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2013年12月のP-プラス青果物
鹿児島県産【キヌサヤ】

ご紹介

年末から新春にかけてスタートする豆科野菜類には、格別な春の香りがします。冬来たりなば春遠からじ…という格言そのままに、一足早い南国の春の息吹を伝えてくれるからでしょう。なかでも、鹿児島県から入荷するキヌサヤは、早くも10月末から始まり、年が明けると本格化して、春本番の4~5月ごろがピークになります。夏から秋には東北産地が受け持ち、年間を通じると東京の市場には全国32県からの入荷があります。しかし、やはりキヌサヤといえば、鹿児島県産が季節の先取りとして初陣を担っているのです。

そんな特別な存在である鹿児島県産キヌサヤは、早出しでありながら、季節を彩るメニューを提供する料理屋さんなどの業務用需要だけでなく、一般の消費者からもその存在が支持されているのも大きな特徴。出荷時期になると、いち早くスーパー店頭に並ぶほか、生協の共同購入でも注文が殺到するといいます。

春の香りを求める一般消費者のニーズに対応して、一手に供給を担っているのが、鹿児島県経済連の直販セクションである鹿児島くみあい食品です。同社はスーパーや生協からの注文に基づき、早くも10月中から50gの小袋キヌサヤの供給を開始します。シーズンを通じて全国のスーパー・生協に50トン分・110万パックものキヌサヤを届けているのです。

鹿児島くみあい食品の商品化システムには、他に例を見ない大きな特徴があります。スーパー・生協から、あらかじめ受けた注文に基づき県内の産地を新規開発することで、直販専用の産地作りをしています。県内JAなどに集まった市場出荷向けものから、直販用を抜き出して商品化するのではなく、直販用を別枠で産地化するのは、需要側からの要求に100%応えるための独自の対応策だといえます。

一般消費者への販売が前提ですから、商品を万全な状態で届けなければなりません。そのため、収穫後に発熱作用がある豆科野菜類の鮮度保持には、特別の気配りがされています。収穫後なるべく早く予冷すること、温度は流通時も含めて4~5℃をキープすること、そしてパッケージには、鮮度食味保持効果があるMA包装(P-プラス)を採用することなどです。「パッケージを開けたら、鹿児島の春の香りがした」などと消費者からの感想が寄せられることが多いのも、こうした産地側の気遣いの賜物なのでしょう。

鹿児島くみあい食品の豆科野菜類は、キヌサヤを皮切りに、インゲンやピース、スナップエンドウ、ソラマメ、エダマメと初夏までの半年以上にわたってリレーされ、消費者への供給を担っています。すべての商品で、キヌサヤと同等の鮮度食味保持のための技術が駆使されていることは言うまでもありません。また特にサヤエンドウは全国どこにでも生産されており、中国などからの輸入品も流通していますが、鹿児島県産の豆科野菜類は“別格”だと、消費者からも市場の専門家からも評価されているのはなぜでしょう。

先ず第一に挙げられる理由は、全国に先駆けて早出しして春の香りを届けてくれる大型産地だということです。さらに加えて、仕向け先別のキメ細かな商品化技術を持っていること、そしてなによりも、食味を重視した鮮度保持を徹底していることなどでしょう。食味や棚もちなど、一見して「見えない部分」をいかに丁寧に、正直に追求するか…。食品偽装が横行する昨今だからこそ、その基本姿勢は多くの賛同と賞賛を集めているのです。