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ステークホルダーダイアログ

容器包装が少ない商品をより多くの消費者に届けたい

すべての企業や消費者が、各々の立場で取り組む必要があるごみ問題。
住友ベークライトでは、NPO法人や他企業と垣根を越えて連携し、環境にやさしい食品包装用フィルム・シートの開発を通じてこの課題解決に挑戦しています。その活動の現場をご紹介しましょう。

買い物客でにぎわう愛知県稲沢市内のリーフウォーク稲沢。流通業界の中でも一歩先んじて環境活動に取り組むユニーが運営するこのショッピングモールで、 2015年3月21日、22日の2日間にわたり、環境イベント「リーフecoフェスタ」が開催されました。このイベントに、日本ハム、NPO法人「ごみじゃぱん」、当社がコラボレーション企画を出展。それが、容器包装ごみの問題を解決するためのステップとなる「減装(へらそう)大実験」です。昨年10月に続き、今回は第2弾の実施となりました。

ここに至るまでの道のりについて、「驚きの展開です。こうなればいいなと望んだ以上のシナリオで進んできました」と話すフィルム・シート営業本部食品包装営業部部長の田中厚。今回のイベント出展が実現するまで、どのような経緯をたどってきたのでしょうか。

住友ベークライト
フィルム・シート営業本部
食品包装営業部 部長
田中 厚

リーフウォーク稲沢

モール棟の1階サニーコートで「リーフecoフェスタ」を開催。“お客様と一緒に持続可能な「エコストア」を創る”というユニーの考えのもとオープン当時からこうした環境イベントがたびたび行われている。

各社の連携により環境配慮型の製品が採用に

容器包装の削減に取り組む「ごみじゃぱん」は、神戸大学大学院経済学研究科の石川雅紀教授が設立し、石川ゼミ生が中心となって活動している団体で、様々な企業と意見交換や共同実験なども行っています。

当社も2013年より、協賛企業として「ごみじゃぱん」の活動に参加。薄さと強度を両立させ、従来品と比べて包装廃棄物を20パーセントも軽量化できるフィルム『ECOCeeeL(エコシール)®』を開発し、拡販にあたって環境という観点でのセールスを考えていたことが活動参加のきっかけとなりました。

以来、活動を開始し、昨年10月にはリーフウォーク稲沢で開催された「リーフエコ博」で、「ごみじゃぱん」、日本ハム、当社による「減装大実験」の第1弾を実施しました。これは、従来の包装による日本ハムの焼豚やベーコンと、包装に『ECOCeeeL® 』などを用いたエコ提案サンプル品を陳列し、消費者にエコだと思う商品を選択してもらい、購入する場合、どちらがよいかなどについて「ごみじゃぱん」の学生がアンケート調査をするというものです。

その結果、例えば厚みが220μmの従来のフィルムに包装された焼豚と、厚みが180μmの『ECOCeeeL®』で包装された焼豚では、9割以上が後者の商品をエコだと思い、実際に購入したいと回答。このアンケート結果を受け、日本ハムでは焼豚部門の売れ筋商品に初めて『ECOCeeeL®』を採用しました。

「私たちフィルムメーカーが単独でアプローチするだけでは、採用までにもっと時間がかかったと思います。食品メーカーは食の安全への不安感から、包装を薄くすることに消極的になりがちです。革新的な共押出多層技術による『ECOCeeeL®』は、薄くても強度にまったく問題ないのですが、見た目ではわからないので説得するのは難しい。こうしたイベントを通じ、消費者の声が届いたことが採用への大きな力となりました。しかも、ヒット商品への採用は、とても意味のあること。容器包装が少ない商品は、売れれば売れるほどごみを削減できるのですから」(田中)

また、神戸大学在学中に「ごみじゃぱん」に在籍し、3年前に住友ベークライトに入社してフィルム・シート営業本部に配属となった堀越章宏は、この一連の流れについてこう言います。

