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ステークホルダーダイアログ

環境にやさしい食品包装でごみ問題に挑む

人口増加や新興国の急成長に伴い、グローバルな社会課題となっているごみ問題。
住友ベークライトでは、NPO法人「ごみじゃぱん」と連携しながら食品包装用フィルム・シートの開発・生産・販売を通じて、ごみ問題に挑んでいます。「ごみじゃぱん」代表理事の石川雅紀教授と住友ベークライトの担当者が集い、この取り組みについて語り合いました。

NPO法人「ごみじゃぱん」代表理事

神戸大学
大学院経済学研究科

石川 雅紀教授

PROFILE

1978年東京大学工学部卒業、東京水産大学食品工学科助教授を経て、2003年から現職。
2006年に廃棄物の発生抑制を目指すNPO法人「ごみじゃぱん」を設立。
2012年度の「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」(内閣総理大臣賞)に選ばれる。専門は環境経済学、環境システム分析。

住友ベークライト

フィルム・シート営業本部
食品包装営業部 部長

田中 厚

フィルム・シート営業本部 
食品包装営業部

堀越 章宏

─ NPO法人「ごみじゃぱん」は、どのような経緯で設立されたのでしょうか。

石川 10年ほど前、「ごみゼロパートナーシップ会議」という組織から“ 簡易な容器包装にラベルをすることで、ごみの発生を抑制できないか”という相談を受け、グループインタビューを行いました。そのときに、環境問題にまったく関心がない人でも、簡易容器包装の目印があればその商品を買うということがわかったのです。しかし、多くの企業は“ それで売れるはずがない”と思い込んでいる。その思い込みを取り払うために実証実験をやろうと思ったのが「ごみじゃぱん」発足のきっかけです。以来、神戸大学経済学部の石川ゼミ生が中心となって活動を続けています。
堀越 住友ベークライトに入社して2年目ですが、実は神戸大学の出身で、学生時代は石川ゼミに所属し、「ごみじゃぱん」で活動していました。石川ゼミを選んだのは、中高の授業で学んだ環境問題に関心があり、「ごみじゃぱん」が取り組む「減装(へらそう)ショッピング」に興味を持ったためです。この活動は、容器包装の重量が小さいものを「減装商品」として推奨し、スーパーなどの商品棚にマークを付けて、容器ごみの少ない商品を明示するというものです。普段の買い物で、ごみのことを意識して商品を選択してもらうことがねらいで、それがごみ削減に直結することから、とても意義のある活動だと思いましたし、企業や行政などの方々に接することができるのも魅力でした。

NPO法人ごみじゃぱん 神戸大学石川ゼミのみなさん

「ごみじゃぱん」の中心となって活動している石川ゼミのみなさん。
現在、25名が所属し、「減装ショッピング」をはじめ、協賛企業との意見交換や共同実験などを実施する「減装研究会」他、多彩な取り組みを行っている。

減装商品(へらそうしょうひん)Gomi-jp

容器包装が少ない商品を店頭で一目で伝えるためのマーク。
ごみじゃぱんでは、商品の容器包装重量の分解・計測・データ化を行っている。

環境への思いが引き寄せた「ごみじゃぱん」との出会い

─「ごみじゃぱん」の活動は企業との連携も欠かせないようですが、
住友ベークライトとはどのように出会ったのですか。

田中 きっかけは、当社が開発した非常に薄くて強靭なフィルム『ECOCeeeLⓇ(エコシール)』です。この拡販にあたり、環境という視点での営業方法を模索していたときに、当社のお客様である大手企業の展示会に足を運びました。そこの環境ブースに「ごみじゃぱん」が認定した減装商品が並んでいて、その中にたまたま当社のフィルムを採用した商品があったのです。さらに驚くことに、そのお客様から「ごみじゃぱん」の学生が当社に入社予定だと聞きました。人事に確認し、すぐにその学生に連絡して「石川先生に尼崎工場を見ていただきたい」旨を伝え、約束を取り付けてもらいました。その学生が堀越君で、入社後も「ごみじゃぱん」との架け橋となっています。
石川 堀越君経由で、住友ベークライトの依頼を聞いたときは、びっくりしましたね。容器包装削減にふみ出す企業が少ない中、歴史ある企業の問い合わせを受けたのはうれしい驚きでした。
田中 実際、「ごみじゃぱん」の学生から「自分たちの活動は住友ベークライトの包装フィルムの生産を制限することになるのでは?」と聞かれました。それはまったく心配のいらないことで「私たちは新しい技術によって包装ごみを減らし、社会貢献したいと考えているので大丈夫」と答えました。その新技術による『ECOCeeeLⓇ』や、精肉などをトレーなしでハムのようにフィルム包装する形状提案の活動が、「減装商品」に合致するかどうか。それを確認してもらうために、石川先生に尼崎工場の見学をお願いしたのです。
石川 合致していましたね。過剰包装を減らすという意味では、フィルムはとても合理的だと思います。すごいなと思ったのは工場には試作ラインがあり、パッケージの試作品をつくってもらえるという点です。いろいろな形状のものをつくれるのが面白いと思いました。
田中 熱で成形するので、どんな形にも対応できます。代表的なハムやソーセージの他、最近は卵焼きやサバの煮付けなど活用の幅を広げています。
深絞り包装用フィルム ECOCeeeL R CEL の Evolution(進化)、それはECOへの道。未来のCEL 『EcoCeeeL』誕生!!

