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田村農園【なばな】

ご紹介

今月ご紹介するのは、千葉県南房総市 株式会社田村農園の『なばな』です。

一年を通じて温暖な気候の立地を生かして『春を呼ぶ野菜と呼ばれる野菜なばな』を生産しています。

天候や気温の変化に対応した安定供給の実現と採れたての美味しさをご家庭まで届けるためにP-プラスを採用していただいています。



“日本一のなばなの産地”である南房総市

千葉県南房総市は、房総半島の南端に位置し、西側には東京湾、東側および南側には太平洋と3方を海に囲まれた地域。沖合を流れる暖流の影響により、一年を通じて温暖な気候に恵まれ、真冬でも霜が降りにくいエリアとなっています。

この恵まれた環境と東京から100Km圏内にあるという立地条件から、野菜や果実、花卉など多くの作物の栽培と出荷が盛んな、関東エリア有数の農業地帯として発展を遂げてきました。中でも、今回ご紹介するなばなは、「春を呼ぶ野菜」として、50年以上も前から生産が続く地域の特産品であり、東京市場に並ぶなばなの約半数が、ここ南房総市から出荷。耕地面積、出荷量、質ともに“日本一のなばなの産地”と呼ぶにふさわしい場所となっています。

花が咲く前のつぼみから下10センチ程度までの葉と茎が食べられるため、土づくりや肥料設計による違いがダイレクトに味の違いに現れるデリケートな農産物であるため、各農家において品質の向上に余念がありません。

「このエリアの若手生産者で組織する『南総なばなネット』では、常に新しい技術や工夫について意欲的な意見交換がなされています」というのは、その代表を務める田村臣希さん。ご自身が運営する農業法人・田村農園でも、約10ヘクタールの農地で食用なばなを栽培し、例年、10月末から4月初旬までの約半年間で2万ケース相当に対応する出荷体制を整えています。

大手スーパーが生産者と協力して安心・安全な食品を届けるブランドの生者者として名を連ねるなど、意欲的に販路を拡大しながら、高い品質のなばなを多くの消費者に届けています。


美味しいなばなの食感をそのまま食卓へ


田村農園が生産するなばなは、ほのかな甘みと、生で食べられるほどの柔らかさが特徴。茎の先まで食感が良く、苦みが少ないのは、鮮度が保たれたまま食卓に届いていることの証なのだとか。こうしてなばな本来の味わいを消費者に直接届けることができるのも、P-プラスあってのことと田村さんは言います。

「昨年から、大手スーパーのプライベートブランドの包装袋に採用させていただきました。それまでは、一般的な防曇袋を使用していたのですが、こちらで袋のふちを閉じないで出荷していたこともあって、非常に劣化が早くて困っていました。さらに店舗での袋とじ作業の負担を軽減できないかというご相談がお客様から入り、何か用方法はないものかと思案している状況でした」

生産者の思いとしては、やはり美味しいなばなをそのまま消費者の食卓にお届けしたい。何か対策はないものかとアイデアを絞っていたところ、以前、JAで利用していたP-プラスのことを思い出したと言います。

「5年ほど前でしょうか。なばなをバラで出荷していた際に、P-プラスを使っていたことを思いだしました。当時は大袋での出荷だったのですが、あれを個別包装に使えないものかと、住友ベークライトさんに相談したのです」


その時点ではすでに、P-プラスの効果はある程度理解していたという田村さん。しかし、あらためて自らが生産したなばなを使って実験をしてみると、その明らかな違いに驚いたと言います。

「やはり、なばなは鮮度保持期間が短く、2~3日経過すれば、切り口が変色して硬くなったり、筋張ったりしてきます。こうなってしまってはもう、消費者に提供することなどできない状態です。P-プラスを利用することで、従来の密封包装や紙束包装に比べ、飛躍的に保持期間が延長されました」

P-プラスに封入して出荷するようになって、流通サイドはもちろん、消費者からの評判もあがったとか。それは、増加したオーダー数に現れているといいます。

「ピーク時には1日に1万袋は出荷します。私たちの思いが消費者の届いたということと受け止めながら、嬉しい悲鳴を上げています。現状では封入作業が自動化できないため、この時期には作業者を動員し、総力で対応しています」

P-プラスを採用したことで、別な効果も生まれたといいます。

「なばなの収穫、出荷量はどうしても気温や天候によって大きく変動してしまうものです。特に週末には、いつも大量のオーダーが入り、お客様や消費者の要望に応えたいけれども、生産物が不足するという事態も過去にはありました。P-プラスに封入し貯蔵することで、安定供給のための調整も可能になりました」


新たな農業の可能性にチャレンジを続ける


大学で農業を専攻した後にオランダへ留学。海外の農業事情をこの目で見てきたという田村さん。自ら農業法人を設立し、先進的なチャレンジを繰り返しながら、新たな農業の可能性とビジネスモデルを作っていきたいと語ります。その根底には、安心安全な農作物作りに対する飽くなき探究心があるように見受けられます。

「畑を半永久的に使えるよう土づくりに取り組んだり、農薬・化学肥料の仕様を抑えた農法を採用し、『ちばエコ農作物』の認定を受けています。とにかく、消費者が喜ぶ農作物を作って、すばやく食卓にお届けしたいという、その一点を実現することが私たちの使命だと理解しています」

田村さんのような若く有能な農業人が増えることで、日本の食はさらに豊かに、そして安心安全になっていくものと考えます。P-プラスも、ロジスティックや貯蔵技術の側面から田村農園さんのこれからをサポートしていければと思います。

お客様の情報

株式会社 田村農園

    千葉県南房総市千代346

田村農園は、温暖な南房総市で食用なばなの生産を行っています。

他産地の出荷が寒さで減少しやすい厳寒期(1-3月)の安定出荷に対応するため、品質の向上と栽培面積拡大を図っています。

また千葉県が認証する千葉エコ農産物の認証もうけています。