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特集 ビオトープ観察会2016

ビオトープ観察会2016

静岡工場ビオトープ形成の取り組み ~工場の中に憩いの杜をつくろう~

当社では静岡工場敷地内で地域社会の生物多様性保全に貢献するために、ビオトープの造成を進めています。
2017年度の正式オープンが決定し、現在は社内・外に向けての視察会や限定公開などを行いながら公開へ準備を進めています。


生物多様性保全の取り組み

当社は、事業活動において、必要な原材料の調達、水・エネルギーの供給を自然の恵みから受け、一方で廃棄物、化学物質、CO2の排出、廃水等により直接・間接的に自然環境に影響を与えていることを認識し、生物多様性の保全に取り組んでいます。

また敷地内の一部が絶滅危惧種の生息地となっている場所もあり、環境負荷を低減するだけでなく、工場における動・植物の生育環境を整えることで、生物多様性の保全に寄与できると考えています。

さらに、経団連生物多様性宣言推進パートナーズに参加し、この宣言に沿って様々な取り組みを行っています。

当社はフェノール樹脂等の製造を行う静岡工場の敷地として、静岡県藤枝市に土地を所有しています。この土地は保護地域ではありませんが、2011年度に行った敷地内の生態系調査の結果、絶滅危惧種IA類のメダカが繁殖していることがわかりました。地域における生物多様性価値が高いと判断し、2012年から5年計画でビオトープの造成を進め、整備したエリアは、静岡工場の敷地面積の約5%に及びます。

このたびビオトープの愛称を工場内で募集し「憩いの杜(いこいのもり)」と決め、従業員が参加する「ビオトープ同好会」を発足させて環境整備や生物の観察などの自主活動を行っていきます。

また、2017年度には一般公開も決定し、公開に向けて準備を進めてまいります。


志太平野の自然環境を取り戻し、地域の生き物のネットワークの大切な拠点に

このビオトープの特徴は、静岡工場が立地する志太平野の生態系の特性や現状を検討して、ビオトープを造成しているということです。湿地などの水辺を整備し、トンボ類やカワセミなどの野鳥が集う場として機能させることを目指しています。

造成にあたっては常葉大学の山田教授にご指導をお願いし、学生さん達の協力も得ながら整備を進めています。これまで、地域の環境や景観などを壊すと考えられてきた工場が、生き物のネットワークの大切な拠点として地域に役立てられることになれば素晴らしいことです。

憩いの杜には、地域固有の遺伝子を持つ在来のメダカがたくさん生息しています。また湿地などの水辺にはカワセミなどの野鳥が外部から集まって来るだけではなく、繁殖の場として機能させることで、工場から地域に生き物を供給するようになりつつあります。

どんぐりの森や榎の林は、ヤマトタマムシやチョウ類、クワガタムシが生息しています。

当社のビオトープが地域の生物多様性に貢献できるようになれば、これほどうれしいことはありません。


住友ベークライト ビオトープ『憩いの杜』観察会2016

日程:10月22日(土)14:00~16:30
対象:静岡工場従業員とそのご家族

ビオトープ観察会は、静岡工場従業員、ご家族の方々へのビオトープへの理解や期待値を高めることを目標に造成当初から毎年実施しています。以前は夏の生き物や植物の観察も行いましたが、今年度はビオトープの活用方法の一つとしてネイチャークラフトを行い、山田先生と常葉大学の学生さんたちに教えていただきながら、大人も子どもも楽しめるイベントを行いました。

今回の観察会見どころは、実りの秋を五感で感じながら山田先生の案内でめぐるビオトープ散策と、散策中に集めたドングリなどを使ったネイチャークラフトです。大人はドングリ盆栽を、子どもさんはドングリで可愛い生き物を作って盆栽の鉢の中にドングリの小さな森をつくりました。

常葉大学                    常葉大学の皆さん
社会環境学部
山田辰美 教授

散策&ネイチャークラフト

参加者の声

ビオトープ情報

2017年度公開予定

〒426-0041 静岡県藤枝市高柳2100番地

工場北端の緩衝池や調整池のある水域(約1ヘクタール)を中心と周辺の緑地

保全目標:ミナミメダカ、ヤマトタマムシ、カワセミなど
復元目標:秋の七草、止水性のトンボ類、ゲンゴロウ類、ガムシ類