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青果物用結露防止フィルムの開発について

2015年2月6日


 住友ベークライト株式会社(代表取締役社長:林茂、本社:東京都品川区)は、青果物包装向けに、防曇性と水蒸気透過性を兼ね備えた新製品「結露防止フィルム」を開発しましたのでお知らせいたします。

 青果物をプラスチックフィルムで包装すると、青果物に含まれる水分が袋内に充満し、水滴が付着することで視認性の低下を引き起こします。視認性低下による商品の見栄えの悪化を防ぐ為、これまで市場ではプラスチックフィルム表面に付着した水滴を膜状に変化させる機能を持った防曇ポリプロピレンフィルムが多く使用されてきました。

【結露防止フィルムの仕組み(袋内水分状態の変化)】

結露防止フィルムの仕組み(袋内水分状態の変化)

 防曇ポリプロピレンフィルムを用いると、水滴が付着してもすぐにフィルム表面上に広がり薄い膜となることによって視認性を確保することができます。しかし、新鮮な青果物は水分を多く含むため、フィルム表面には時間の経過とともに上述した水滴の膜厚が増加し、視認性の悪化とともに微生物(カビ)が繁殖しやすい環境になり、青果物が傷んでしまうという問題を抱えておりました。

 新製品である「結露防止フィルム」は、独自の配合技術とフィルム多層化技術を組合せることにより防曇性に加え、適度な水蒸気透過性を持たせたことで、袋内に発生する結露を抑制する事に成功しました。一方、青果物用としては水蒸気透過性が高すぎるとしおれてしまう問題があり、これに対し当社ではフィルム素材の選定や構成、厚みの調整により、過剰に蓄積した水分のみ排出できる、最適な水蒸気透過性に設計しました。この結果、商品の見栄えが向上するだけでなく、流通中に発生していた腐敗、しおれ等による青果物ロスも減らすことが期待できます。

 また、住友ベークライトでは、袋内のガス濃度をコントロールすることで青果物の呼吸を抑制し、鮮度を保持する青果物用鮮度保持フィルム
「P-プラス®」をすでに販売しています。「P-プラス®」の鮮度保持技術に、防曇性と水蒸気透過性を兼ね備えた「結露防止フィルム」をプラスするなど、今後さらなる機能の発展を追求していきます。

 すでに貯蔵や輸送中に起こるカビやしおれの問題で困っていたサツマイモ用で採用が決まり、試験販売が行われています。サツマイモ用では今後輸出用途での効果が期待されています。今後は、ショウガやサトイモ、温州ミカン、シイタケ等水滴により見栄えや品質低下を起こす可能性がある品目について評価を進め、採用アイテムの拡大を図ります。また、本技術は青果物以外への適用も可能性があり加工食品(干し柿、干しいも、パン、シュークリーム、干物等)や電子部品への包装資材用途についても順次、市場開発を進めてまいります。

 本結露防止フィルムは3年後に年間5億円の販売を見込んでいます。

一般的な防曇フィルム
左:一般的な防曇フィルム
 
結露防止フィルム
右:結露防止フィルム


本件に関するお問い合わせ

総務本部 コーポレート・コミュニケーション部 広報担当

TEL: 03-5462-4818