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2010年5月のP-プラス野菜
美唄産【アスパラ雪蔵美人】

ご紹介

今年も、北海道からアスパラガスのギフトがやってくるシーズンになりました。この春は例年にない冷え込みで、スタートが大きく遅れましたが、アスパラ好きにとっては待ちに待ったシーズンの到来です。輸入品を含めていまや年間を通じてアスパラが買える時代になりましたが、やはり北海道産のアスパラは太さといい、その食味、甘味も格別。全国に多くのファンが待っています。
そんな北海道産アスパラギフトの中でも、今年、とりわけ話題になっているのが、MA包装(P-プラス)された美唄産の「雪蔵美人(ゆきぐらびじん)」です。

この商品の産地JAびばいは、アスパラガスの生産ではその面積60ha、生産量200トンという、北海道を代表する産地ですが、生産・出荷方法にはかずかずの大きな特徴をもっています。まずその出荷時期が、4月中旬から9月中旬までと長期にわたること。これは、春先から始まる収穫の後、株を養成しながら秋口まで継続して収穫が可能になる、「立茎栽培」という栽培方法を、平成6年、北海道では初めて導入したからです。また、露地立茎栽培は10a当たり0.6~0.7トン、ハウス立茎栽培では10a当り1.8~2トン取りの日本を代表する生産効率をあげています。
JAびばいでは、アスパラのシーズンに入ると、80戸以上の生産農家を順繰りに回って収穫したてのアスパラを集荷し、それをただちに農協の共同集出荷施設に搬入。外気温の高いシーズンには、最長24時間ものあいだ雪蔵貯蔵で予冷をした後、商品・仕向け先別に結束処理、選果・包装する共同選果・共同販売体制をとっています。仕向け先は、アスパラ消費が日本一の北海道内が中心ですが、首都圏などのデパートを含む500g入りのギフト品(雪蔵美人)向けには 10トン以上を供給しています。

アスパラの長期出荷という点では、九州のアスパラ産地と同様にみえますが、実はJAびばいのアスパラは他産地とは「食味が違う」「甘味が強い」「店もちもちがう」と評価されています。その理由は貯蔵方法にあります。自然エネルギーである雪を活用して、品質保持しているためです。
いまギフト用に出荷されている「雪蔵美人」のフィルムにはこんな紹介文が印刷されています。

「美唄市は、北海道有数の豪雪地帯です。JAびばいでは、従来は邪魔者扱いだった雪を利用した環境にやさしい農産物の保管・貯蔵をおこなっております。北海道ならではの雪エネルギーを活用した利雪型予冷庫を使用し、低温多湿により水分蒸発を防ぎ品質劣化を最小限に抑え、鮮度の高い商品を供給しております」

同JAでは、3月上旬に米の低温保管とアスパラガスの低温保管のため、3650トンもの「雪入れ」作業を行います。このうちアスパラ利雪型予冷庫には50トンの雪を集積することができますが、その冷蔵効果によって庫内の温度は3℃、湿度85%という適温適湿で 12トンものアスパラ保管能力があります。
さらに、アスパラの予冷処理はきめ細かな配慮がされています。適温である予冷庫に入れる前に、収穫後に急激な温度変化を避けるために、予定庫内に「前室」を設け約15℃にあらかじめ下げてから、その後、予冷や貯蔵を行うというシステムで品質管理しているのです。出荷後の食味や店もちに、これだけ万全を期して品質保証している産地はありません。そこまで食味保持されたアスパラを、そのままの品質で消費者に届けるため、MA資材によって密封・個包装しているのです。品質に万全の気を使う産地、JAびばいならではの真骨頂です。