「実際に営業活動をしてみて、どんなに製品が優れていても採用へのハードルを越えられないということも経験しました。それが、消費者とのパイプ役となるごみじゃぱんや食品メーカー、流通、そして当社が力を合わせることで、こんなに物事がうまくいくということを知り、驚きを感じています」

    

住友ベークライト
フィルム・シート営業本部
食品包装営業部
堀越 章宏

現行品とエコなサンプル品を比較陳列

パッケージの厚みを変えたベーコン、パッケージの形状を変えたソーセージ、パックの数を変えたハムを陳列。消費者がどれを選ぶかを調査する。

ごみの削減に貢献する薄くて強い包装用フィルムを開発

深絞り包装用フィルム ECOCeeeL R CEL の Evolution(進化)、それはECOへの道。未来のCEL 『EcoCeeeL』誕生!!

新開発の深絞り包装用フィルム『ECOCeeeL®』は、さらなる薄さと強さを実現。プラスチック廃棄物およびCO排出量を軽減。2012年からの販売で13.5トンのプラスチック廃棄物を削減した。(2015年5月現在)また、この取り組みは農林水産省のホームページ「環境に配慮した食品容器包装の事例集」に掲載された。

消費者にとっても気づきの場となる「減装大実験」

「私たちフィルムメーカーが、直接消費者の声を聞くことができる貴重な場」(田中)という「減装大実験」。各社の連携により、環境に配慮したフィルムがヒット商品のパッケージに採用されるという大きな成果を上げました。そして、ユニーの呼びかけにより、再びメンバーが集結し、第2弾の出展となりました。

今回は、日本ハムのベーコン、ソーセージ、ハムで比較実験を実施。ベーコンは従来の厚さ300μm のかたいトレイと、『ECOCeeeL®』を使用した厚さ180μmのやわらかいトレイ、ソーセージはきんちゃく型や平袋など形状の違うパッケージのものを陳列。ハムは4枚入り3パックと6枚入り2パックを並べ、それぞれの品目でどれが選ばれるか調査を行いました。

例を見ない容器包装の比較実験に買い物客が次々に足を止め、「ごみじゃぱん」の学生によるアンケートに答えたり、実はどの容器包装が環境にやさしいかという説明を聞いたりと「減装大実験」のブースはにぎわいを見せました。

買い物客からは、「フィルムの説明を聞いて、自分がどれを選ぶかでごみの量を減らせることを知った。これから買い物をするときはパッケージを意識して選びたい」「身近なスーパーでのこうしたイベントはとてもよいと思う。普段気にしないことも気づくきっかけになる」といった声が上がりました。「減装大実験」は、消費者にとっても“ 気づき”を得られる有意義な場となったようです。

「ごみじゃぱん」の学生が丁寧に説明

「学生さんだと親しみやすく、話がしやすい」という声もあり、イベントでは消費者とメーカーをつなぐ重要な橋渡し役を担っている。

重さを量ってみれば一目瞭然

左は従来のパッケージで、右は『ECOCeeeL®』を使用。見た目はほとんど変わらないが、計測によってその軽さが明らかになる。


“包む”から“捨てる”までを考えて環境に貢献

さて、今回は「ベーコンについて、見た目がぴしっとした従来のかたいトレイと、『ECOCeeeL®』のやわらかいトレイではどちらが選ばれるのか。それがチャレンジのひとつ」(田中)ということでしたが、アンケートの集計によると、多くの方々が『ECOCeeeL®』を選んだという結果が出ました。

また、比較実験だけでなく、新しい製品の展示も実施。ユニーが以前からプライベートブランド(PB)商品にバイオマスプラスチックを使用していることを受け、当社でも今回のイベントに合わせて独自のものを開発し、ハムのパッケージに使用しました。

「バイオマスプラスチックが普及しにくい理由は、植物由来原料の使用でコストアップしてしまうことです。そこで、当社の薄肉化の技術を活用することで、植物由来原料のコストを抑え、なおかついっそうのごみ削減や省資源化、CO削減が可能になります」(田中)

