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住友ベークライトのサステナビリティとSDGs

住友ベークライトは、2019年度から始まる中期経営目標にSDGsを組み入れるとともに、全社での活動を統轄するサステナブル推進委員会を発足し、SDGsへの取り組みを本格的に開始しました。

サステナブル推進委員会副委員長であり、SDGsへの取り組みをリードする立場にある取締役専務執行役員の稲垣より、活動の核となる考え方、推進体制、具体的な取り組み事例、そして今後のビジョンなどをご説明します。

『究極の潜在ニーズ』であり、ビジネスチャンスでもあるSDGs

まず初めに、当社だけでなく世界各国の企業がSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に取り組む理由・意義からご説明します。

SDGsでは、企業も目標達成のために大きな役割を果たすことが期待されています。これは、前身であるMDGsとは異なる特徴です。地球規模の環境破壊や気候変動、社会構造の複雑化や多様な価値観の共存などにより、現代社会は到達すべきゴール、理想とすべき状態が非常に見えづらくなっています。私たちのような製造業においても、これからどの方向に向かっていけばいいのか、何をつくればいいのかが見えていない。各社それぞれで必死に模索している状況です。その中で、SDGsというのは突き詰めれば世界中のすべての人々が行き着く道標と言えます。さまざまな社会課題を解決し、未来をより豊かに継続的に発展させていく。これは企業の経済活動の目的とも合致します。今は「自社だけが儲けられればそれで良い」などという企業は、淘汰される時代です。むしろ、世界全体の持続可能な開発のために、自分たちは何をすればいいのか、どう貢献できるのかを考え、事業を通じて実現していくことが、企業を発展させる上で不可欠な要因となっています。つまりSDGsは、企業にとって『究極の潜在ニーズ』なのです。社会や市場が最終的に望むことを謳うSDGsに合致する製品を製造・販売し、受け入れられれば、大きなビジネスチャンスにつながります。SDGs関連経済は、全GDPの8割にも達すると予想するエコノミストもいます。お客さまの要望に真摯に向き合い応えていくという側面では、住友ベークライトが2017年度から取り組んできたOne Sumibe活動にも通じます。さらにESG投資などの面で評価を高めることができれば、株主・投資家の皆さまにもご満足いただけます。SDGsへの取り組みは、多方面のステークホルダーへの貢献を実現するのです。

SDGs
  • ※MDGs:Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)の略。
  • ※ESG投資:Environent (環境)、Social (社会)、Governance (企業統治)を指し、これら3つの要素に対する企業の取り組み状況に基づいて、投資対策企業を選別する投資手法。

社是の考え方と合致するSDGsの理念

当社グループは以前から、社会的課題を解決し、持続的な成長と価値創造を実現していくために、経済的価値のみならず社会的価値を向上させていくことが不可欠と考えてきました。この考えの根幹にあったのが「基本方針」(社是)の理念です。社是の考え方はそのままSDGsの理念とも合致します。

さらに、住友ベークライトは機能性化学品を製造する企業です。一つひとつのプラスチックに新しい技術で最適な機能を与えていくのが私たちの役割であり、付加する機能はお客さまのニーズに合うものでなければなりません。では、より多くのお客さまにとってのニーズとは何か。そのように考えていくと、最終的に行き着くのがSDGsです。だからこそ、SDGsは今私たちが捉えるべき『究極の潜在ニーズ』であると言えるのです。

2019年度から始まる中期経営目標でも、基本方針においてSDGsに即した事業活動を行うことを明言しました。『社会や環境に良いから』だけではなく、長期的に事業を拡大・発展させていくために、SDGsという世界共通の目標を事業計画や日常業務、そして従業員一人ひとりの意識に取り込んでいきます。

当社のSDGsに貢献するモノづくり

サステナブル・SDGsを推進する体制

SDGs 推進の中心となるのが、2019年4月に設置した「サステナブル推進委員会」です。2018年10月より前段階として「SDGs推進準備プロジェクトチーム」の活動を開始しましたが、SDGsの推進には環境、社会、経済性という3つの軸が必要であるため、より全社的に取り組んでいける体制を整えるべく、社長を委員長とする「サステナブル推進委員会」を発足しました。これまでCSRにかかわってきたレスポンシブル・ケア委員会やリスクマネジメント委員会も、「サステナブル推進委員会」のもとで活動を続けていきます。

事業活動全体がSDGsを踏まえたものになるということは、事業推進とSDGs推進を一体のものとして取り組むということです。すべての部門・従業員がかかわり参加する活動だということが、この体制からもおわかりいただけると思います。

