骨肉腫(OS)は四肢の骨に発生する稀な悪性腫瘍で、転移率や薬剤耐性が高く、予後不良を特徴とします。
従来の治療法に限界がある中、鉄依存性のプログラム細胞死であるフェロトーシスが新たな治療戦略として注目されています。今回はCell Death Discoveryに発表された論文FSP1 is a predictive biomarker of osteosarcoma cells’ susceptibility to ferroptotic cell death and a potential therapeutic targetをご紹介します。
本研究では、フェロトーシス感受性の不均一性に着目し、フェロトーシス抑制タンパク質1(FSP1)の役割を調査しました。PrimeSurface® 96Uプレートを用いて3Dスフェロイドを形成し、解析した結果、FSP1の発現が低い細胞株ほどフェロトーシス感受性が高いことが明らかになりました。また、感受性の高い細胞株では間葉系マーカーの発現が高いことが確認され、FSP1がフェロトーシス耐性の重要な調節因子であることが示唆されています。
さらに、RSL3(フェロトーシス活性化剤)の処理で感受性が増加し、FSP1阻害剤(iFSP1)との併用でさらに上昇しました。本研究は、FSP1がフェロトーシス感受性の予測バイオマーカーであり、治療標的としての可能性を示しています。また、PrimeSurface® 96Uプレートは、生体内環境に近い3Dスフェロイドを形成することで、骨肉腫研究や新規治療法開発における強力なツールとなることが期待されています。