住友ベークライト株式会社
株式会社レクザム
2018年8月28日
住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、社長:藤原 一彦)は、株式会社レクザム(本社:大阪府大阪市、社長:岡野 晋滋)と協業し、糖鎖・レクチンの相互作用を迅速・簡便に解析できる小型エバネッセント蛍光スキャナ「Bio-REX SCAN 300」ならびに対応専用チップを以下の通り、発売いたしますのでお知らせいたします。
本システムは、感染症、再生医療、エクソソーム※1等の分野における糖鎖・レクチン研究の発展に寄与するとともに、新たな産業応用の可能性を拡げます。
「Bio-REX SCAN 300」
エバネッセント蛍光スキャナ「Bio-REX SCAN 300」装置外観 |
一般研究用レクチンチップ |
本システムの特長について
本システムでは検出原理に「エバネッセント励起蛍光法」※2を採用することで洗浄しない状態での「液相スキャン」に対応し、洗浄操作で洗い流されてしまうような糖鎖-レクチン間の弱い相互作用の観察を実現しています。また多数のレクチン又は糖鎖が固定化された専用チップをスキャンした際に、得られた蛍光強度を標準搭載ソフトが自動で数値化することでユーザーが簡単に解析結果を取得可能です。以上のことから簡便に感度よく糖鎖・レクチン間の相互作用を解析することが可能です。 今回、本システムに対応する専用チップとして、21種類のリコンビナントレクチンを基板に固定化した「一般研究用レクチンチップ」を発売します。 また多種類の糖鎖を基板に固定化して一斉解析を可能とする「糖鎖チップ」についても、住友ベークライトの保有する「配向性を制御した糖鎖固定化技術」を活用し、市場のニーズをふまえて順次商品化を進めて参ります。 |
エバネッセント励起蛍光法の原理 |
本システムの用途
本システムは「ワクチン産生細胞・幹細胞・エクソソーム・乳酸菌」といった解析対象への「表面糖鎖プロファイリング」や、特定のレクチンとの相互作用を利用したバイオ医薬品の抗原糖鎖検出等への活用が期待されています。
また当社は今後「ワクチンの研究開発」や「診断用抗体の糖鎖認識性評価」といった、新しい用途の開発活動にも、積極的に取り組んで参ります。
補足資料
糖鎖・レクチンとは
糖鎖は、DNA、タンパク質に次ぐ第三の生命鎖と呼ばれ、細胞やエクソソームの表面に存在し、生体内の情報伝達やウイルス感染、がんの転移等に関与しています。
レクチンは、糖鎖に結合するタンパク質であり、糖鎖とレクチンは「鍵と鍵穴」の関係に例えられます。このような糖鎖・レクチンの相互作用を解析することは、生命現象の基礎的理解や疾患のメカニズム解明に役立ちます。
糖鎖・レクチン相互作用解析の現状と課題
糖鎖-レクチン間の相互作用は、DNAやタンパク質同士の相互作用と比較して結合が弱いために、測定前の洗浄工程で結合が外れやすく検出が難しいという問題があります。
また糖鎖-レクチンの取り扱いには専門的な知識やスキルが必要であり、研究者の裾野が広がりにくい要因となっています。
株式会社レクザム概要
本社 | 大阪市中央区南本町2-1-8 |
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売上 | 543億円(2017年12月期) |
事業内容 | エレクトロニクス応用製品(電子コントローラ、医療機器他)、半導体製造装置関連機器、自動車部品、精密機械加工品、スキーブーツ、地ビール、乾燥剤などの開発・設計・製造・販売 |
リリース中の用語の説明
- ※1 エクソソーム
あらゆる細胞から分泌される細胞間のコミュニケーションに関与する直径100 nm前後の細胞外小胞体。がん化の初期に細胞がエクソソームを放出することから、がんのバイオマーカーとして注目を浴びています。表面糖鎖解析を含む、エクソソームの生体内での機能の解明が急速に進んでいます。 - ※2 エバネッセント励起蛍光法
本検出法では、専用チップの端面から入射光を導入し、チップ表面にエバネッセント波を全反射させます。このエバネッセント波を励起光に利用することで、基板近傍の蛍光物質のみを励起するため、チップを洗浄しない「液相状態」でも高感度な蛍光観察が可能となります。
関連情報
本件に関するお問い合わせ
ヘルスケア営業本部バイオ事業開発部
TEL: 03-5462-4831
E-mail: s-bio@sumibe.co.jp