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2011年7月のP-プラス青果物
群馬県産【オクラ】

ご紹介

7月から始まる夏のシーズンは、熱帯野菜といわれる「オクラ」の生産・出荷の最盛期です。このピーク時期には、出荷が急増する鹿児島県産、沖縄県産さらに年間供給している高知県産に加えて、重要な役割を演じるのが東日本のオクラ主産地・群馬県産です。8月には、東京市場で2割近いシェアを占める群馬県産に、近年ますます期待が高まっているのは、近郊産地の強みである高い鮮度と、その品質を保持するためのMA包装オクラが登場しているためです。小売店からは商品ロスの低下で、消費者からは食味のよさを理由に、卸売市場からは「もっと群馬県産がほしい」という声が高まっています。

その群馬県内のオクラ産地の中で、07年に他産地に先駆けてMA包装(P-プラス)を採用したのが、JAはぐくみ。同県内でも最も早くオクラの生産を導入した、先取の気運に富む産地です。同JAは、群馬県の中央部よりやや西に位置し、高崎市西部(旧倉渕村・旧榛名町・旧箕郷町・旧群馬町)を管内としていますが、この地域の特徴は、標高100mから1600mに位置し、その標高差を利用した多様な形態の農業が営まれていること。とくに榛名・箕郷地区は梅の栽培が盛んで、東日本ではナンバーワン、全国でも和歌山県に次いで第2位の地位にありますが、果樹ではモモ・スモモ、ナシを、野菜ではトマト、ナス、ハクサイ、夏ホウレン草のほかミョウガ、菌茸類も特産品。そしてこれら標高差を利用した園芸作目の、複合経営品目としてオクラが導入されているのも特徴のひとつです。

JAはぐくみは、7月~9月のシーズン中に8万パック(1パック100g)出荷する程度のオクラでは中小産地ですが、その8割をP-プラス資材でMA包装して出荷しています。出荷先の東京・築地市場などでは、このMA包装オクラは他のネット包装品に比べてパック当たり10円以上の価格差がついており、さらに「もっと出荷量を増やして欲しい」という要望が出ているといいます。

オクラは、老化や低温障害などで果皮が黒ずむことがあるため、多くの産地が青いネットに入れて見栄えをよくする方法を採用していますが、同JAのオクラはあえて透明のMAフィルム包装を採用して、鮮やかなグリーンを強調しています。ペーパータオルなどを利用して、水滴を除去するなど独特のノウハウのほか、朝取りと夕方取りを励行して品質保持、食味保持に気を遣うなどの成果が、市場での高い評価につながっているのです。

オクラはいま人気商品です。東京市場でオクラ全体の入荷量をみても、平成18年に不作で入荷が前年比で25%程度も激減しましたが、翌年以降は徐々に回復して、21年では近年にない入荷量となっているほど。鹿児島、沖縄、高知などのベスト3産地がともに増産傾向であるのに加え、関東では群馬、北限といわれる東北でも生産が徐々に増えています。

オクラは熱帯野菜というイメージはありますが、実は本土でもあまり土地を選ばず生産できる品目なのです。産地作りするためには、仕立て方などに独特のノウハウがあるとされていますが、夏場、各地の直売所でもよく見かけるほど、生産そのものは全国各地に広がっています。入荷は夏にピークがありますが、実はそれ以外のシーズンにもまだまだ需要はあるのです。実際、卸売市場やスーパーなどからは、低温障害が心配される冬場はともかく、急激に供給が落ちる秋にもっと産地がほしいといわれているのが現状です。

JAはぐくみでは、そんな要望に応える意味も含めて、「とりあえずの目標は、現状の5倍程度の出荷・販売量まで。それは実現可能だ」と心強い決意表明をするのは、同JA販売課のオクラ導入“仕掛け人”である生方徹氏。リレー栽培の導入や、栽培方法の改善で実現を期しています。その自信の背景にあるのが、P-プラスのジッパー袋(写真)です。実際に、オクラはフィリピンやタイなど輸入品のシェアが2割前後あるのですから、「当分、国産オクラには過剰がない」(同生方氏)のが現状。JAはぐくみのオクラの生産拡大が待たれるところです。