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JA香川県【菜の花】

ご紹介

今月ご紹介するのは、香川県農業協同組合(JA香川県)の菜の花です。香川県高松市に本部を構えるJAは「日本の地中海」と呼ばれる瀬戸内海の気候と肥沃な大地に恵まれた自然環境や立地条件を活用した生産性の高い農業を営んでいます。香川県は耕作面積が少なく、大量生産がかなわないことから、高品質・個性化など高付加価値の作物を作ることで国内外の競合産地と差別化を図っています。その基本は生産者一人ひとりの丁寧なものづくりを行うことだといいます。JA香川県では、春野菜の代名詞のような『菜の花』へP-プラスを採用していただいています。



春の訪れを感じる季節野菜「菜の花」

春の訪れを感じさせる野菜類の代表格といえば、やはり菜の花でしょう。とくに関東地方では春一番が吹き始める3月ごろに本格的な出荷期を迎え、4月に向けピークとなります。いかにも柔らかそうな淡い緑色の葉茎に、黄色い花が咲く前の蕾がついて、新緑、芽吹きといった季節性を具現化した、見ているだけで春の到来を知らせてくれる野菜です。

菜の花をまだ寒い時期から育てる促成栽培技術は、すでに江戸時代からあり綱吉のころも奢侈禁止令の対象になったほどの促成野菜ですが、その技術は千葉県で受け継がれ、東京市場にはいまでも6割が千葉県から出荷されてきます。

春の季節野菜として重宝され、一般家庭から業務用需要が一気に高まる菜の花の産地は、いまでは20以上にものぼりますが、他の産地からナノハナの名称で出荷されてきているものは、ほとんどがカキ菜、ポエム菜、アスパラ菜などの油菜科の類似品。その中で江戸時代から愛され千葉県で継承された、伝統的な「菜の花」を生産・出荷している数少ない産地のひとつが、西日本の有力な促成産地である香川県です。すでに40年もの生産の歴史があることは意外にも知られていませんが、見掛けも荷姿も千葉県産とほぼ変わらずに店頭販売されていることを知っている消費者は多いはずです。

JA香川県(香川県農業協同組合)は、香川県下の43あったJAが合併して2000年4月に設立しました。その後、さらに2つのJAと合併し2013年4月に奈良、沖縄県に次いで全国で3番目の県単一農協として誕生しました。2016年度には組合員数が130,000人を超え、高品質・個性化など、 高付加価値の作物を作ることで国内外の競合産地と差別化を図っています。

香川県の気候は温暖で雨が少なく、冬場の日照時間が長く「日本の地中海」ともいわれるおだやかな瀬戸内気候。恵まれた天候と肥沃な大地に恵まれた同県では、自然環境や立地条件を有効に活用して米、麦、野菜、果樹、花き、酪農、肉牛、肉豚、鶏卵、ブロイラーなどを組み合わせた生産性の高い農業が営まれています。

今月ご紹介する菜の花は軽量品目の野菜であり、小面積での栽培が可能であるため、高齢者、女性を中心に栽培されている。また近年、出荷形態の簡単化などにより、若手生産者も増加しています。

近郊産地より鮮度がいいと評判の野菜

香川県は、京浜市場においては冬場を中心としたレタスなど洋野菜産地として不動の地位を築いています。

その促成技術と鮮度保持技術にはかねてより定評があります。卸売市場や小売店からは、遠隔地でありながら近郊産地より鮮度が高い…とも評価されているのです。その香川県から出荷されている菜の花が、とりわけ〝鮮度〟が際立っているのには理由があります。

香川県産の菜の花は、その85%までが東京など京浜市場に出荷されています。さらに、京浜地区を経由して東北、北海道方面にも供給されています。こうした広域に流通する香川県産菜の花ですから、消費地に近いという立地にある近郊産地より、格段の鮮度保持流通が求められます。