もうひとつは、ペコっと絞って捨てられるトレイ『PECOCeeeL』(仮称)。同じ厚みの従来品と比較して、ごみの重量が約30%削減できるというもので、さらなる環境配慮型の製品づくりが加速しています。

「強くて破れにくい、コストダウンできるということはもちろん、これからはますます環境を付加価値として包材をセールスしていきたい」と展望を述べる堀越に続き、田中も意気込みを語ります。

「内容物を“包んで守る”ことから“捨てる”ことまで考え、今後も環境に貢献していきたいですね。コンパクトに捨てられる『PECOCeeeL』は、それを追求した製品のひとつです。そして、ユニーや日本ハム、『ごみじゃぱん』と一緒に行ってきた活動の枠をさらに広げ、新しいものを生み出していきたいと考えています」



トップ企業とごみじゃぱんのコラボで環境配慮型フィルムは販路を開く

NPO法人「ごみじゃぱん」
代表理事 神戸大学大学院経済学研究科
石川 雅紀 教授

トップ企業とごみじゃぱんが手を組んで環境配慮型フィルムの販路を開く。これは今までとまったく違うマーケットの切り開き方で、フィルムの競合メーカーにもインパクトを与えたと思います。なぜ、ここまでうまくいったのか分析する必要がありますが、これからももっと成功事例を増やしていきたいですね。


ナショナルブランドの取り組みが自然環境を未来に残すカギに

ユニーグループ・ホールディングス株式会社
執行役員
百瀬 則子 氏

スーパーは地域のコミュニティセンターでもあると考えるユニー。
リーフウォーク稲沢でも、たびたび環境イベントを実施している。

「未来の子どもたちに美しい自然を残したい」「未来のために地球をまるごととっておこう」というのがユニーのテーマ。

ですから、少しでも環境に興味を持ってもらうために頻繁にイベントを開催していますが、今回のコラボ企画はとくに意義深いものでした。

家庭のごみを減らすためにメーカーがフィルムメーカーと組み、原料調達から製造、私たち小売り業による販売、そしてお客様が購入し、食べ終わった後の容器にまで配慮した流れは、サプライチェーンというよりまさにバリューチェーン。これは、1社ではできないことです。

また、今回うれしかったのは、当社ではPBにかなりバイオマスプラスチックを使用していますが、ナショナルブランドが注目し、ハムの包装に使ってくださったこと。こうした動きによって流通が増えれば、天然資源を節約したり環境負荷を低減することができます。

今回のコラボの輪が、他の分野でもつながっていけば素敵ですね。


消費者の声を伝え、パッケージへの意識を変革

日本ハム株式会社
コーポレート本部
CSR推進部 マネージャー
河﨑 律宏 氏

「容器を薄くすることで当社はコストダウンでき、お客様はごみを減らせる。無理なくごみを削減できる仕組みです」と河﨑氏。

商品のパッケージについては、食の安全を担保することを第一に考えています。安全性を追求する中で、強度を求めてフィルムを厚くし、安全係数を上げていったのです。しかし、それでは資源の使用量が増え、コストも上がる。

そうしたことを変えられないかと思い、7年前に「ごみじゃぱん」に参加しました。まずは、そこでの活動で拾い上げた消費者の声と、「ごみじゃぱん」の減装商品リストに当社の商品が載っていない事実を客観情報として社内に提示したことが第一歩でした。というのも一部署の声だけでは社内全体の考えを変革することが難しいのです。

さらに、住友ベークライトが「ごみじゃぱん」に加わり、技術面で安全性を保証していただいたことと「減装大実験」のアンケート結果で社内を説得することができ、『ECOCeeeL®』採用を実現できました。今後も連携し、今度は「パッケージの形状変更によって包装を軽量化!」という挑戦をしたいですね。


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