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ブナの里白神公社【白神雪ん子りんご】

ご紹介

今月ご紹介するのは、一般財団法人ブナの里白神公社の『白神雪ん子りんご』です。

世界遺産『白神山地』その表玄関に位置する青森県西目屋村は、青森県の西南部、弘前市から車で40分の位置にあります。世界遺産『白神山地』頼みの観光戦略からの脱却を図るべく村が設立した公社が中心となって、村が一丸となって地域性をいかしたユニークな取り組みを行っています。

この『白神雪ん子りんご』も豪雪地帯の特性をいかした天然の冷蔵庫『雪室』に着目し、地域で採れたりんごに付加価値をつけて多くの人に、おいしい状態でお届けする。そして届いた後も一日でもそのおいしさを長く楽しんでいただけるように、P-プラスを採用していただています。



雪室で熟成させる「白神雪ん子りんご」

平成5年12月に日本初の世界自然遺産として登録された「白神山地」は青森県南西部から秋田県北西部にまたがる130,000haに及ぶ広大な山地帯の総称です。白神山地は、広大なブナ原生林で、全体の面積13万haのうち、約1万7千haが世界遺産として登録されました。ブナ林に囲まれた登山道を登っていくと、白神山地には学術的にも貴重な国の天然記念物のクマゲラやイヌワシなどが生息しており、価値の高い自然体系が保たれています。

その山麓に位置する西目屋村は、青森県で一番人口の少ない村です。ブナの里白神公社は、西目屋村が設立した一般財団法人で、長期滞在型の温泉宿泊施設や物産センター、食品加工所など、6つの施設を運営。従来の、いわゆる“白神山地頼み”となっていた観光戦略からの脱却を図るべく、地域の特色を生かしたユニークな施策を打ち出すことで知られています。

そんなブナの里白神公社を中心に、地域の方々や村役場のメンバーが、観光活性化対策の一環としてアイデアを出し合いながら、“西目屋村ならでは”の特産品や独自の飲食メニューの開発に注力。そこから生まれてきたのが、今回ご紹介する「白神雪ん子りんご」です。地域の特産品の扱う物産センター「Beechにしめや」の運営を統括するブナの里白神公社の角田克彦支配人はこのように語ります。

「山の斜面で育った小玉のりんごを約2か月の間、雪室に貯蔵して熟成。0~2℃の安定した温度と湿度が高い環境の中で貯蔵されることで、一般的なりんごに比べて瑞々しさと甘さが増すといわれています」

元々は、この地域においてキャベツや白菜といった農産物を雪室に長期保存する習慣はありましたが、青森の冷涼な気候の中で、比較的長持ちするりんごを雪の中に貯蔵する発想はなかったのだといいます。

「西目屋村は山手に位置する村であるため、いわゆる豪雪地帯なのですね。地域の特色を生かした商品開発のアイデアを募っている段階で、この雪を活かすことはできないだろうかという思いが生まれていました」

さらに平成20年、中津軽一帯を襲った雹害の影響により、りんごそのものの出荷はもちろん、ジュースやジャムの生産工場においても、傷物のりんごの価格が大きく下落することを予想。雹害に遭ったりんごに付加価値を付けて販売する方法を模索するうちに、雪室のアイデアと結びついたのだといいます。

「現在は、事前注文と一部、店頭でも販売していますが、おかげさまで、多くのマスコミに取り上げられた影響と、その美味しさに魅了されたお客様のご紹介や口コミの効果によって、雪室で貯蔵した3000個の『白神雪ん子りんご』は毎年、完売する状況が続いています」


P-プラスの力を信じて全数包装して雪の中へ

例年、1月下旬から2月上旬に、りんごを村有地の旧西目屋村農協敷地内の貯蔵スペースにて、雪をかぶせて貯蔵。3月末に掘り出して出荷を開始するのだといいます。その間、雪が解けて箱が露出してしまうと温度が一定に保たれず下がってしまうので、こまめに雪をかけて温度が一定になるよう調節します。

「はじめたばかりの頃は、普通のナイロン袋にりんごを入れて雪の中に埋めていました。温・湿度ともに安定した環境で貯蔵しているとはいえ、複数の農家さんから、様々な状態のりんごを集めてくるため、中には雪室に入れる前から傷んでいて、2ヶ月という熟成期間に劣化が進んでしまう…なんてこともありました。掘り出す瞬間まで、りんごの状況がわかりませんからね。ひどい時には2割ぐらいが傷んでいるような箱もありました」

なんらかの対策が必要だと考えていた時に、住友ベークライトの営業担当者からP-プラスの紹介を受けたのだといいます。

「袋の特徴について説明を受けて、様々な実験データを見させていただいたのですが、私たちが抱えている問題解決につながるのではないか?という直感がありました。当時はわらをもすがる思いでしたから、まずはやってみようと、その年に貯蔵を予定していたりんご、全数をP-プラスに封入してから雪に埋めてみました。2ヶ月後に『白神雪ん子りんご』を掘り出してみると、なんと98%の精度で品質の良いりんごを得ることに成功。予想以上の成果にとても満足しました」


食の魅力から観光誘致に繋げたい

P-プラス活用による鮮度保持効果を目の当たりにした角田支配人は、さらに別な活用アイデアを思いつきます。

「雪室で熟成したりんごは、通常のものと比べてどうしても劣化が進みやすいという弱点がありました。ありがたいことに全国に愛好家の方が増えましたので、冷涼な青森県内のみならず、温暖な地域に発送することもあったため、お客様の手元に届いてからの品質保持上の問題が生じていたのは確かです。私たちとしては、美味しく仕上げたりんごを少しでも長く楽しんでもらいたいという思いがありましたので、お客様にご家庭でP-プラスをお使いいただこうと考えたのです」

遠方からオーダーを受けた際には傷みを防ぐため、「白神雪ん子りんご」一つひとつキャップに包んで、段ボール箱にきれいに並べて発送。「箱の中に小分け用のP-プラスを同封し、『この袋の中に、届いたりんごを入れて冷蔵庫に保管してください』というメッセージを添えています。以来、お客様からのご好評の声をいただいています」

この『白神雪ん子りんご』以外にも、山菜や豆腐など、魅力的な特産品があるという西目屋村エリア。P-プラスを活用して鮮度保持期間を延長することができれば、それだけ地域の農家の方々にとってのビジネスチャンスは広がるのではないかと角田支配人は言います。

「食べ物の魅力から観光誘致に繋げていきたいと考えている私たちにとって、P-プラスは大変有効なツールだと思っています。住友ベークライトからいただいた知識を、生産者の方々に伝えていくことができればと思っています」

天然の冷蔵庫『雪室』という古くから伝わる地域性を生かした知恵と、P-プラスが提供する鮮度保持の技術が見事にマッチした『白神雪ん子りんご』。そして飽くなきチャレンジを続ける西目屋村の活動に、今後もP-プラスが新たな付加価値をプラスできればうれしい限りです。

お客様の情報

一般財団法人ブナの里白神公社
物販ショップBeechにしめや

    〒036-1411
    青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田219-1
    TEL: 0172-85-2855

ブナの里白神公社では広大なブナ原生林を抱く世界遺産『白神山地』の玄関口にある西目屋村のサービス施設宿泊、温泉、レストラン、産直反売店など6店舗を運営しています。手つかずの白神山地の神秘的な魅力を堪能した後は西目屋村自慢の癒しの湯と特産の食の魅力を堪能していただける充実した施設でゆっくりお過ごしください。是非一度お立ち寄りください。