サステナブル推進体制

SDGsを推進する人材の育成

まずは、SDGsへの理解を深めるところから始めます。SDGsを業務や製品に取り入れていくには、17の目標だけでなくそれに紐づく169のターゲットまできちんと理解しなければなりません。しかし、日々の業務に加えてそこまで学ぶのは難しい。そこで、今取り組んでいる業務がSDGsとどのようにかかわるのか一目でわかるポスターを作成し、各オフィスに貼り出しました。次に、一人ひとりの理解を促進するとともに、全社の理解浸透度を図る指標にもなる認知度チェックを行います。勉強会やe-ラーニングを利用して実施しており、会長、社長以下全従業員が受講します。

SDGsを事業活動に生かすには、目標やターゲットの文言を知っているだけでは足りません。特に考えなければならないのが、事業におけるネガティブ要因の有無です。自分の担当業務だけが改善しても、ほかの部門や取引先企業などで状況が悪化したのなら、それは改善にはなりません。SDGsは当社の取り組みだけで達成できる目標ではありません。それをよく認識し、広い視野と見識を備えて業務にあたることのできる人材が、SDGsを推進していくためには必要なのです。

「プラスチックのパイオニア」として取り組む5+1の重点領域目標

SDGsには17の目標があり、最終的にはそのすべての達成を目指すものではありますが、一企業が事業を通じて貢献できる内容には限りがあります。そこで本格的にSDGsに取り組むにあたり、住友ベークライトの事業分野に直結する5つの目標を、重点領域目標として抽出しました。「3:すべての人に健康と福祉を」「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「8:働きがいも経済成長も」「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「12:つくる責任 つかう責任」です。注力している事業分野に関連する、住友ベークライトの強みが生かせるなど複数の観点から17の目標に点数を付け、上位に来た5つを選びました。

当社のSDGs重点領域目標

もう一つ、「プラスチックのパイオニア」を名乗る企業として加えなければならないのが、「14:海の豊かさを守ろう」です。海洋プラスチック、マイクロプラスチックの問題を含むためです。しかし、これらの問題に機能性化学品メーカーである住友ベークライトが直接的に関与するのは困難なため、さまざまな企業や団体が参加するアライアンスに参加することで、問題解決に貢献していきます。また、海洋プラスチックには「出さない」「流さない」「回収する」「処分する」の4段階があり、このうちの「出さない」には住友ベークライトも取り組めると考えています。例えば、同じ製品でもより薄く軽くしていくことでプラスチックの量を半分に減らす。すると、もしゴミとして流されてしまったとしても、ゴミの量は半分になります。または、生分解プラスチックなど新しい素材の開発。現在盛んに進められている分野ですが、プラスチックとしての耐久性や、分解の際に発生する炭酸ガスなど、まだ研究を重ねなければならない課題も多く残っています。

抽出した5+1の目標は、現時点での重点目標です。今後、住友ベークライトの事業が拡大していけば、さらにほかの目標が加わる可能性も十分にあります。まずは現在ある製品を通じて着実に成果を出しつつ、より幅広く取り組んでいくことを目指します。

  • ※海洋プラスチック:海に流出したプラスチックゴミ。
  • ※マイクロプラスチック:5mm以下の微細なプラスチックの破片。主に、海洋を漂流するうちに細かく砕けたプラスチックゴミを指す。

継続して取り組んでいく環境保護・働き方改革

SDGsと社是が通じるものであるということからもわかるように、これまでに行ってきたさまざまな取り組みの中にも、SDGsに貢献するものがあります。静岡工場に造成したビオトープもその一つです。『憩いの杜』と名付けたこのビオトープでは、日本固有種の動植物の保護や地域特有の生態系の復元などを行っています。生態系保護は「15:陸の豊かさも守ろう」に貢献します。絶滅危惧種であるミナミメダカも生息しており、近隣の小学校や企業へお譲りして数を増やすとともに、地域交流や環境教育の機会も提供しています。また、ビオトープに流れる水は、静岡工場の排水を浄化処理したものです。そこでカワセミやメダカなどの清流に棲む生物を観察できるのは、化学産業への理解促進にもつながると考えています。

働き方改革やダイバーシティの推進など、社内での取り組みもSDGsに含まれます。長時間労働の撲滅や女性社員の活躍推進など、すでに進んでいる取り組みについても、SDGsを軸に見直してみれば不足していた部分やもっと効果的になる部分に気づけるでしょう。

静岡工場のビオトープ。きらめきの湿地は、貴重な大賀ハスの生息地になっている

製品の開発・販売を通じた貢献 SDGs貢献製品

単に「SDGsに貢献する製品」と考えたとき、当てはまる製品は実にたくさん挙げられます。住友ベークライトの製品は幅広く、その用途も多岐にわたるからです。フードロスや青果物の鮮度保持に直接かかわる「P- プラス®」のような製品はわかりやすい事例ですが、そのほかにもお客さまが住友ベークライトの製品を原材料として、省エネルギーを促進する製品をつくった場合の間接的な貢献なども当てはまります。そのような状況を踏まえて、特にSDGsに貢献する製品を認定する「SDGs貢献製品」という制度を開始しました。

