9月のP-プラス青果物 JA鶴岡【だだちゃ豆】 | 住友ベークライト株式会社

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JA鶴岡【だだちゃ豆】

ご紹介

今月ご紹介するのは、JA鶴岡の「だだちゃ豆」です。鶴岡が庄内藩だったころ殿様の大好物だったという枝豆を、江戸時代から鶴岡周辺の農家が大切に守り伝え、「だだちゃ豆」の名でブランド化しています。毎年楽しみにしている愛好家も多いという「だだちゃ豆」の鮮度を守り、遠方の市場へもお届けできるようP-プラスを採用していただいています。



鶴岡が誇るブランド“だだちゃ豆”

JA鶴岡が位置する山形県庄内平野の中心の鶴岡市は、出羽三山・鳥海山・金峯山と三方を山に囲まれ、西は日本海に面しており、山と海に囲まれた広大な平野が広がる自然豊かな地域です。昼夜の寒暖差が大きいため、その環境に適用しようと農作物の食味が増すといわれ、大変魅力的で特徴のある野菜や果物が生産されています。

もっとも産出量が多いのが、豊饒な庄内平野で育った米。さらにアンデスメロン、枝豆、ミニトマトが続きます。また冬場には軟白ネギ、春先にはタケノコの出荷が盛んになるのだと、JA鶴岡の販売を担当する菅原望さんはいいます。

「中でもアンデスメロンは、日本海に面する国内有数の砂丘地、庄内砂丘特有の水はけの良さと昼夜の寒暖差という、メロン栽培にとって最適な好条件により、甘みが強くみずみずしい果実が育ちます。ミニトマトもメロンと同じ畑の後作で生産するため、食味が強いうえ、表皮がしっかりした、棚持ちの良い果実が育ちます」

今回、こちらの記事でご紹介する「だだちゃ豆」も、地域の特産品として知れ渡る地域を代表する人気の農産物。「だだちゃ」とは庄内地方の方言でお父さんを意味します。その昔、城下町・鶴岡が庄内藩だった頃、枝豆好きな殿様が城下から毎日持ち寄らせては「今日はどこのだだちゃの枝豆か?」と聞いていたことから、だだちゃ豆と呼ばれるようになったといわれています。

江戸時代から鶴岡周辺の農家が大切に守り伝えてきた味は、今や全国的に知られる味となりました。このブランドを冠するためには、鶴岡市が組織した「だだちゃ豆組織連絡協議会」に加盟し、なおかつ鶴岡地域に住所および生産地を有し、指定の品種のみを作付けするという厳密な条件が課せられているといいます。

これは、厳しく自主規制を行うことで、一度定着したブランドを自分たちでしっかり守っていこうという強い意識の表れといえます。

「JA鶴岡内に『だだちゃ豆専門部会』を設置。独自に作成した栽培マニュアルを活用し、現在225名からなる生産者とともに栽培技術の向上や検査体制の確立に努め、常に高品質なだだちゃ豆の安定出荷体制を確保しています」


“だだちゃ豆”人気の火付け役

「だだちゃ豆」の特徴は、他の地域で生産される品種に比べて小振りなサイズと、外皮が褐色がかり、表面のうぶ毛が茶色で一見ぱっとしない見た目に反し、一口噛んだときに口の中一杯に広がる甘みの強さにあります。さらに、ゆでているときに湯気とともに立ちのぼる香気も、他の品種と一線を画するものがあるといいます。「出荷期間は8月の頭から9月中旬までとなりますが、シーズン前になると『いつ店頭に並ぶか?』というお問い合わせが数多く寄せられます。それだけ待ちわびている愛好家がいらっしゃるのは大変ありがたいことです」

関東圏においては、平成元年より出荷を開始し、すっかり認知も広がっただだちゃ豆。それでも関西をはじめとする遠隔地では、まだまだ食べたことがないと、毎年新規の引き合いもあり、どんどん市場が広がっている状況だといいます。

「私が担当するようになって3年が経過したばかり。当時の状況は細かくわかりませんが、出荷を開始した当初の4年間は苦戦したと聞いています。記録によると平成5年から面積と販売額が徐々に伸びていきましたが、大きな転機になったのが平成13年。それまで市場関係者に認知されていた“知る人ぞ知る”ような存在だったのですが、ビール会社のCMで紹介され、一気に消費者に知られるようになりました」

