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東京青果【ASIA FRUIT LOGISTICA】

ご紹介

今月ご紹介する東京青果株式会社様は青果物流通における最大手として、市場流通における圧倒的なシェアを確保し、生産者と消費者を結ぶコーディネーターとして、実需者(仲卸業者・スーパーのバイヤー様など)からの様々なニーズを受けながら、産地の方々と一体となって、日々"食を創る"取り組みを行っています。

近年政府の成長戦略の一つとして掲げられた輸出拡大要請をうけ輸出の取り組みを始め、その一環として青果ビジネスにおけるアジア唯一の国際トレード―ショー「ASIA FRUIT LOGISTICA 2016」に連携企業と出展しました。今回はこの展示会の様子と同社の青果物の輸出事業についての展望。そしてP-プラスが輸出に担う役割についてお話を伺います。



一日平均2500tもの青果物を扱う東京青果株式会社

大田市場は東京都が開設する中央卸売市場。日本国内に66か所ある中央卸売市場の中でも野菜や果物など青果物の取扱量において全国ナンバーワンの規模を誇ります。青果物の集約を引き受ける卸売業者、その最大手となる東京青果株式会社は、毎日、平均2500tもの青果物を扱っています。

全国各地の生産地で収穫された多品種多ロットの農産物が効率よく集荷・販売され、仲卸業者・売買参加者を介してスーパーや青果店へ、そして消費者の手元へ届くシステムが、ここ大田市場を中心に構築されています。

日本には四季があり、気候の変化が大きいため、例えば桃の出荷はであれば岡山にはじまり、中部地方、山梨、長野、そして最終的には東北・山形へと産地がリレーしていくという特徴を有しています。そのため同社のような卸業者が機能することで、生産者は効率よく大消費地へと農産物を送り出すことができます。同時に相場に基づいた売買によってリスクヘッジも可能となり、消費者の元へと安心・安全な野菜が安定供給されることとなります。

さらに東京のマーケットは大きく、高級専門店、スーパーマーケット、近所の八百屋さんなど幅広い分布が見られます。そのため、生産者が東京青果に農産物を送ることで、東京市場における生産物の価値が正しく評価されるという、一つの基準になっており、その価値を産地へフィードバックすることで、生産者の方々の来期以降のモチベーションアップにもつながります。

「モータリゼーションが発達したとはいえ、青果物の輸送には鮮度保持という課題が付きまといます。冷凍保存が可能な肉や魚と違い、青果物は冷凍が出来ない為、鮮度の高い状態で消費者にまで届ける事が生産者にとって大きな課題でした。そんな中、住友ベークライトのP-プラスの有効性が産地に浸透し、私たちもその存在を知ることになりました」というのは、東京青果株式会社 経営戦略室の鈴木慎太郎さん。

生産物の価値の向上には二つのアプローチがあるといいます。

「ひとつは品種改良で素材そのものの価値を変える方法ですが、これには長い時間と労力が必要です。一方で、これまで生産した作物でもP-プラスに封入することで、それまで以上に鮮度維持ができるというのは非常に付加価値が高く、それ以外の生産物に比べて時間や労力を抑えて差別化することが出来ます。これまで評価され続けた生産物をより一層価値が高められる技術があることは、これからの日本の青果物物流にとって非常に重要であり、私たちも、まだP-プラスを知らない生産者に対して情報提供を進めていきたいと思っています」


確かな手ごたえを感じた「ASIA FRUIT LOGISTICA 2016」

そんな東京青果が生産青果ビジネスにおけるアジア唯一の国際トレード―ショー「ASIA FRUIT LOGISTICA 2016」に出展を決めた背景には、昨今の政府主導の輸出拡大戦略があるといいます。

「元々、国内の流通に対する安定供給を使命としていたため、国内市場にしか目が行っていなかったのは確かです。ところがアベノミクスの成長戦略の一つとして掲げられた輸出拡大要請をうけ、当社も昨年から輸出の取り組みを開始したのです」