ごみの削減に貢献する薄くて強い包装用フィルムを開発

新開発の深絞り包装用フィルム『ECOCeeeLⓇ』は、さらなる薄さと強さを実現。廃棄物を軽量化し、CO2も削減。2012年から1年間の販売で2.7トンのプラスチックを削減した。

薄くて強い『ECOCeeeLⓇ』が新たな食品包装のモデルに

─ 住友ベークライトの包装用フィルムは、どのように進化してきたのでしょうか。

田中 当社では世界に先駆けて、1976年に高機能の多層複合フィルム・シートを開発しました。昔は、ハムといえば保存食でしたので竹皮に包んで売っていましたが、このフィルムを用いることで酸化を防ぎ、賞味期限をさらに延ばすことができます。その後、日本初のイージーオープンを開発し、包装用フィルムの厚みも薄くしてきました。25年以上のロングセラーとなっている某社のハムに提供している包装用フィルムは、発売当初の120ミクロンから今は70ミクロンまで薄くなっています。そして、最近新たな生産技術で開発した『ECOCeeeLⓇ』は、過去にないレベルの薄さと強度を実現し、当社の従来の製品と比べて包装廃棄物を20パーセントも軽量化できるようになりました。食品メーカーにとってもコストダウンになり、2012年よりブロックハムや焼豚などに採用されています。
石川 それは、すごいですね。技術革新によってフィルムが薄くなることで、CO2の排出量も削減できます。住友ベークライトのような技術力を持ったリーディングカンパニーと協調して活動できることは、「ごみじゃぱん」の大きな力になります。
田中 私どもも「ごみじゃぱん」との取り組みによって新しいチャレンジができるようになりました。特に、印象的だったのは、灘中学校で行ったコラボ授業です。生徒が考案した減装パッケージを住友ベークライトが実際に形にするというプログラムだったのですが、中学生が考えたとは思えない具体的なアイデアが集まり、貴重な体験となりました。
石川 容器包装ごみの削減を普及するには、子どもたちへの啓発も重要なのですね。「ごみじゃぱん」では、学生たちが児童館や小学校、中学校に出向き「減装学校」という出前授業も行っています。
堀越 私も学生のときに小学校などで授業を行いました。容器包装の実測クイズや買い物ゲームなどを通じて、容器包装ごみを削減する必要性などを伝えるのですが、授業の内容を自分たちで考えるので、とてもいい経験になりました。

灘中学校での「減装学校」

2013年10月、灘中学校にて住友ベークライトと「ごみじゃぱん」による「減装学校」のコラボ授業が行われた。生徒が自分たちでエコ包装のアイデアを考え、次々に発表した。

2014年の実施を目指す市場実験プロジェクト

─ 今後の取り組みについてお聞かせください。

田中 「ごみじゃぱん」に協賛している食品メーカーやスーパーなどの流通企業にご協力をいただき、実証実験を行う予定です。これは、食品メーカーの製品を『ECOCeeeLⓇ』で包装して販売し、「ごみ抑制」の提案をして「ごみじゃぱん」にアンケート調査をお願いするというプロジェクトで、2014年の実施を目標に準備を進めています。
石川 それは、「ごみじゃぱん」の2014年のメイン事業でもあり、私も期待しているところです。また、2014年は「国連ESD(持続可能な開発のための教育)」の最終年にあたり、その総括として「ユネスコ世界会議」が11月に名古屋市で開催されます。そこで、「ごみじゃぱん」の「減装ショッピング」を消費者教育として展開し、世界に発信していきます。
田中 住友ベークライトとしても「ごみじゃぱん」と協賛企業とのコラボで、ユネスコ世界大会に合わせたイベントに『ECOCeeeLⓇ』で参画したいと企画を練っているところです。また、2014年9月からは、最先端の設備を備えた新設の中国工場が稼働する予定です。
石川 中国といえば新興国の中でも特に、ごみ問題が大きな課題となっています。新興国でも『ECOCeeeLⓇ』は廃棄物削減に役立つはずです。
堀越 私は学生の頃、社会に出たら売る側になって包装の少ない商品を提供したいと考えていました。実際に、住友ベークライトで働き始めてから、本業を通じてごみを削減し、社会課題を解決できることにやりがいを感じています。これからも、しっかりとこの仕事に取り組んでいきたいと思います。
田中 より薄く、より強度のある包装用フィルムの開発・普及を通じて、都市化が進む世界で深刻化するごみ問題の解決に、少しでも貢献したいと考えています。グローバルに事業を展開するプラスチックの総合メーカーとして、今後も社会の課題に向き合っていきます。

住友ベークライトの包装用フィルムを使った商品

フィルム・シートの技術開発において最先端を歩む住友ベークライト。1976年に世界に先駆けて共押出法による多層複合フィルム・シートを開発。いろいろな包装に対応可能な多機能フィルム・シートは、食品ではハムをはじめ幅広く用いられている。

店頭での普及活動

小売店で『減装ショッピング』の認知度向上イベントを行っている様子。「ごみじゃぱん」では、消費者と直接交流することを重視している。

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