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フルーツファームすこう【シャインマスカット】

ご紹介

今月ご紹介するのは株式会社フルーツファームすこうの『シャインマスカット』です。

長野県の須高地区は雄大な自然と気候風土に恵まれた農作物の生産に適した地域。映画の都ハリウッドになぞらえた『フルーツハリウッド』をキャッチコピーに、ぶどうやりんご、などのおいしい青果と加工品を全国へ届けています。

近年人気、急上昇の青果『シャインマスカット』を需要の多い年末まで出荷する為に、貯蔵・出荷用にP-プラスを採用していただいています。



地域農業発展のために発足した農業法人

長野県の北東部に位置する須高地区は、須坂市と小布施町、高山村の3つの行政区の総称です。年間降水量は1000mm以下と少ないうえ日射量も多く、南傾斜の扇状地という地形によって、水はけ、日当たりともに良好。果樹栽培に適した条件が揃っている場所として、古くはデラウェア、巨峰からはじまる、県内有数のぶどう産地として歴史を重ねてきました。

株式会社フルーツファームすこうは、JAの100%出資による農業法人。近年、JAが子会社を保有する例は少なくありませんが、一般的には水稲や畑作を扱う企業が多く、同社のように果樹に特化した企業は大変珍しい存在といえます。

「設立目的は、高齢化や後継者問題によって荒廃が進んでいる農地を継承し、近年増加の一途をたどる新規就農者に貸与していこうというものです」と言うのは、株式会社フルーツファームすこう藤沢茂樹常務。

まだまだ産声を上げたばかりではあるといいますが、現在は自社農地、約1.7ヘクタールを活用し、JAの果樹技術員だった藤沢常務の指導のもと、品質の高いぶどうやリンゴなどを栽培しています。

また、冬場にはジュースなど加工品の生産販売も実施。JAながのの組合員である農家の方々のロールモデルとして機能しています。


二人三脚で開発・検証を進めてきた

そんな株式会社フルーツファームすこうが栽培するシャインマスカットは、2006年に品種登録されたばかりの比較的新しい品種です。マスカット特有のさわやかな香りと高い糖度、そして皮ごと食べることができるという特徴があります。人気が沸騰したのは2年ほど前のことだといいます。

「華やかな色合いとその味わいから、クリスマス商材や年末年始の贈答用として注目が集まりました。また、台湾や香港を中心とした海外においても評価が高まり、引き合いも急増しましたね」

ところが、シャインマスカットの収穫は須高地区では9月末から10月いっぱいまで。霜が降りる時季になるまでは問題なく出荷できるのですが、そこから年末商戦時期までは約2ヶ月半もの期間があるため、貯蔵をする必要があります。

「ところが冷蔵庫に寝かせているだけでは、軸が茶色く変色して、ぶどうの粒が脱留しやすくなってしまいます。中には軸に水分が取られてしまってしぼんでしまう粒もある。また、シャインマスカットは病気に弱いため、貯蔵中に腐敗するリスクも高いのです」

生産者としては、美しくおいしい状態のシャインマスカットを年末年始に楽しんでもらいたいという思いがあったのだとか。それはJAの組合員の総意でもあるといいます。

「せっかくシャインマスカットという特別なぶどうができて、年末年始という特別な需要が生まれたのですから、この好機を逃してはいけないと思いました」

このシャインマスカットを組合員の農家に普及したいと思いがあったという藤沢常務。なんとかこの問題をクリアしたいと考え、貯蔵技術や出荷包装について徹底的に調べ上げたのだといいます。

「住友ベークライトのP-プラスにたどり着いて、すぐに問い合わせをさせていただきました。大田市場の近くにある評価センターに足を運んで、試験段階から積極的に関わっていきました」

住友ベークライトとはここまで、二人三脚で開発を進めていった感覚があるという藤沢常務。この貯蔵の問題がクリアされたならば、海外も含む出荷可能なエリアの拡大はもちろん、シャインマスカットを楽しめる期間の延長も実現されるといいます。

「早い産地では4月に出荷がはじまります。P-プラスに入れて冷蔵庫で保存して、その時期までつなぐことができれば、一年中、シャインマスカットを楽しんでいただける。そこまで持って行きたいですね」


先進的な取り組みにチャレンジして地域貢献を

藤沢常務はシャインマスカット以外の品種においても、住友ベークライトとともに検証を進めていきたいのだと言います。

「ナガノパープルは長野県果樹試験場で育成され、2004年に品種登録がされたぶどうで現在は長野県内のみでしか栽培することができません。またこの品種はシャインマスカットよりも生産は難しいため生産量も少なく希少なぶどうですが、そのおいしさは負けず劣らず。まだまだ知名度が低いので、こちらも全国区にしていきたい。そのためには住友ベークライトさんのチカラが必要です」

生産技術だけではなく、貯蔵や出荷まで様々な工程において、新たなチャレンジを続けるフルーツファームすこう。それはリスクがあることは承知のうえ、生産者のみなさんの先頭に立って、新しいことを進めていかなければならないという使命感があるからだと言います。

「新しい取り組みに対して、ある程度までフルーツファームで実証していけば、周囲の組合員さんも安心して追従できる。そうやってレベルの底上げを図っていきたいと思っています。シャインマスカットが誕生して産地も活気づいていますから、この波に乗って地域の農業が元気になってほしいのです。昨年はこの須高管内で冷蔵庫を大量に導入しました。ますますP-プラスの活躍が必要になります」

先進的な試みで地域の農業をリードする存在でありたい。P-プラスも、そんなフルーツファームすこうの思いをカタチにできる一助となれば幸いです。

お客様の情報

株式会社フルーツファームすこう

    長野県須坂市日滝1734-1
    

株式会社フルーツファームすこうでは、新規就農者の育成や農業生産などを行う傍ら、主産の果樹などで就農を目指す研修生を受け入れ、担い手として育成して園地を継承する事業に取り組んでいます。高品質のぶどうやリンゴなどを栽培し、冬場にはジュースなど加工品の生産販売も実施しています。