動する」ことを可能にする職場風土づくりに力を注いでいきたいと考えています。
【戦略製品】
サステナビリティへのシフトを加速し、お客さまのニーズにマッチした材料を投入
既存事業では、フェノール関連製品を中心に収益性を向上させるとともに、今後、市場の拡大が見込める分野、サステナビリティに適応する製品群の拡大を図っていきます。
現在、市場競争力を高めるための施策を、急ピッチで進めています。生産性が高く環境負荷の少ない新工場を中国・南通に建設中です。中国市場に狙いを定めた生産能力の増強で、事業拡大への確かな基盤にしたいと考えています。また、新製品開発、新用途展開を目的とした組織体制を組み、万全の布陣で臨みます。
環境対応に関しては、当社が誇る「樹脂、成形材料、成形品の一気通貫のバリューチェーン」の強みを生かした取り組みを進めています。リグニン変性フェノール樹脂、バイオマスベースのポリマー、またそれらに適用する成形材料など市場ニーズにマッチした材料を開発し、バリューチェーンのどこからでもお客さまをサポートします。さらに、環境貢献をLCA(ライフサイクルアセスメント)の視点から証明することを求められるケースも増えており、対応を進めています。
また、自動車、民生・産業機器で成長するパワーデバイス向け材料では、放熱基板材料を筆頭に強化し、2030年には70億円超の事業規模を目指します。
施策の遂行には、お客さまとの緊密なコミュニケーションが欠かせません。事業の土台となる信頼の絆を深めてまいります。
中期経営計画目標達成に向けた事業戦略
成長市場を自ら創出し可能性を広げるイノベーターへ
前年、策定した高機能プラスチックセグメントのパーパスは、『「パイオニア」から「イノベーター」へ。プラスチックの可能性を広げ、お客さまとともに持続可能な社会の実現に貢献します』というものです。技術革新に富んだ事業ポートフォリオへの刷新を図り、次の中期経営計画での10%以上の事業利益率達成を目指します。
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