ポイントとなるのは、その製品がどれだけSDGsに貢献しているのかを、ライフサイクルアセスメント(LCA)によって数値化して評価する点です。例えば、樹脂Xキログラムを販売すると自動車がYキログラム軽量化できて、それによって自動車から排出されるCO2は年間Zトン減るという計算式が成り立つ場合、最終的なCO2削減量を数値で評価できます。

2019年4月から、サステナブル推進委員会で審査を開始し、認定要件を満たし承認されたものを「SDGs貢献製品」として認定しています。

当社のSDGsに貢献する製品事例

2030年、さらにその先の未来へ

今やプラスチックは、私たちの生活になくてはならない存在です。プラスチックを適切に利用しながら発展していける持続可能な社会を創るために、必要な技術および製品を開発・販売していくことが、「プラスチックのパイオニア」である住友ベークライトには求められています。そのためにはたくさんのイノベーションを起こしていかなければなりません。社内の技術者・研究者の発想だけでは不足する場面もあるでしょう。外部の有識者や研究機関、志をともにできる取引先企業や、新しいアイデアを持つスタートアップ企業などを含めたアライアンスを組んでいくことが、ますます重要になると考えています。

また、SDGsの目標年である2030年や、さらにその先の未来を見据えて日々の業務を行っていくためには、明確なビジョンを共有することが不可欠です。長期ビジョンは現在策定中ですが、そのステップとして2019年度よりSBTイニシアチブとCDPの2つの指標を取り入れる予定です。

SDGsへの取り組みは、最早日々の業務の一部です。住友ベークライトが持続可能な社会を築く存在として、これからも社会から求められる企業であり続けるために、取り組みを促進していきます。

  • ※SBT:Science Based Targetの略。科学と整合した温室効果ガスの削減目標を企業が公的に宣言・設定・実行していくことで、「世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える」というパリ協定の目標を達成するための取り組み。国際的な共同イニシアチブ。
  • ※CDP:以前の「The Carbon Disclosure Project」。現在は「CDP」が正式名称になっている。機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクト。

SDGs貢献(製品、技術、活動)

住友ベークライトグループは2018年度より、製品・技術・活動のうち、SDGsに貢献するものをSDGs貢献製品・貢献技術・貢献活動として、認定することとしました。それらの開発・普及を促進することにより、SDGsの達成に貢献したいと考えています。

SDGs認定対象

下記の(1)~(7)の認定対象を一つ以上満たすものを対象とする。

当社重点領域のSDGs目標

(1) 目標3:健康と福祉の促進に資するもの
(2) 目標7:エネルギー効率の改善、新エネルギー(蓄エネルギー含む)の実現に資するもの
(3) 目標8:働きがいと経済成長に資するもの
(4) 目標9:環境に配慮した技術の拡大、産業と技術革新の基盤に資するもの
(5) 目標12:廃棄物(食料を含む)、有害物質の削減や環境負荷低減に資するもの、リサイクル、省資源化の実現に資するもの
(6) 目標14:海洋・海洋資源の保全・利用、海洋汚染の防止・削減に資するもの

重点領域以外のSDGs目標

(7) 上記の目標3、7、8、9、12、14以外のSDGs17目標の内、一つ以上の目標達成への貢献に資するもの

認定の流れ

審査項目と判定基準

  • 貢献についての具体的な説明:実データもしくは公開情報に基づき客観的に数値により示されていること
  • 貢献するSDGsターゲット:適切に選択されていること

SDGs貢献製品・貢献技術

SDGsが国連で採択された2015年基準で新たに認定した住友ベークライト 単体の「SDGs貢献製品・貢献技術」は、2018年度売上が143億万円で比率 15.7%でした。
住友ベークライトグループのSDGs貢献製品・貢献技術の2018年度売上は 493億円で売上高比率23.1%でした。 今後は、2021年度の売上高比率30%を目標として、住友ベークライトグルー プの「SDGs貢献製品・貢献技術」(連結)について増やしていく予定です。

参考データ

当社では2001年度より、「環境対応製品」( 集計対象:住友ベークライト単体)を、自社、ユーザーおよび社会において、直接的もしくは間接的に省資源、廃棄物削減、環境汚染防止、省エネ、温室効果ガス排出低減等の環境負荷低減に貢献する製品として認定しています。2018年度の「環境対応製品」の売上高および比率については、それぞれ、391億円、42.9%でした。
SDGsへの本格的取り組み開始を機に、ワールドワイドで開発・普及を進めることとし、今後は上記の「SDGs貢献製品・貢献技術」(連結)の指標で、SDGsへの貢献を進めてまいります。

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