自分が開発に携わった製品が世の中に出ることを目指して、住友ベークライトに入社しました。ただ、そこにたどり着くまでの道のりは想像以上に大変でした。配属先の研究部では主に電子デバイスの材料を研究していましたが、大学時代とは異なり、複数の業務を同時並行で進めなければなりません。さらに、ビジネスでは常に顧客を意識して研究を行う必要があります。1年目はとにかく忙しく感じました。お客様の要望や納期に追われながら、「Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(行動)」のサイクルを回し続ける毎日。資料作成や顧客対応にも悪戦苦闘しました。しかし、わからないことは何でも質問して一つひとつ吸収していったことで、少しずつ自分の研究ペースが確立されていき、3年目には自分が担当する製品が初めてお客様に採用されました。
開発した製品が初めて採用されたくらいの時期から、海外出張に出かけることが増えました。目的は当時担当していた香港のお客様へのプレゼンテーション。しかし、分厚い資料を準備し、万全の態勢で挑んだにも関わらず結果はボロボロでした。そこで思い知らされたのは、相手の目を見て、自分の言葉で話すことの大切さ。そう、そのプレゼンテーションで私はお客様の目をみて話していなかったのです。「香港まで来て何をしているんだ」と思うと本当に悔しかったですね。そのことをきっかけに英語のスキルアップに一層力を入れましたし、海外にも赴任したいと強く思うようになりました。そして、入社7年目にチャンスが訪れたのです。シンガポールにある住友ベークライトの研究所へ。日本人、マレーシア人、中国人、フィリピン人など、多国籍チームを率いるリーダーとして着任しました。
ある程度の語学力は身につけて渡ったものの、最初に直面したのはやはりコミュニケーションの壁でした。外国人メンバーは自己主張が強く、こちらが曖昧なことを言っていると動いてくれません。方針や目標を明確にし、思っていることは何でも発言しました。また、「私は4年でここを離れると思うから、君たち自身がどうしたいのか常に考えてほしい」ということも伝え、彼らのやる気を引き出すようにしたのです。その結果、徐々にメンバーたちとも打ち解けていき、技術者として、人間として、お互いに尊重し合える良い関係を築くことができました。異国の地で4年間、マネジメントを経験できたことは、自分のキャリアを考えるうえでもとても貴重でしたね。ちなみに、帰国後は再び一研究者として新規プロジェクトに関わり、その後、4ヶ月だけでしたが製造の現場も経験させてもらいました。どちらも手探りで解決の糸口を見つけるような仕事だったため、問題解決能力が磨かれると同時に、人と人の繋がりの大切さを改めて実感することができました。
そして、最大の転機は、ある日の夕方に突然やってきました。当時の研究部長に呼び出され、一研究者から部長への飛び級人事を告げられたのです。あまりにも想像していなかった人事の内容に驚き、理由を尋ねると、「次の世代の研究者を育てることがミッションだから、次の世代を担う君にした」とのことでした。そこから1年間は部長としての勉強をさせてもらい、現在は新しい組織づくり、仕組みづくりに着手し始めました。目指しているのは、若いメンバーがイキイキと研究に励み、そのパワーを十二分に発揮できる環境づくり。そのためにも、さまざまな交流にあふれ、常にフレキシブルに変化し続ける刺激的な環境にしたいと思っています。住友ベークライトも、私自身も、まだまだ成長の途中。これからも新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。
1997年04月〜2004年12月 電子デバイス材料研究所 研究部
2005年01月〜2009年02月 SUMITOMO BAKELITE SINGAPORE PTE.LTD.
2009年02月〜2011年07月 電子デバイス材料研究所 研究部
2011年08月〜2011年12月 九州住友ベークライト株式会社
2011年12月〜2012年06月 情報・通信材料総合研究センター 協創研究部
2012年06月〜2013年09月 情報・通信材料総合研究センター 協創研究部 部長
2013年10月〜 研究開発本部 コーポレートR&Dセンター 宇都宮協創研究部 部長

※2011年04月〜2011年06月

情報通信複合開発部 兼務
※2011年11月〜2011年12月 情報通信材料営業本部 電子材料営業部 兼務
※2011年12月〜2012年06月 情報・通信材料総合研究センター マーケティングチーム 兼務