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樹脂製として世界最高水準の低接触抵抗値を実現した柔軟性のある脳波測定用ドライ電極を開発

2018年12月25日


住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、社長:藤原一彦)は、金属並みの低接触抵抗(導電性ジェル不要)で痛みや違和感がなく長時間使用可能な樹脂製脳波測定用柔軟ドライ電極の開発(特許出願中)に成功しました。


開発の背景と特長

近年、脳科学の発展とともにその知見を活用するBrain Machine/Computer Interface(BMI/BCI)技術が注目されています。BMI/BCI技術では、脳波・脳血流などの脳活動をセンサーで検知し、解析することにより、身体障がい者向けに身体動作を伴わずに機械を操作する、コミュニケーションが不可能な患者とのコミュニケーションを実現する等のクオリティオブライフ分野のみならずIoTやコネクテッド分野での活用が検討されています。

一方で、BMI/BCIに脳波を利用する場合、一般的に頭皮に導電性ジェルを塗布し、電極を装着する必要がありました。そのため、装着に手間がかかる、頭髪が汚染されるなど被験者への負担、時間経過とともにジェルが乾燥し長時間使えない、などの問題があり、実用化の障害とされてきました。これらの問題を解決するため、金属製のドライ電極も開発されましたが、重く硬いため装着時に痛みが生じ、かつ頭部に衝撃が加わった際の安全性に課題がありました。

この度、当社は、電極を樹脂化することによりこれらの課題の解決に成功しました。開発したドライ電極は柔軟性を有していることから装着時に痛みや違和感がなく、安全に装着することができ、金属電極並み(約20kΩ)の低い接触抵抗を確認しております。また、従来の導電性ジェルを用いたウェット電極との同時脳波取得実験で、同一形状の波形取得にも成功しました。

「樹脂製 脳波測定用柔軟ドライ電極」

柔軟ドライ電極と従来のウェット電極との比較

従来のウェット電極と同等の脳波形の取得に成功


今後の展開

今回開発した樹脂製脳波測定用柔軟ドライ電極の材料、構造の改良により接触抵抗の安定化や頭皮皮脂対応を加え、更なる低抵抗化を目指します。また、実用化に向け安全性、耐久性の確認および外部との連携を含めより多くの被験者での脳波取得検証を進めて参ります。



本件に関するお問い合わせ

コーポレート・コミュニケーション部

Tel:03-5462-4818