12月のP-プラス青果物 JA甘楽富岡【しいたけ】 | 住友ベークライト株式会社

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JA甘楽富岡【しいたけ】

ご紹介

今月ご紹介するのは、JA甘楽富岡のしいたけです。

群馬県南西部に位置するJA甘楽富岡では現在、比較的温暖な気候と適度な降水量を生かして原木栽培と菌床栽培の2種類の方法でしいたけを栽培しています。全国的には、生産数が年々減少しているものの市場の人気が高い原木しいたけの生産と、年間を通じて安定した出荷数が見込める菌床栽培をし、市場の需要にこたえる同JAの取り組みを取材させていただきました。

P-プラスの採用は20年以上前に遡ります。当時しいたけの黒変に苦慮して解決策を模索、その結果たどりついたのがP-プラスでした。それ以来長年にわたり、採用しつづけていただいています。


肉厚・食味の良いJA甘楽富岡のしいたけ

JA甘楽富岡は1994年に地域の5農協と1専門農協が合併して設立されました。同地域では古くから養蚕・蒟蒻栽培を中心とした産業が盛んで、1872(明治5)年には「官営富岡製糸場」が設立され、養蚕立国の中心として日本の産業を牽引しました。2014年には世界遺産に登録されたことは記憶に新しいところです。

JA甘楽富岡が管轄しているのは、群馬県南西部に位置する富岡市、下仁田町、南牧村、甘楽町といった山間の地域。利根川水系の一級河川・鏑川がその中心を流れ、妙義山、荒船山などに囲まれた自然豊かな地域です。

冬場は晴天が多く、県内でも比較的温暖な気候を有し、適度な降水量もあるため、「地力の高い土壌」と「恵まれた気候」を活かして下仁田ネギやナス、タマネギなどといった多種多様な露地野菜を栽培。さらに特産品の蒟蒻芋など、魅力的かつ特徴的な農作物を生産、出荷しています。今回、ご紹介するしいたけも、全国有数の生産地として知られています。現在は静岡、鹿児島に次いで全国第三位の生産量を記録。かつては第一位に輝いたこともあるほど、しいたけ栽培が盛んな地域でもあり、現在もJA甘楽富岡を中心に盛り返しを図ろうと、様々な施策に取り組んでいます。

「現在、JA甘楽富岡管内で行われているしいたけの栽培手法は大きく『原木栽培』と『菌床栽培』とに分類されます」と説明するのは営農部特産販売課の金田悟係長。「原木栽培」は管轄エリアの約70%を占める山林地域で盛んに行われていますが、元々は伐採した木材の有効活用から始まったのだとか。「限りなく天然環境で栽培されているため、プレミアムなブランド価値が生まれます」と、その特徴について語ります。

価値の高い農作物であることは間違いないものの、「生産、出荷量が天候に左右されやすく品質管理や安定した供給が難しい」というデメリットもあるのだといいます。全国的に見ても年々、生産量が減少していることは事実ですが、原木栽培のしいたけは消費者から根強い人気がある農産物であるため、JA甘楽富岡としても、生産者支援に注力しているといいます。

一方の「菌床栽培」は、樹木を粉砕したものに米ぬかやフスマを加え、成形した「菌床」に菌を植え付けてハウスで栽培する手法。「年間を通じて安定した出荷ができることから、現在はこの菌床栽培を行っている生産者さんが年々増え、出荷量で比較すると8:2の割合で菌床栽培が多くなっています」と説明します。

生産に携わる生産者の人数では菌床30名、原木50名と原木栽培に従事している生産者の方が多くなっているといいます。時間も手間もかかるが人気の高い原木栽培と安定した出荷数が見込める菌床栽培を両立することで多様な要望を持つ市場の需要にこたえることに繋がっているのです。

そんなしいたけは、JA甘楽富岡が運営する「きのこ流通センター」に集約。各々の生産者が選別したしいたけに機械包装を施して出荷をし、生産者の負担を軽減しているのだと言います。


