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グリオブラストーマ(GBM)は悪性度が極めて高く、患者の多くが診断後1年以内に亡くなる難治性脳腫瘍です。腫瘍内および患者間の顕著な異質性と、腫瘍細胞の正常脳組織への浸潤性が治療の大きな課題となっています。
今回はnpj Systems Biology and Applicationsに発表された論文Mathematical modeling of multicellular tumor spheroids quantifies inter-patient and intra-tumor heterogeneityをご紹介します。本研究では、患者由来の腫瘍スフェロイド(MCTS)を用い、顕微鏡観察データと数学的モデリングを組み合わせた偏微分方程式(PDE)モデルを開発しました。このモデルは腫瘍の空間的な異質性を高精度に表現し、複数の患者細胞株の多様な増殖・浸潤パターンを定量的に解析可能です。
さらに、モデルパラメータを患者の年齢や生存期間と関連づけられた初めての報告です。この成果は、腫瘍挙動の個別化予測モデル構築を通じ、臨床予後予測や個別化治療戦略の開発に貢献すると期待されます。
実験にはPrimeSurface® 96Uプレートを用い、3Dスフェロイドを培養し、マトリゲル重層により浸潤アッセイを行った。得られた顕微鏡画像から中心位置や細胞密度分布を推定し、モデル構築に活用しました。本研究はGBMの複雑な挙動を定量的に理解し、革新的な個別化医療への応用に寄与する可能性を期待できます。 |