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2011年8月のP-プラス青果物
JA鶴岡【だだちゃ豆】

ご紹介

7月の末ともなると、全国の“だだちゃ豆”ファンは、落ち着きません。今年も例年通り鶴岡から“だだちゃ”が出荷されてくるのだろうか、と毎日、小売店頭を覗くのだといいます。関東地区では、6月ともなると、埼玉産や千葉産の“青豆”が本格出荷されてきますし、最近では“ちゃまめ風味”のエダマメ品種も出ています。しかし、“だだちゃ豆”ファンにとっては、山形・鶴岡地区産のチャマメこそが本物のチャマメ。二粒莢が多くても見栄えがしなくても、あの食味こそがエダマメの醍醐味!という熱烈なサポーターが存在するのも、“だだちゃ豆”の特徴なのです。

昨年の夏は猛暑だったため、後半出荷量が少なくなりファンをがっかりさせましたが、今年に入っては春先まで雪が消えず、さらに6月末から7月にかけて豪雨に見舞われ、生育状況が心配されました。しかし、例年より早い梅雨明けで、遅れていた生育も回復し、7月末には待望の初出荷となりました。

今年のだだちゃはデザインも一新。食味保持効果のあるP-プラス包装に、濃緑の地に金色で「殿様の“だだちゃ豆”」のロゴ入りと、高級感あふれる体裁になっています。これから9月の中旬まで、だだちゃシーズンの突入です。

さて、エダマメの流通は、最近、大きく変わりました。エダマメは市場には周年で入荷はしており、冬場はほぼ静岡産の促成物でごく少なく、3月あたりからやや増え始めるものの、台湾産が中心です。本格シーズンはソラマメが6月に終盤を迎えた後、夏から秋までがピークを形成しますが、関東地区での主産地は年間で3割を占める群馬産で、8月以降増える山形産、秋田産とともに出荷は11月まで続きます。

そんなエダマメの入荷は、近年、増加傾向をたどっています。とくに9月以降の晩生の時期に入荷が増える傾向があり、なかでも山形県を始め、秋田県、さらに千葉県でも11月出荷の品種もあるほど。これに対して、5月の入荷は減っています。味の乗り切らない5月には、早いだけの出荷が評価されなくなっているのは、近年、単価も低下傾向であることで証明されています。代わって、9月以降の単価は上昇ぎみです。これは、JA鶴岡の「だだちゃ豆」が切り拓いた、食味のいい晩生のエダマメへの消費者の支持の広がりと、これに着目して各産地も晩生品種の開拓を積極的に展開している結果なのです。

こうした晩生エダマメの“戦国時代”を迎えて、JA鶴岡のエダマメ生産部会の300人の生産農家は、パイオニアとしての自負と責任感で、さらに燃えさかっています。300ha以上の生産面積の維持・拡大を合言葉に、食味や内容・品質の追及に余念がありません。JA鶴岡の播種研究会が厳重に管理する原種圃場では、毎年、優良品種への選抜を繰り返しており、昨年のような猛暑の際は、品質基準に満たないものは圃場廃棄するなど、「だだちゃ豆」としての品位を守っています。消費者には、穫れたての食味を届けるために全国に先駆けて採用したP-プラス包装はもちろん、低温管理のもとで流通を組み立てています。まさに「勝って兜の緒をしめよ」という、庄内藩時代からの精神は、今年から採用された「殿様の“だだちゃ豆”」のロゴに添えられた紋所「庄内片喰紋」が象徴しているかのようです。
今年の夏も、だだちゃファンにはとくに嬉しいシーズンになりそうです。