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田辺中央青果【南高梅】

ご紹介

今月ご紹介するのは、田辺中央青果株式会社の「南高梅」です。「南高梅」は日本一の梅の産地である和歌山県の代表的な品種。肉厚でやわらかく、主に梅酒や梅干し用に加工されます。生産は和歌山県の田辺市、みなべ町がその中心で、多くの梅農家、加工業者が点在し、まさに「梅の街」となっています。

梅が出荷されるのは5月中旬から7月上旬。この期間限定の農産物の鮮度を守り、旬のおいしさをそのまま消費者のもとへお届けする為にP-プラスを採用していただいています。



和歌山県産梅の代名詞『南高梅』

和歌山県は全国有数の農産地として知られています。特に果樹生産が盛んで、みかん、柿、はっさく、そして今回ご紹介する梅はそれぞれ日本一の生産量を誇ります。本州最南端に位置し、近くを黒潮が通るため、一年を通じて温暖な気候に恵まれているという気候条件も、農産物の生育に適しているのでしょう。冬場に氷点下を記録することはほとんどなく、夏場は逆に一日の平均気温が30℃を上回ることもごくわずかという夏は比較的涼しく、冬は暖かい地域。しかも比較的寒暖差が小さいため、ゆっくり時間をかけて果実のおいしさが熟成されます。

田辺中央青果株式会社が位置する田辺市は、ちょうど和歌山県の真ん中あたり。みかんと梅の生産が盛んなエリアにおいて、昭和25年の創設以来、地域の生鮮食品の流通の要としての役割を担ってきました。

「主な事業は近隣の生産者が出品した農産物を買参人へと卸売する“セリ”。消費者の食生活に欠かせない食品を安定供給し、常に新鮮で安心安全な生産物を食卓に届ける食品流通の一翼を担っています」というのは田辺中央青果株式会社の那須専務。伝統的なセリに加え、近年では新たな流通サービスにも着手しているといいます。

「社内に商事部門を設置し、和歌山県内のみならず、関西圏、および一部全国の問屋やスーパーマーケットへの商品供給事業を展開。和歌山県産の優れた農産物を多くの消費者に届けようとする取り組みにもチャレンジしています」

田辺中央青果がこの時期、メインで扱っているのが青梅です。和歌山県産の梅の品質の良さはすでに全国的に知れ渡っていますが、特にここ田辺市と隣接するみなべ町が生産の中心となり、多くの梅農家、加工業者が点在しています。このエリアだけでみても、年間生産量は日本の梅生産量の概ね半分を占めているというから驚きです。

和歌山の梅の代名詞といえば『南高梅』でしょう。外皮が柔らかく肉厚で種が小さいのが特徴で、主に梅干しや梅酒の加工に使用されます」

南高梅が出荷されるのは主に6月。この1カ月間限定の農産物に対し、私たち日本人は古くから“季節の風物詩”として魅了され続けてきました。

「やはり、6月の長雨の時期を“梅雨”と表現するくらいですから、日本の文化と密接な関係にあることは容易に想像できます。さらに梅は、そのまま食べる果実でなく、梅酒や梅干しといった加工を伴って、はじめて楽しめるという性質を持つ食材です。消費者の好みに合わせて加工ができることで楽しみが膨らみますし、それがこの長雨の時期と重なり、“今年も梅の季節がやってきた”という感覚となって浸透しているのでしょう」


青い梅は青いままで店頭に並べたい

田辺中央青果では、今から20年ほど前、P-プラスが販売を開始した当初から、変わらず使用し続けているといいます。

梅は、いわゆる“足の早い”農作物で、収穫した瞬間から鮮度の低下が始まります。一般的なOPP防曇袋に入れて出荷すると、あっという間に黄色く変色してしまう。特に店頭に並び始めたばかりの6月初旬において、青梅を求めてきた消費者には、黄色い梅が“古いのでは?”という印象を与えかねない。呼吸量が多い梅の変色を抑える方法を模索していたのだといいます。

「包装資材を扱う商社から、“新しい製品が出ました”と紹介を受けたのがP-プラスでした。後に、別の会社からも“鮮度保持袋”が販売されていたので、早速、取り寄せて実験を開始。P-プラスを使用すると、青色をキープできる日数が延びることは明らかでした」

実は、比較対象となった鮮度保持袋のほうが、外見上は青色を保つ日数が長かったのですが、果実の中身の変化を確認して驚いたのだとか。「その別の袋に入れておくと、外見は変わらないのですが、果実内部から障害が発生し、種の周りが腐っていたのですね。これでは消費者にご迷惑が掛かってしまうと、その場でP-プラスを変わらず使用することを決定しました」

以降、6月の初旬、青みの維持を目的としている時期にはP-プラスを使用。逆に熟度を進行させて黄色くなった梅をあえて出荷する6月後半には防曇袋を使用するなど、使い分けて出荷をするようになっているといいます。

「熟度の目安となる色の変化によって、適した使用目的が変わっていくという梅の性質に合わせているのです。青い梅は梅酒づくりには最適ですが、梅干し作りには少々硬い。逆に黄色く熟した梅を使用すると、とてもやわらかな梅干しをつくることができる。このようにきめ細やかに対応することで、消費者の皆さんに梅のおいしさを存分に楽しんでいただければと思っています」


青果物の販路拡大の一助となるP-プラス

P-プラスは梅をはじめとする青果物の販路拡大の一助にもなっているといいます。

「和歌山県産の梅を現在、沖縄にも出荷しています。毎週火曜日と土曜日に大阪の港から船便を出し、沖縄のスーパーに並ぶのは早くても収穫してから5日間の日数がかかります。ところがP-プラスに入れて出荷すると青みを維持することができて、ロスも非常に少なくなると、沖縄の方々は非常に喜んでくださっています」

改めて言うまでもなく、農産物にとって鮮度は命。農産物を通じて旬や季節感をお届けするのも、私たちのような食品流通の担い手の大きな役割だと自覚しています。収穫されてから消費者の手元に届けるまでのリードタイムをいかに縮めていくのか、常に時間と戦ってきました。そんな中、住友ベークライトの技術力が私たちをサポートしてくれるという安心感があります。青梅に限らず、今後も共に新しい農産物の価値を提供していくことができたらと思います」

農作物を通じて消費者へ季節感や旬の香りを届けたいという同社の思いと弛まぬチャレンジにP-プラスの技術が一助となれば嬉しい限りです。

お客様の情報

田辺中央青果株式会社

    〒646-0051
    和歌山県田辺市稲成町277-1
    TEL: 0739-22-2340

当社は昭和25年に創設以来、地域の産業、経済活動の発展と、食生活の向上、新鮮な青果物の安定供給をモット-とし努力を重ねて参りました。紀南の中核市場として、まさに時代の変化に、生産 販売 流通 消費にスピ-ド感をもって柔軟に対応し、食生活に欠かせない生鮮食料品を、公正な価格で円滑な流通を確保し、新鮮で安全安心な青果物を安定供給し、消費者の皆様に豊かで安定した食生活に寄与できれば幸いです。

「青梅」は6月に最盛期となり市場が梅いっぱいに埋め尽くされます。特に「南高梅」は、梅のトップブランドとして全国に、世界に名を馳せています。ぜひ一度、ご賞味ください。