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2012年2月のP-プラス青果物
JAみなみ信州【カットしめじ】

ご紹介

キノコ類はいまや年間を通じて食卓に登場する、ヘルシーで便利な食材としてすっかり定着していますが、なかでもエリンギ、マイタケと並んで成長著しいのがブナシメジではないでしょうか。和風、洋風、中華風のどんな料理とも相性が良く、いつでも売場にあり価格も安定しているからでしょう。

そんな消費者からの人気を受けて、ブナシメジの商品アイテムは豊富です。店頭には、通常の小さい株から大きな株、またハーフカット品や2株パック品。さらに株を成型する際に出る、いわゆる“外し品”だけを集め大袋にいれた、お徳用パックなども並んでいます。消費者の使い勝手を考えて、便利にチョイスできるようにアイテムが揃えられているのです。

そんなブナシメジの商品アイテムのなかで、昨年から注目を集めている商材があります。それがJAみなみ信州が開発した「カットしめじ」です。いまでは首都圏、中京圏を中心に全国のローカルスーパーでもみかけるようになりましたが、一見すると“お徳用”の外し品のように見えるものの、付加価値のついた “高級品アイテム”として売られています。

「農家いち押し」のロゴ入り袋はP-プラスフィルムを採用。茎の部分は、きちんとほぼ同じ長さできれいに切り揃えられ、 “外し品”のように石付きの部分や未成熟キノコがなるべく混入しないように丁寧に選別されています。まるで高級料理店で出てくる料理のように仕上がります。丁寧にカット、選別がされているからこそ『袋から出してそのまますぐに料理に使えて、家庭ゴミの軽減にもなる』という超便利食材。それがJAみなみ信州の「農家一押しカットしめじ」の最大の特徴なのです。

同JAが販売している主力商品のブナシメジ『まるごと一株』180g入りは、一株しめじでボリュームがある為、家族向けとして好評のようです。一方、この「カットしめじ」は『手間いらず・少量・使い切り』な商品としてチョイスするファンが拡大しつつあるようです。こんなスキマ商材をどうやったら開発できたのでしょうか。

JAみなみ信州は地元の飯田市・南信州広域連合と一緒に、名古屋地区にアンテナショップを出店していました。そもそもアンテナショップとは、消費地において情報を集める“アンテナ”の役割を持っています。そこで、同JAは様々な商品をショップに置いて、販売動向を調査したり、消費者や消費地のバイヤーなどに意見を聞く場として活用してきました。

近年の景気低迷を受けて、小売店での販売価格の低下傾向が著しく、産地に対するコスト要求もシビアになっていることに対して、同JAきのこ課では、その低価格志向を打破する商品開発はないか、とさまざまに模索してきたといいます。そこで発想されたのが、超便利食材でありながら高級イメージがあり、消費者に収穫したての状態で届けられる鮮度感の高い商品。P-プラスの鮮度保持袋入り「カットしめじ」だったのです。

さて、その発想はいったい消費者に受け入れられるものなのか、が大きな問題です。そこで活用されたのが、このアンテナショップ。買い物に来た消費者に感想を求めたり、スーパーのバイヤーにも打診するなどしてみた結果、「手間を掛けたくないニーズ」は確実にあると判断したのです。さらに、差別化商品についてブランド名を決める必要があります。これについても、アンテナショップ機能を活用して、多くの人の意見を聞きました。「カットしめじ」に付けられた『農家いち押し』も、そうして決めたブランド名なのです。

JAみなみ信州は、ブナシメジを年間約4500tの生産・販売をする産地です。「カットしめじ」は格外品を寄せ集めて作ったものではありません、カットしめじ商品の専作農家によって生産され、ひとつひとつを手作業でカットして丁寧に製造されています。それをP-プラス資材によって、万全な品質保持・鮮度保持をしながら消費者に届けています。産地のアイデアと心遣いが伝わってくる、みごとなスキマ商材に成長しているJAみなみ信州産「農家一押しカットしめじ」の今後に、注目してきたいものです。