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車載用光学関連製品のラインナップ拡充について

2020年06月23日


住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤原一彦)は、成長市場である車載用光学関連製品について、新たにセンシングカメラ向け偏光フィルターを開発し、一部機種にて採用が決まりましたのでお知らせいたします。また従来から販売しているヘッドアップディスプレー(HUD)向け光学カバーの販売拡大や、ドライバーモニタリングシステム(DMS)およびLiDAR向け波長選択フィルターの開発等ラインナップを拡充して参ります。

背景

当社は光学材料として、ポリカーボネート製の偏光板や、ハードコート・防曇コートなどの表面を機能化させた各種グレードを製造販売しており、これまでサングラス等のアイウェアやゴーグル(医療用、民生用)、携帯ゲーム機、家電製品など向けに使用されてきました。

近年の自動車関連業界では、安全・安心のための運転補助技術や自動運転へのニーズが着実に増大しており、各種映像装置・カメラ・センサーの多様化や高度化、複合化が求められ、それに伴い、光学材料の樹脂化や樹脂材料への要求機能が高まっています。特に光学系では、材料特性が、機器やセンサーの重要な特性を実現するKeyとなるケースも増えてきました。

住友ベークライトの車載用光学関連製品

1)ヘッドアップディスプレイ(HUD)向け光学カバー
【採用済】

光学カバー材が、映像品位(輝度、コントラスト)や耐久性のKeyとなる。

2)自動運転用センシングカメラ向け偏光フィルター
【新規採用】

偏光フィルターにより、映り込みによる誤認識を回避。従来のガラス材からの置き換えで、軽量化、高信頼性、低コストにつながる。

3)ドライバーモニタリングシステム(DMS)用波長選択フィルター【開発中】

可視光を遮断し、赤外線カメラに必要な近赤外線のみを透過することで、ドライバーの目の動きなどを感知する感度や、明るさの急激な変化などによる誤作動を防止し信頼性を向上させることができる。

ヘッドアップディスプレー用光学カバー

4)LiDAR向け波長選択フィルター【開発中】

可視光を遮断し必要な近赤外線のみを透過することで、感度・信頼性・処理速度に影響する。また、シート状でこれを提供することにより、高い表面精度や光学特性の安定化を実現し、デバイスの課題である小型化・低コスト化にもつながる。



当社は、これまでさまざまな光学材料を研究開発や製造販売してきた中で蓄積してきた樹脂の光学特性(リタデーション、偏光、選択波長)や表面機能コート(ハードコート・防曇コートなど)に加え、各種建築材料向け製品で培ってきた、耐候、耐光性設計と評価技術を組み合わせています。特に車外側に設置する場合は耐久性や耐候性等の信頼性と光学特性の両立が必要とされます。

ヘッドアップディスプレー(イメージ図)

LiDAR(イメージ図)

自動車メーカーおよび大手部品メーカー様との協業により、HUD用光学カバーはすでに実績化されており、センシングカメラ向け製品は新たに採用されます。今後、2023年に向け市場が形成されていくであろうLiDAR向け製品の開発も加え、2025年に30億円の販売を目指します。


補足説明

  • ヘッドアップディスプレー(HUD):
    自動車のメーター表示やカーナビゲーションなどの情報をデジタル化して、フロントガラスの前方に映し出す方式。運転者は視線や焦点を変えることなくメーターが読める。航空機の一部でも使用されている。
  • LiDAR(light detection and ranging):
    レーザー光を使ったセンサーの一種で、対象物までの距離はもちろん、位置や形状まで正確に検知できることが特徴。ミリ波レーダーやカメラなど現在の先進運転支援システムでは対応が難しい市街地における自動運転には必要不可欠と言われる。

  • リタデーション(retardation):
    光が透過する際の縦波と横波が進む速度差により生じる位相のずれ量を表す。二つの固有偏光の屈折率差Δnと試料の厚みdの積dΔnで規定される量で、試料通過後の2つの固有偏光間の光路差を示す物理量である。 路差を波長で割れば位相差となる。


関連情報

本件に関するお問い合わせ

住友ベークライト株式会社 産業機能性材料営業本部 機能性材料営業部
Tel:03-5462-8721