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JAうつのみや 梨専門部【にっこり梨】

ご紹介

今月ご紹介するのは、栃木県内の梨のナンバーワン産地『宇都宮』よりJAうつのみやの「にっこり梨」です。

食べた人が思わずにっこりしてしまう甘くてジューシーな梨を年末のお歳暮の時期まで対応する長期保存や品質保持の為にP-プラスを採用していただいています。

今回は『JAうつのみや梨専門部』の山口幸夫部会長の山口果樹園様に今がまさに旬の「にっこり梨」の収穫の様子を見せていただきました。



消費者も生産者も嬉しい「にっこり」の魅力


宇都宮市は、県下ナンバーワンの生産量を誇る、梨の一大産地です。自然災害も少なく、日射量にも恵まれているため、これまでの安定した品質、味わいを持つ生産物を、東京を中心とした関東一円の市場に供給してきました。

関東近県の生産地を見渡せば、どうしても宇都宮以南に位置する千葉県や茨城県産の梨の出荷時期が8月の盆前に一気に集中。気候的な条件により、盆前の出荷に間に合わないというハンデがあるため、需要が一旦落ち着く盆明けであっても消費者から選ばれるよう、生産者とJAも一体になり、徹底的に、梨の味にこだわってきたといいます。


「にっこり」は、そんな宇都宮の気候や周囲の市場特性を考慮し、品種改良によって誕生した栃木県独自の品種です。

昭和59年に栃木県農業試験場にて、旧来種「新高」と「豊水」を交配。ながらく選抜育成された後、平成8年に品種登録されました。

特徴的なのは果実のサイズ。重さが1キログラムから1.3キログラムにも及びます。さらに果肉は柔らかく、糖度が高く、ジューシーで大変美味しい梨として話題に。

10月中旬から11月中旬頃に市場に出回り、しかも貯蔵性が高いため、消費者も購入後に長く楽しむことができます。生産者にとっても、花目の持ちが良いので剪定作業もやりやすく、病気にも強いのだそう。収穫時期においても、慌ててその日のうちに作業を終える必要がないなど、大変生産がしやすい品種となっています。

品種登録が終了したばかりの平成8年から、未知の存在であった「にっこり」の栽培に早くも取り組み、宇都宮の梨の生産者をリードしてきた山口幸夫さんは、このように語ります。

「私が部会長を務める『JAうつのみや梨専門部』は、意識の高いメンバーが揃っていますし、JA宇都宮との信頼関係も強固。若手も多く、積極的に新しいことにチャレンジしています。これまで40日間しかなかった出荷期間を大幅に延長することとなった『にっこり』の登場は、私たち梨生産者に新たな可能性を示してくれました。付加価値のある魅力的な生産物を市場に投入することで収益があがれば、後継者も育っていく。まさに『にっこり』が宇都宮の梨生産者を前進させる推進力になっているのは間違いありません」

梨の命である水分量がほとんど減らない


P-プラスの存在を知ったのは、農業新聞に掲載された記事であったとJAうつのみやの高橋英雄さんは言います。

「私たちも生産者の方々も、どうしても11月中に生産、出荷をすべて終了させたいと考えます。そうすると、どうしても同時期に出荷が集中し、梨の価格が暴落してしまう。ロス率が高くなるかもしれませんが、少しでも出荷を後ろに伸ばせないものだろうかと考えていた矢先、たまたま熊本のデコポンの記事が目についたのです」

P-プラスを使用することで、JA宇都宮と同様の課題を解決したという記事を読んだ高橋さんは、すぐさま住友ベークライトに問い合わせを入れます。

「『にっこり』をお預けして、呼吸量を調べてもらい、サンプルをいただいたのですね。大丈夫だといわれても、やはりやってみないとわかりませんよね。そこで11月に収穫した『にっこり』をP-プラスに入れて冷蔵庫に保存しておきました。そうしたら、なんと2月、3月になっても重さが変わらない。何もしないと徐々に水分が抜けて表面にしわができ、1ヶ月に20gほど軽くなってしまうのですが、ほとんど重量が変わらず、品質が保持できるのを目の当たりして驚きましたね。これはすごいと。これならば年末年始まで保存が可能となり、贈答用として市場に提案できるのではと、夢が膨らみました」(高橋さん)


宇都宮の『にっこり』の知名度をあげるために、P-プラスの表面印刷にもこだわります。

「最初は中央に縦書きで『にっこり』の文字を配していたのですが、梨を入れると一番下の“り”の文字が消えてしまう。せっかく作り直すのであれば、皆に愛されるようなデザインにしようと、中央部分に宇都宮市のキャラクター“ミヤリー”ちゃんを起用して、消費者に対してもっと産地そのものをアピールしようと考えました。

表記も“JAうつのみや”ではなく単なる“うつのみや”として、『にっこり』の生産者であれば、例えJAを通さずに直販をしていたとしても、このP-プラスを利用できるようにしました」と同じくJAうつのみやの福田行男さんは語ります。


一枚の袋が生産物流通の可能性を広げる


「この袋、持つよねぇ」「これまで色々と試してきたけれど、これに勝るものはないねぇ」とP-プラス使用する生産者からの評判も上々だといいます。

JAうつのみやも生産者の方々も、ロスを削減しつつも出荷時期をずらし、収益を上げるという当初目的はある程度達成できたと認識しているようです。

「県内では今、うちだけが使用しているのですが、県全体で実施する研修や講習会でP-プラスを紹介すると大きな反響があります。今後は、県で共通仕様の袋を作るのもいいのではと、個人的には思ったりもしています」(高橋さん)

また、P-プラスを活用することで、供給範囲の拡大も図れるのではと考えているといいます。

「実は少量ではありますが、シンガポールなど海外輸出にもトライしています。現時点ではリスクもあるので積極的に展開はしていませんが、P-プラスを使用すれば、より安心して出荷ができるような気がします。とはいえ、まずは国内市場の拡充を図ることです。品質の良いものを、多くの消費者に長く楽しんでもらえればと考えています」

生産者にとっても、消費者にとっても、新たな梨との向き合い方を提示することとなったP-プラス。この小さな袋一枚から、新たな農業の未来が見えてくるかもしれません。

お客様の情報

JAうつのみや 様

    〒320-0031
    栃木県宇都宮市戸祭元町3番10号

    TEL: 028-625-3380(大代表)    FAX: 028-627-3307

JAうつのみや管内は、米麦を基幹に、イチゴ・トマト・ニラなどの園芸作物や梨・リンゴなどの果樹、銘柄『宇都宮牛』を誇る畜産などの複合経営が営まれ、人口50万人超の大消費地・宇都宮市を抱える恵まれた立地条件を生かし、都市近郊型農業を展開しています。