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2012年1月のP-プラス青果物
JAゆうき青森【ながいも】

ご紹介

昨年夏に引き継ぎ、この夏も猛暑と少雨の影響で作柄が心配された長いもでしたが、主産地である青森県・JAゆうき青森においては、収穫量も平年並みを確保。年末年始の需要期には、順調な販売ができました。卸売市場や小売店など流通業界も、ほっと胸をなでおろしたようです。

JAゆうき青森の長いもの作柄が、流通業界で大きな関心を呼ぶのは、全国一の長いも生産地青森県、中でもJAゆうき青森が県内一の生産量を誇っている、ということだけではありません。2010年4月に、JAゆうき青森の前身である旧JAとうほく天間は、「有機の里構想」に基づき酪農農協と合併。地域内循環型の“食味重視型”のエコ栽培が実現したこととあわせ、2010年には、全国でもトップクラスの規模を誇る「ながいも洗浄選別・貯蔵施設」が完成。最大で1日48トンの長いも処理を可能にする、安定した出荷体制を確立しているからです。

春と秋に収穫される長いもは、年間を通じて貯蔵・選果、その都度、包装されたうえで全国流通していますが、そこでの最も重要なポイントは周年変わらずに同一品質で供給されるかどうか、だといわれます。その意味では、同JAの貯蔵技術や厳しい品質・規格のチェック体制は、流通業界から絶対の評価を得ているのですが、さらに「商品として信用できる長いも」の地位を獲得しているのには、もうひとつのファクターがあります。それは、主に量販店対応商材にMA包装(P-プラス)を採用していることです。

同JAながいも部会は、平成23年現在で部会員は641人、栽培面積は534ha。約35億円の販売額を誇りますが、ひとつの特徴は、2010年からスタートした独自の「ながいもエコファーミング認証システム」。徹底した土壌づくりによって、おいしくて安全な長いもを作る栽培を実現するための自己認証制度です。この栽培体制が、厳しい生産環境のなかでも、他産地の不作傾向を尻目に、ひとり“平年並み”の作柄を確保できた理由だともいわれています。

そしてもうひとつの特徴であるMA包装長いもの供給体制です。
長いもは、長年にわたって流通体系に多くの悩みを持っていました。従来は、10kgのダンボールにオガ屑を入れて、折れないようにまた保水性を保つように出荷してきました。しかしオガ屑は、消費地ではゴミ扱い。それを何とか解消したいと、紙おむつの材料やエアクッションなどを使ってみましたが、どうしても流通中に折れてしまう、保水が保てないために変色してしまうなど、失敗の連続でした。

ところが数年前、コンテナ流通を前提とした包装形態を模索していた際、MA包装に出会ったといいます。当初は、その効果が半信半疑でしたが、常温に2週間置いても変色せず、腐敗もないことを確認できたといいます。オガ屑を使わずに、レンタルコンテナの使用でもダンボール出荷でも流通可能。さらに、コンテナを使いフィルム包装することで「商品が見える」ため、必然的に流通過程や小売店頭での取り扱いも丁寧になり、腐敗だけでなく、芽がでてしまう、といった最悪の商品ロスもゼロになったといいます。

同JAでは、年間を通じて主要都市のスーパーなどの店頭で、部会の婦人部などを動員した販促キャンペーンを継続しています。ホットプレートなどで手軽に調理できるバター焼きなどの簡単メニューの提案や、「長いもの漬物」(6種類)の併売などを通じて、販売促進や知名度アップに余念がありませんが、いまや、「JAゆうき青森の“ながいも”」は買い物客には“有名ブランド”。「応援しています」などと暖かい声がかかることも多くなったといいます。

「MAフィルムを採用することで、産地ブランドやメニュー提案が印刷できるようになり、消費者に直接アピールできた結果でしょう」と説明するのは、同JA営農経済部の土橋博部長。これに加えて、「このMA包装に出会って、他の品目への商品化の幅が広がり、さらにチャレンジしたいと意欲が湧いています」とも。

エコ・システムで産地も勇気(有機)百倍。JAゆうき青森の“P-プラス長いも”は、今年も消費者マインドをとらえてくれるでしょう。