それに伴い作付面積も急激に拡大。平成20年には面積、生産者共にピークを迎えることになったのだとか。その後、後継者問題などによって畑の集約が進みますが、また近年、微増傾向にあるといいます。

「P-プラスを使用するようになったのは平成9年のことですから、私がまだ小学生の頃の話。平成元年には、今では考えられませんが、常温の便で出荷していたようですね。その翌年から発泡スチロールのケースに保冷剤を同封して出荷するようになりましたが、糖度やアミノ酸の含有量が豊富な分、他の産地の豆に比べて鮮度低下が早いのです。その弱点を克服するために、様々な検討、調査を重ね、P-プラスにたどり着いたと聞いています」

枝豆はもともと「鍋に火をかけてから収穫に行け」という格言があるくらいに収穫後の鮮度低下が早い青果。これは、収穫後の枝豆の活発な呼吸により糖分が分解されるためどんどん鮮度が落ちていくことを意味しています。P-プラスは青果物が無気呼吸を起こさない程度のミクロの穴で袋内に低酸素状態を作り出し、呼吸によるエネルギーの消耗を防いで鮮度を保つしくみ。このP-プラスの採用と同時期に予冷庫などの設備を充実させコールドチェーンを整備したことで遠方の市場にも展開できる体制が整ったのだといいます。

平成9年にP-プラスを導入し、前年に比べると一気に販売額が倍に。そこから徐々に認知が広がり、それが影響してか、CMに取り上げられ、平成13年に一気にブレイクへとつながります。

鶴岡の農業活性化のために

今後は、より鮮度を保った状態で出荷することで、もう少し遠方の、まだ、だだちゃ豆を食べたことがないとおっしゃる方々に一度は味わっていただきたいと、販売を担当する菅原さんは考えているのだとか。

「もちろん、毎年食べていただいている関東・関西圏の方には引き続き安定した品質のものを供給し続けたい。そのうえで販路をもう少し広げて、だだちゃ豆の魅力がより広く認知されるようになればと考えています」

そういった想いから、JA鶴岡を中心とした地元の農家の方々の中で、新たな取り組みにチャレンジしてきたのだとか。そのひとつが、だだちゃ豆を活用した加工品の出荷です。

「厳しい規格を定めて出荷しているため、品質には問題ないけれども出荷できない基準外の豆があります。それを活用したフリーズドライ品や砕いた原料を使ったアイスクリームなど加工品の出荷も好評です。特に『殿様のだだちゃ豆フリーズドライ』は『日本農業新聞一村逸品』で大賞を受賞。引き合いも多くなりました」

また冷凍品も飲食チェーンや食品卸などから注文を受けており、年間を通じてだだちゃ豆の魅力を発信し続けています。

「どの生産地でも同じような抱えてはいると思いますが、鶴岡管内の農家の方々の高齢化も着実に進んでいます。そういった中で、私たちのような30代の人間が中心となり、新しい鶴岡の農業を確立するためには、やはり安定した収入が得られる経済的基盤を確立する必要があります。JA鶴岡としては常に売り先を確保し、リピートしていただけるよう努力を続けたいと思っていますし、農家の方々と一体になって、互いに刺激を与えあいながら、鶴岡の農業を活性化したいと思います」

先人たちが確立し、守ってきた「だだちゃ豆」というブランドを活用しながら付加価値の高い生産物を、それに見合った価格で出荷。高収入を得るというサイクルを発展・維持させていきたいという菅原さん。P-プラスの鮮度保持力が、その付加価値を構成する要素の一つとなれたら幸いです。

お客様の情報

JA鶴岡

    〒997-0029
    山形県鶴岡市日吉町3番7号
    TEL: 0235-23-5090

山形県庄内平野の中心に位置する鶴岡市は、出羽三山・鳥海山・金峯山と三方を山に囲まれ、日本海に面し、自然豊かな場所です。米づくりに適した庄内平野での稲作を基盤に、砂丘栽培のアンデスメロン、近年人気急上昇のだだちゃ豆などの園芸品目の振興も盛んに行われています。江戸時代から鶴岡周辺の農家が大切に守り伝えてきた「だだちゃ豆」をぜひ一度、ご賞味ください。