BlotGlyco論文紹介

Time-of-Day Differences in the Plasma N‑Glycome of Normal and Obese Mice
and the Effects of Dapagliflozin Administered in the Morning or at Night

Yurika Ozawa, Fumi Muramoto, Hana Senda, Maaya Kada, Aya Torii-Goto, Hisatoshi Hanamatsu, Nobuaki Miura, Akihiro Fujita,
Jun-ichi Furukawa, Hiroki Yoshioka, Masae Yoshikawa and Yasuro Shinohara
Journal of Proteome Research, 25 (5), 2558-2568 (2026). | https://doi.org/10.1021/acs.jproteome.6c00081

Reprinted and adapted with permission. Copyright © 2026 American Chemical Society.

概日リズムによる糖鎖プロファイルの変化、SLGT阻害剤の効果に関する研究

背景

生体内では、体内時計によって制御される一日周期の「概日リズム」によって代謝やタンパク質発現などの様々な生理機能が調節されていますが、血液中の糖鎖プロファイルの時間的な変動については不明な部分が多く残っています。

本論文の概要

本論文では、肥満を誘導する高脂肪食 (HFD) を与えたマウスを用い、血液中の糖鎖構造に見られる日内変動と、SGLT2阻害薬の一種であるダパグリフロジン (Dapagliflozin) 投与の影響を調べています。SGLT2阻害薬は糖尿病治療に用いられており、通常、血糖値を低下させる働きがありますが、本論文では朝と夜の投与による違いを評価しました。まず、血液中の糖鎖を BlotGlyco® キットを用いて精製・ラベル化し、質量分析 (MALDI-TOF MS) を用いて分析しました。その結果、高脂肪食を摂取したマウスでは、血液中に含まれる特定の糖鎖構造が時間帯によって異なる変化を示し、特に夜間に変動が顕著であることが分かりました。さらに、ダパグリフロジンを投与する時間によって糖鎖の変動にも違いが見られ、夜間に投与した場合には、高脂肪食による異常な糖鎖構造が部分的に正常化される効果が確認されました。これらの変化は、血糖値や体重に有意な差がない状況で発生し、糖鎖プロファイルが、従来の代謝指標とは独立した治療効果を高感度に反映するバイオマーカーとして機能を示唆しています。本論文は、糖鎖構造の変化が時間帯依存的であることを示すとともに、代謝性疾患の治療評価におけるサンプリング時間の重要性を強調しています。また、体内時計によって制御される生理機能を活用した治療戦略の可能性が、糖尿病や肥満を対象とした治療法の発展の鍵であると結論付けられます。この研究成果は、グリコシレーションを包括的にターゲットとした未来の治療法を設計するための重要な知見を提供しており、代謝性疾患における薬剤の投与タイミングを適切に設定するための科学的根拠となります。

※詳細は 論文 をご参照ください

糖鎖精製・ラベル化キットBlotGlyco®

糖鎖精製・ラベル化キットBlotGlyco®

N-glycans vary by time of day. Dapagliflozin restores profiles despite obesity.
製品情報

MALDI-TOF-MS, LC-MS, HPLCなど種々の解析に対応したユニバーサルな糖鎖前処理法です。糖タンパク質・血液・細胞・組織・電気泳動バンドなどのクルードな生体由来試料から、糖鎖を精製しラベル化します。BlotGlycoビーズのヒドラジド基が糖鎖の還元末端のアルデヒド基と選択的に結合するため、ペプチド、界面活性剤、イオン性コンタミなどを容易に除去可能です。