菜の花は非常に栄養素のバランスが良く、抗酸化作用のあるビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンEを豊富に含み、その相乗効果で免疫力を高め、かぜの予防などにも効果が期待できます。しかし軟弱な菜の花の葉は萎れやすく、せっかく蕾(つぼみ)の状態で出荷しても時間の経過とともに花が咲いてしまいます。菜の花はブロッコリーやカリフラワーなどと同様に花が蕾のうちに食します。このよう未熟な状態を楽しむ野菜に共通した特徴は、野菜の呼吸数が多く、収穫後も消耗が激しいため鮮度の低下が早いことです。鮮度が落ちるということは、エネルギー源となる栄養も消耗され、味や香り・見た目と同様に栄養も失ってしまうことになります。こうなると市場での評価が低下するだけでなく消費者からも敬遠されてしまいます。しかし、その問題を香川県は見事に解決しています。

P-プラスの採用経緯をJA香川県仲多度地区営農センターの担当者の方はこう振り返ります「P-プラスの採用以前は、従来型の裸包装(人形巻き)で出荷していました。当時の課題は、萎れや開花など鮮度の低下でした。そんな頃、卸売市場から小売店での棚もちを良くして欲しい(鮮度低下の改善)と要望がありました。」

そこでJA香川県ではまず収穫から消費地到着までの時間を短縮するために、前日に収穫・包装されたものを翌朝には集荷場に集め、午後には東京に向けて空輸するシステムを構築。さらに、萎れや開花を抑制するために、11月下旬のスタート時から4月末まで終了するまでの期間、パッケージにMA包装(P-プラス)を採用しているのも大きな特徴です。

期間中を通じてMA包装され、航空機まで使って輸送される菜の花は、この香川県産だけ。

2005年にP-プラスを採用して以来、卸売市場からは萎れや開花が抑制され、見栄えも味も良いとの評判。小売店そしてその先の消費者からも「香川産菜の花」はおいしいと認知されています。


不況の影響が少ない季節野菜

JA香川県の営農部門は、地域を基盤として農業生産と生活を営む組合員の方々とともに、地域の実情に即した営農振興に取り組んでいます。また、将来を見据えた多様な担い手づくりとそれぞれの営農形態に即した支援を行うため、<農業所得の向上>と<食の安定供給><営農指導機能の強化>の三つの重点目標を定めて、その実現に取り組んでいます。

日本は、過去20年にわたる景気低迷に見舞われましたが、周年供給野菜に比べて、季節野菜にはあまり不況の影響は見られませんでした。むしろ、沈滞している通常の販売のなかで、菜の花などの季節商材はメリハリがついて売れ行きは悪くありません。

ただし、単価の高いものや鮮度の落ちやすい野菜は、消費者が購入するリピート回数が減る傾向にありました。

こういった課題に対してJA香川県産が採用しているMA包装品(200g)は値ごろを打ち出せて、鮮度を保ち、輸送に伴うリスクを減し、農家の方の出荷作業も付加も軽減しています。

近年は、天候不順に悩まされ生産に苦慮しているものの、生産者が前向きに取り組んでいただいており、毎年品質の良い物を作っていただいています(JA香川県仲多度地区営農センター)。減産の野菜類が多いなか、実に頼もしい限りです。

今後も、P-プラスの技術力が、恵まれた自然のなかで、大切に育てられた香川県の農産物を全国に届けようとする同社の取り組みの一助になれば幸いです。

お客様の情報

香川県農業協同組合(JA香川県) 仲多度地区営農センター

    〒765-0011
    香川県善通寺市上吉田町6-12-1
    TEL: 087-764-0654

香川県は耕作面積が少なく、大量生産がかなわないことから、高品質・個性化など、 高付加価値の作物を作ることで国内外の競合産地と差別化を図っています。

「日本の地中海」ともいわれるおだやかな瀬戸内の気候は、青果物の生育にとって最良の環境。そして、生産者一人ひとりの丁寧なものづくりも美しい産物をうみだす秘訣です。

香川県うまれの芸術的な品々を、ぜひご堪能ください。