大手量販店のプライベートブランド商品として採用

JA甘楽富岡の「原木栽培」しいたけは、主に大手量販店の店頭にプライベートブランド商品として並んでいます。「お取引の歴史は長く、東京、埼玉、神奈川、長野にまで出荷。消費者の人気も定着しています」といいます。

多くの消費者から支持を集め続ける理由には、この地域のしいたけの特徴でもある、香りと食味の良さにあります。「特に原木栽培のしいたけは、菌を植えてから1~2年という長い期間をかけてじっくり生育。そのため清らかな水を含んだ原木の成分が、しっかりしいたけの中に浸透するため、木の香りが強く感じられます。また、ゆっくり育っているため、肉厚となって身も締まり、歯ごたえのある身の中に、ぎっしりうまみが詰まっているように感じられると評判を集めています」。

このような消費者の声に応えようと、金田係長は「JA甘楽富岡としても、技術的なサポートを行うなど、さらに生産量を増やすための努力を重ねている」と説明します。

実験結果からその効果は明らかだった

JA甘楽富岡でしいたけ用にP-プラスが採用されたのは1998年頃。それ以前は一般的なOPP防曇袋を使用して包装をしていたのだといいます。

「ところが袋の内部に発生する水滴によるしいたけの黒変に苦慮。前任者からは、流通サイドからの改善提案として鮮度保持袋を紹介されたと聞いています」

そこでJA甘楽富岡のご担当者が中心となって、いくつかのメーカーの袋を取り寄せて検討。その中のひとつに住友ベークライトのP-プラスもあったのだといいます。

住友ベークライトで当時比較試験を担当した研究スタッフは「しいたけが袋内で酸欠状態になると強烈な嫌気臭を発生し、逆に通気性が少しでも高いと黒変を発生するため、両方を防止する最適条件を見つけるのに苦労した記憶があります。」と振り返ります。

その結果に同JAでは「比較実験を行ったら、その差は歴然としていました。しいたけに最適な酸素透過量を割り出し、それに適合するという根拠も明確でしたし、保持期間の長さも圧倒的でした。商品劣化の進行が遅かった」と研究スタッフの努力が実る評価を得て、採用につながったのたといいます。

そもそも、しいたけはナイーブな農産物のひとつで、収穫してから出荷するまでの間はきめ細やかな温度管理を行う必要があるといいます。「それに加えて、さらに鮮度保持袋を用いることで、品質保持が強化されるのは大変心強く感じました」

その試験結果からP-プラスの採用を決定。今では集荷から出荷、お客様の元に届くまで運送についてもコールドチェーンを確立。低温輸送で品質を保持しているといいます。

「P-プラスを導入してから、一気に状況が改善。クレーム数が減りました。その鮮度保持力のおかげで輸送時間・距離の延長も可能となりました」

東北・仙台エリアには、東京の流通センターを経由。別便で配送されているため半日から一日、余計に時間がかかっていますが、「P-プラスに封入してから、しっかり鮮度保持をしたまま、東北の消費者の元にお届けすることが可能になりました」

今後も鮮度の良いしいたけを最適な状態で、さらに広範囲の消費者に届けるとともに生産量の拡大を目論んでいるというJA甘楽富岡。P-プラスの鮮度保持力が、その一助となれば幸いです。

お客様の情報

  1. JA甘楽富岡(甘楽富岡農業協同組合)
  1. 〒370-2333 群馬県富岡市中高瀬660番地
    TEL: 0274-64-2551
    http://www.jakantomi.or.jp/
  1. 群馬県の南西部に位置する富岡甘楽地域は、富岡市・下仁田町・南牧村・甘楽町からなり、標高115メートルから700メートルに耕地が広がる中山間畑作地域です。県内有数の蒟蒻としいたけの生産地であるとともに、富岡市、下仁田町、甘楽町では、「地力の高い土壌」と「恵まれた気候」を活かし、下仁田ネギ、ナス、タマネギ等の露地野菜のほか、イチゴ、キュウリ、ニラ等の施設野菜の栽培が盛んです。一方、南牧村では山間地の特性を生かした、山野草や露地切り花等の栽培を行っています。