田中x岸

対談

One Sumibe活動
推進責任者
グローバル
マーケティング
本部長

DIALOGUE

社内外の強固な共創関係を築き、
新しい価値創造の力に

「One Sumibe活動」を通じて、実務と戦略の両面から顧客との共創活動を推進してきた
常務執行役員 田中とグローバルマーケティング本部長 岸。
本対談で、両者の視点から「顧客感動」の実現を目指す共創の現在地と、
その先にある未来について語ってもらいました。

田中 厚
常務執行役員
One Sumibe推進協議会
推進責任者
田中 厚
経岸 豊昭
グローバル
マーケティング
本部長
岸 豊昭

顧客との共創で新たな価値を創出

田中:

当社グループでは「CS(Customer Satisfaction=顧客満足)」の考え方を大切にしてきましたが、2024年度からさらに一歩進めて、顧客満足を超える「顧客感動」の実現を目指しています。これは、お客さま自身もまだ気づいていない潜在ニーズを一緒に掘り起こし、当社グループの技術力や提案力を活かしてソリューションを提供し、期待以上の驚きや喜びを届けることを意味します。「One Sumibe活動」は、このCSの精神をもとに、各事業部門が横断的に連携して顧客に対応すべく2017年にスタートしました。岸本部長とは2か月に一度、One Sumibe推進協議会で、今後の共創案件の方向性について定期的に協議していますが、この取り組みをどう感じていますか?

岸:

変化の激しい今、自社だけで新しい価値を創造することは難しく、当社グループとお客さまの得意なことを組み合わせて、新しい価値を一緒につくり上げる共創の取り組みの重要性はますます高まっています。その中で「OneSumibe活動」は、お客さまにも大変好意的に捉えていただいています。ここまでスムーズな社内の連携体制が構築できている要因は、やはり各部門の本部長が皆出席して遠慮なく意見交換ができるOne Sumibe推進協議会の働きが大きいです。決定事項は関係者にすぐに周知され、実行できるしくみがあるため、新たな価値を持つ製品を創出する鍵になると感じています。

常務執行役員 One Sumibe推進責任者 田中 厚

KPIの設定で共創の成果を“見える化”

岸:

顧客との共創において、新たな案件の創出というアウトプットが不可欠です。そのため、私たちは行動を定量的に評価するKPIを設定しました。主な指標は「顧客との共創案件の創出件数」と事業部横断で取り組む「インハウス展示会の開催回数」です。前者は共創の成果で、後者はそのプロセスを支える重要な活動と位置付けています。
インハウス展示会は、お客さまの施設内で当社グループの技術や製品を紹介する展示会であり、お客さま双方の技術者が一堂に会して、直接意見を交わす貴重な場です。事前に顧客の事業内容や課題を調査・理解した上で、適切な展示内容を検討することで、より深い信頼関係を構築でき、展示会を契機にお客さまの開発やビジネスのロードマップ作成に貢献するケースも出てきています。

田中:

インハウス展示会は「One Sumibe活動」の一環でもあり、全社を挙げてお客さまの課題解決に向き合う取り組みでもあります。従来もお客さま向けにプレゼンテーションは行ってきましたが、インハウス展示会を明確なKPIに設定したことで社内の意識が一層高まり、目標に向かう具体的な行動が見える化された点は大きな進化だと考えています。グローバルマーケティング本部では、どのような目標を設定していますか?

岸:

はい、2024年度は「共創案件の創出件数10件」「展示会の開催8回」という目標を設定し、ともに達成できました。特に当社グループが戦略的領域と掲げているモビリティ分野では、モーターの小型化に貢献するアキシャルギャップモーターの開発などで、お客さまとの共創がスタートしています。また、ICTやヘルスケア分野のセンシング領域などでも成果が見られました。さらに、展示会を通じて得られた副次的な効果として、社内の開発者がお客さまと直接対話することが、研究開発のスピードアップや開発者の視野の拡大につながっており、人材育成という観点でも非常に有意義な場になっています。

オープンラボを活用した市場開拓

岸:

グローバルマーケティング本部は、当社グループの技術的優位性と事業領域を深く理解したメンバーが、グローバルな視野をもって市場開拓を担う組織です。新市場の創出や新領域への参入など、「新」にこだわった創出活動の中で、重要な役割を果たすのが「オープンラボ」です。当施設は顧客に製品の試作・検証の機会を提供する場であり、開発設備を有さないお客さまでも、当社グループの施設で試作品の評価結果を確認しながらスピーディーに共同開発が進められるメリットを有します。日本をはじめ、米国、ベルギー、シンガポール、台湾、中国、そして2025年春からインドにも拠点を構えました。実際に米国では大手OEMと次世代モーターに関する共同検証や量産化の検討が進んでおり、今後もグローバルマーケティング本部では、オープンラボを軸にしたお客さまとの協業関係の構築を戦略的に強化していきたいと考えています。

グローバルマーケティング本部長 岸 豊昭

「One Sumibe活動」の進化と社内浸透

田中:

「One Sumibe活動」では、今年度も組織横断で顧客課題へのソリューション提案を推進していきます。重点顧客との関係強化を目的とした「重点顧客実践チーム」では、特定企業を対象にチームを編成し連携を深めてきました。こうした活動を通じて社内のネットワークが強化され、参加メンバーがその後の業務でも横のつながりを活かして活躍する場面が増えています。
2024年度には、パワーモジュールワーキンググループが世界中の顧客と接点を持ち、顧客の技術課題を掘り起こしました。そして、各事業部門のメンバーがそれぞれの技術を組み合わせてソリューションを検討し、2025年4月には「パワーエレクトロニクスソリューション開発部」として正式に組織化されました。加えて、社内に「インフルエンサーチーム」を結成したことも、「One Sumibe活動」の一層の追い風になりました。各事業部門やコーポレート部門の中核メンバーが参加し、全社に向けた情報発信の場である「ベークをもっと知ろう」やイントラネットを活用し現場の創意工夫や好事例を紹介する「GoodJob!」などさまざまな情報発信を行い「One Sumibe活動」を推進してくれました。引き続き、グループ内のつながりを強化して、従業員一人ひとりの自律を促す取り組みの企画・実行を期待しています。

共創関係を加速させ、価値創造力を底上げ

岸:

グローバルマーケティング本部は、将来を見据えた新たな市場を開拓するという点で、当社グループの中でもユニークな役割を担っています。新たな事業領域を創出するためには、多くのお客さまとの共創テーマを立ち上げることが重要です。そのため、日本市場に限らず、グローバル市場を視野に入れた取り組みを強化しており、特に2025年度以降は中国に続く新たな注力地域としてインド市場に注目し、共創活動を本格化させていく予定です。

田中:

「One Sumibe活動」は、この1~2年で多くの部門、従業員にも広がり、大きな変化の波がきています。今後も岸本部長と協力し合いこの流れをさらに加速させ、国内外、部門、拠点を問わず活動が根付くよう働きかけていきます。そして、最終的には社内の連携がお客さまとの共創に自然とつながり、全社としての価値創造力の底上げができる体制づくりを目指していきたいです。

サステナビリティに関するお問い合わせ、資料請求はこちら。

お問い合わせ・資料請求