3次元培養用プレート「PrimeSurface®」
PrimeSurface®を使用したヒトiPS由来腎臓オルガノイドの作製と創薬研究への応用

iPS細胞由来のオルガノイド作製技術は、近年の再生医療や創薬研究において革新的な進展をもたらしています。オルガノイドは、実際の組織や器官の三次元的な構造や機能を忠実に再現できるため、従来の二次元細胞培養では困難であった生体内の複雑な微小環境を模倣し、病態解明や薬剤の効果・安全性評価における新たな研究モデルとして注目されています。
本アプリケーションノートでは、PrimeSurface®を用いた高品質なヒトiPS由来腎臓オルガノイドの均一で再現性の高い作製技術を紹介し、そのオルガノイドが疾患モデルの作製、薬効評価や薬剤スクリーニングとしても応用でき、創薬研究の効率化に貢献します。

腎臓オルガノイドの作製

  • iPS細胞の分化誘導:
    ヒトiPS細胞を段階的な刺激条件 (CHIR99021、Activin A、FGF-9の添加) によりネフロン前駆細胞まで分化誘導しました。
  • 三次元培養とオルガノイド形成:
    Day8に分化誘導中の細胞をPrimeSurface®に播種し、特殊な表面処理により細胞凝集と均一な腎臓オルガノイド形成を促進しました。
  • 培養および評価:
    約21日間培養後、形成されたオルガノイドを回収し、免疫蛍光染色で腎臓特異マーカーを評価しました。高品質で機能的な三次元組織形成を確認しました。

PrimeSurface®を用いることで、ヒトiPS細胞由来腎臓オルガノイドは均一で高い再現性をもつサイズに形成されました。免疫染色解析においても、腎臓のネフロン構造を構成する主要な細胞マーカーが適切に発現しており、機能的な三次元組織の形態形成が示されました。

腎臓オルガノイド

【発現マーカー】

① PODXL:腎臓の糸球体内にある足細胞 (ポドサイト) で発現する膜タンパク質です。足細胞のシグナル伝達や細胞間接着、糸球体基底膜との相互作用に関与し、腎臓の血液ろ過機能の維持に重要な役割を果たします。オルガノイドでは足細胞のマーカーとして用いられます。
② LTL:近位尿細管の表面に特異的に結合します。近位尿細管の細胞表面の糖鎖構造に結合し、尿細管機能の指標や構造の同定に使われます。オルガノイドでは近位尿細管部分の識別に利用されます。
③ CDH1:上皮細胞の細胞間接着に関与する重要な接着分子であり、腎臓の遠位尿細管や集合管で主に発現します。細胞の組織構造を維持し、細胞間の結合を介して形態形成や組織の健全性を保つ役割を担います。
④ DAPI:DNAと特異的に結合する蛍光色素で、細胞核を染色するためのカウンターステインとして広く使用されます。細胞の存在および核の形態を観察するための基本的な染色方法です。

【データご提供】東京科学大学 腎臓内科 講師 須佐紘一郎先生 

PrimeSurface®で作製したオルガノイドによる創薬支援

高い均一性・再現性:
PrimeSurface®は特殊な表面処理により均一な細胞接着基盤を提供することで、均質かつ再現性の高いオルガノイド形成を実現します。これにより薬剤反応のばらつきを減少させ、スクリーニングの信頼性が向上します。

安定した長期培養環境:
長期間の培養に耐えうる安定性があり、繰り返しの薬剤添加や慢性的な影響の評価も可能です。

機能的評価に適した三次元構造:
腎臓のネフロン構造を模倣し、主要細胞マーカーを発現するため、薬剤の有効性・毒性評価において従来の2D培養よりも実臨床に近い評価が可能です。

創薬研究の効率化と成功確率の向上:
安定した培養系により評価実験のバラツキが抑制され、評価結果の品質が向上。疾患モデルの作製、薬効評価や薬剤クリーニングの効率化および創薬成功率の向上に寄与します。

PrimeSurface®は均一で再現性の高い高品質なオルガノイド形成を可能にし、
オルガノイド研究における信頼性の高い培養システムとして有用です。
さらに、疾患モデルの作製、薬効評価や薬剤スクリーニングへ応用でき、
創薬研究の革新と効率化に寄与します。