すでに各生産地の行政や貿易会社は輸出業務の取り組みをスタートしており、東京青果はいうなれば後発組。ところが、全国から多品種多ロットの生産物が集まる市場特有の機能を活かし、幅広い提案ができる強みをアピールできるのではと考えたのだといいます。

「現時点では卸売市場法という縛りがあって、私たちが直接、外国のバイヤーに販売することはできませんが、販売チャネルを持った仲卸業者をはじめとする複数社の協力をあおげば、新たな商機が生まれるのではないか。その試金石として、今回のトレード―ショーに初チャレンジしたのです」

東京青果の旗振りで集まったのは、仲卸業者と通関業者、住友ベークライト。そして銀座千疋屋さんにも参画してもらったといいます。「日本の農産物の品質はすでに世界的に認知されています。そこに加えて、青果物を収集して鮮度保持をし、しっかり海外のお客様へとお届けできる、高度な物流システムの存在を丸ごとご提案したいという意図がありました。そこに銀座千疋屋さんという世界的に知名度の高いハイエンドなブランドに加わっていただくことで、しっかり興味を持っていただこうと思ったのです」

鈴木さんらの狙いは的中し、想定をはるかに超えた来場者がブースを訪問。事前に用意していた名刺もパンフレットもあっという間になくなってしまうという盛況ぶりだったといいます。

「ブースのデザインについても、完全なるジャパネスクではなく、黒を基調にスタイリッシュにまとめ、日本語のポスターは一切掲出せず、外国人の方にもなじみやすい雰囲気としました。アジアにて人気のさつまいも、そして銀座千疋屋レベルのマスクメロンを手軽に試食できるジャズが流れるカウンターを設けたことも功を奏し、集客につながったと思っています」


P-プラスとともに青果物輸出の可能性を拡大

会場でのアンケート収集数もあっという間に目標数をクリアし、これから細かく分析を進めていくとはいうものの、現場に立ち続けた鈴木さんは手ごたえを感じていたといいます。

「私たちのような市場を中心とした業者による輸出へのチャレンジは、まさに今はじまったばかり。今回のトレード―ショーに出展することで、海外市場のニーズや期待値を知ることができたのは、大きな成果だと思っています」

今回のトレード―ショーで感じた手ごたえを大田市場の関係者や生産者、取引先の方々に報告し、市場からの青果物輸出の可能性を示唆したいという鈴木さん。今後の戦略を考える中でP-プラスの存在が必要不可欠だといいます。

「日本の青果物は人気が高いのですが、例えば東南アジアであれば現地の高温多湿な気候による鮮度劣化が激しく、正当な評価を得ることが難しい状況にあります。また、国によっては果実の成熟度に好みの違いがあるので、それぞれに適した青果物の硬さや甘さを保持したまま店頭に並べる必要もあります。そういった環境や慣習の違いに合わせ、それぞれの国によって求められるものをP-プラスに包んで出荷することで、さらに日本の青果物の価値は高まると考えます」

業界トップクラスの集荷能力を有し、多品種、多等階級の青果物を供給する東京青果。しかも羽田空港、大井ふ頭に近いということで、輸出事業の拡大に必要な条件がそろっていると考えられます。P-プラスの鮮度保持技術が、そんな東京青果の、ひいては日本の青果物の可能性を広げる一助になれるのならば、これほどうれしいことはありません。

お客様の情報

東京青果株式会社

    〒143-0001 
    東京都大田区東海3-2-1

    TEL: 03-5492-2001

私たち東京青果は、生産者と消費者を結ぶコーディネーターとして、実需者(仲卸業者・スーパーのバイヤー様など)からの様々なニーズを受けながら、産地の方々と一体となって、日々"食を創る"取り組みを行っています。最近では海外で高品質な日本産青果物への需要が高まっている中、経済成長と人口増加が見込まれるアジアを中心に、国産青果物の輸出拡大に取り組んでまいります。